第20話 - 2 攻城戦 ~城壁と城門の攻防
何かが爆発したかのような轟音。城門を守るオーシア兵に、緊張が走った。おそらく破城槌による突撃であろう。
「城門に敵が来てるぞ! 上は何をやっている!?」
地上指揮官が、城壁の上に声を張り上げる。
「こっちは乱戦状態だ!」
この短時間でか!? と地上指揮官は驚愕した。再び、破城槌がぶつかる。城壁上からの援護がなければ、城門の強度自体はそう長くは持たない。巨大な石で城門を塞いでいるため、扉を破壊されたところで、易々《やすやす》と侵入はされない。しかし敵を分散させる意味で、城門の攻防自体は長引かせたいところだ。
城壁は乱戦状態に入った為、弓兵の総射は止んだ。個人の判断での、歩兵援護に移行する。オーシア兵は、大盾を持つ兵を並べて防御壁を形成。跳ね橋の出口に留め、突破を許さない。エディンバラ歩兵は跳ね橋に渋滞した。
――オーシア側の地上から、一本の矢が放たれた。跳ね橋の上側に落下、エディンバラ兵の肩口に突き刺さり、仲間の数人を巻き込んで城壁上に転落した。後ろから押されたエディンバラ兵が、恰好の標的にされる。
「跳ね橋の上側だ!」
次の矢が放たれた。攻城塔の頂点に落ちて行き、カツッと木に突き刺さる音。
「よし、その距離だ!」
一時を置き、一斉総射が攻城塔に襲い掛かる。苦鳴と怒号が、オーシアに的中を知らせる。エディンバラ弓兵は、反撃の勝手が判らない。城壁の陰で地上にいる敵弓兵の姿は確認できず、当てるには上空に打ち上げて城壁の向こうに落とすしかない。
地上と攻城塔との弓の射合いは、オーシアが圧倒する。エディンバラ弓兵は、攻城塔内へと撤退を余儀なくされた。
破城槌、12回目の突撃で、城門に隙間が生じた。隙間に石の肌らしきものが見える。城門そのものは破壊できているはずだが、押し込んでも突っ掛かり、ビクともしない。おそらく城門は、巨石で封鎖されているのだろう。
「カプリオーネの戦いの再現と行くか?」
一人の兵士の言葉に、周囲の兵が笑った。カプリオーネの戦いとは、城門を塞ぐ巨大な石を敵味方で休みなく押し合い、二日を費やした史実である。結局は、攻め手側が断念して戦争は終結。もっとも平和な戦争として笑いの種になっている。
早々に、エディンバラ兵は外側からの城門突破を断念した。これにより戦いは、跳ね橋の出口周辺での攻防に絞られる事となった。
♪ この作品を読んで、「面白い!」、「続きが気になる!」、と感じてくださった方は、下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします。