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第4話 - 1 トールの初デート? ~トール、女の子に声をかけられる

 シュヴァルツ戦でメアリーを、決戦試合でベルゼムを下し、なぜか学院長に瞬殺されたトールは、モテ始めた。


 元々、トールの異性からの評判は悪くない。特徴に乏しい大人しい整った顔は、カッコイイと言えばカッコイイし、平凡と言えば平凡だ。つまり顔以外のファクター次第で、その総合評価はどうにでも変わる。劣等生から地道に5番手まで這い上がっていた時点で、そこそこのポジションにはいた。


 これが学年筆頭に上り詰め、獅子王杯への選出も決まったとなれば、俄然、トール株は急騰する。平凡な外見は一気に、「平凡そうなのに凄い!」という、魅力を引き立たせるスパイスに変貌する。


 積極的に声をかけて脈を探る者、遠巻きに見ながらチャンスを伺う者、こうしてトール周辺が色めく中、一人、不愉快の極致にいる者がいた。現時点で、トール、ベルゼムに次ぐナンバー3。女子の中ではナンバー1にあるシンシアである。


 シンシアは、高い俊敏さと間合いを取る独特のリズムを特徴とする、やや異色の剣士である。小柄な体躯と淡く青い髪、その戦う姿から、藍玉蜂あいぎょくばちの異名を取っている。才能、伸びしろの大きさで言うなら、真っ先にシンシアの名を挙げる講師もいる。


 最初、シンシアはトールを、冴えない男だと思った。クラーゼンの中では並以下で、これといった強みもない。しかし懸命に努力を続ける姿は、素直に凄いと思った。まったく相手にならなかった者が、次第に力を付けていく。通じたはずの技が、次の手合わせでは対応される。シンシアにとっても創意工夫が必要になった時、トールとの対戦は何よりの楽しみになった。


 そうして剣と剣で濃密に語り合って来た人間を差し置いて、チャラチャラと近づいてくる女たちがいる。非常に、気に入らない!


 放課後、まだベルが鳴り止む前に、トールの元に4人の女子グループが近づいて来た。一緒に帰りながら、新しくオープンしたカフェに寄ろうと誘う。西方から来た果物を使ったスイーツがどうとか、キャンペーン中でドリンクが無料になるとか、情報のシャワーを浴びせられる。


「あ、えっと、その……」


 トールは照れた様子で、挙動不審になった。このモテ状態に、まだ心が追いついていない。


「トール! 稽古場に付き合ってもらって良い?」


 とげのある声に振り返ると、腕を組んだシンシアの姿があった。据わった目つきは、女子4人への威圧だ。無言で、文句があるなら戦いも辞さないと語っている。


「おお、勿論!」


 トールにとっては、渡りに船。女子4人とカフェなど、試練以外の何物でもない。トールは4人に詫びを入れると、そそくさとシンシアの後を追った。ポカンと、取り残される女子4人。


「……ねえ、シンシアってそうだったの?」

「知らない」

「でも、絶対に怒ってたよね?」


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