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第18話 - 1 逃亡 ~繊細さがもたらしたもの

 セイ=クラーゼンが捕らえられた事実は、学院に衝撃を与えた。セイとトールの間に、何があったのか? トールを殺害しようとした目的は何か? 様々な憶測が飛び交うが、どれも現実味に欠けた。


 だが姉であるエレナ=クラーゼンだけは、察するものがあった。物心のついた頃から、セイは精神的に繊細だった。ちょっとした矛盾や不条理を受け入れられず、激しく拒絶してしまう。社会と自分との間に、扱い難い不調和があった。


 いつしかセイは、己の価値観や考えを強く主張するようになった。それらの多くは、正しくはあるが、周囲からは極論のように思えた。


 物を考える繊細な人物は、「自分とは何者か?」への回答を、ただ生きる為だけに求められる。あるいは「人生の意味」への回答かもしれない。セイは自身を、自身の正しさによって成立させた。


 だから、エレナには察せられた。正しさの中身までは推し測れないが、セイは自身の正しさを示す為に、トールを殺さなければならなくなったのだ。


 エレナの元に、セイ逃亡の報が入ったのは夜半過ぎであった。自警団から衛兵への身柄引き渡しの際、セイに逃走を許したとの事。血縁から、エレナはかくまう容疑者として見られた。

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