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第18話 - 2 逃亡 ~自警団員のポゴス

 自警団員のポゴスは、人望の厚い人物である。元々、体の弱かった妻には病で先立たれ、小さな息子と二人暮らし。こよなく息子を愛する、自他ともに認める親バカだった。自警団には、息子の暮らすこの街が少しでも安全になるならと志願。武術に秀でるわけでも、腕っぷしが強いわけでもないが、恰幅かっぷくの良さはコケ脅しにはなった。


 今日のポゴスの仕事は、暴行・喧嘩で抑留された若者の移送だ。衛兵隊に引き渡し、処罰はその先で決められる。縄を持ってポゴスが先導し、後方では二人が控える。


 移送中、必要最低限の指示以外、一切の会話は禁止。過去に犯人の口車に乗り、逃亡を協力した者が出たからだ。


 歩きながら、ポゴスは思った。何があったかは知らないが、刃物まで持ち出しての喧嘩など、ただ事ではない。幸い相手は傷一つ負っていないそうだし、1年か2年では帰って来られるだろう。


 ポゴスは振り返り、様子を伺う。見れば、まだ幼さが残る。若者が血気盛んなのは、仕方がない。まだ10代なんだから、しっかりと反省してやり直せば、いくらでも取り戻せる。ポゴスは心の中で、励ましの言葉を送った。


 ――!? 林道に入って数分、突然、セイの両手を拘束するいましめが外れ落ちた。自力で目隠しをはがし、即座に状況を確認。前を行く男のさやから、長剣を抜き取る。剣を奪われたにも関わらず、棒立ちになる男の首をはねた。


 後方の男二人も、反応が遅い。ようやく抜刀の動きを見せるも、抜き終わる前に命が途絶える。


 薄暗い林道。連行されて来た進行方向に、こちらに駆ける5,6人の人影を認める。セイは後方ではなく、林に入った。


 土地勘はなく、現状でどこかも解らない。鬱蒼うっそうとした雑木林を、行く当てもなく縫って走る。――後方に追う者の気配はない。どうやら、一先ずは撒けたようだ。


 と、その後方の大木からミシッと小枝を踏み折る音。大木の陰から見えた半身に向けて、咄嗟に殺気の刃を放つ。人影は再び大木の陰に戻り、殺気の刃は幹をかすめて外れる。


「セイ=クラーゼンさん、私ですよ」


 聞き覚えのある声。改めて姿を現した人物は、ユリア=テロニクワ王妃の執事コーネルであった。


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