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第19話 - 7 第四次エディンバラ紛争 ~進軍

「うーん、どうやら砦にこもるようだね」


「こいつを潰しに出てくるかと思ったが、そこまで馬鹿じゃないってか? しっかし遅っせーな、このデカブツは!」


「そう言うな。たっぷりと水を吸わせておかないと、燃やされちまうだろ?」


「城壁にへばり付く前に、乾かなければ良いがな」


「そんな訳あるか!」


 エディンバラ公国、第二歩兵部隊、第三歩兵部隊、特別攻城兵器部隊は、モスリナを目前としていた。足の速い騎兵隊は、後方に待機している。


「弓兵、思ったより多いんじゃないか?」


「あれくらいなら、問題ないさ」


 第二歩兵部隊・隊長、ロメロ少将はニタリと口を歪ませる。八機、用意された攻城兵器は、発案から完成まで一年を要している。巨体であるが故に遠方には持ち運べず、実質的にはモスリナ専用兵器となる。どうしても、ここで役立ってもらわなければならない。


 だが現実には、不安もある。オーシアの目から隠れて製造を続けた都合上、長距離移動などの検査を行えていない。増してや、木製の外壁に水を浸み込ませて重量を上げた状態である。目的地に着く前に、足回りが持たなくなる懸念もあった。設計者は問題ないと言っているが、理論上の話が現場で通用しない事など、むしろ普通だ。


 ただ今のところ、どうやら足回りに問題はなさそうだ。地面の凹凸を吸収する懸架装置けんかそうちも、よく機能している。転倒の心配もない。


 エディンバラは長らく戦から遠ざかっており、今日が初陣という兵士も少なくない。結果論ではあるが、この威風堂々(いふうどうどう)たる攻城兵器の存在は、兵士たちの士気を上げるのに一役を買っていた。


 ? ロメロ少将が、兵士の挙動のおかしさに気付いた。オーシアの弓兵に脅え始めた兵が、ざわつき始める。


「怖がるな! まだ当分、射程外だ!」


 いざ始まったら、まともに動いてくれるのか? 普段の訓練での勤勉さと勇敢さは知っているものの、ロメロ少将は不安になった。ヤレヤレといった風に、首を振る。


 とそこに、大将:ネウロ=フレイゲルのげきが飛ぶ。


「勇敢なるエディンバラ兵の諸君! いよいよ我らが大望を果たす日が訪れた。オーシア侵略に脅える日々は、今日を境にして終わる。諸君らは、その名誉ある初陣の戦士に選ばれた! 諸君らの名は、エディンバラの歴史に、永劫に英雄として刻まれるであろう!」


 エディンバラ兵は、一気に湧いた。


「ハハハ、単純なのは兵士の美徳だね!」


 ロメロ少将は自身もげきに触発されながら、高笑った。


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