第3話 - 2 ベルゼム VS トール ~高まる緊張
ベルゼムとトールの試合が決定したのは、交流戦の翌日であった。獅子王杯への選出を決める、決戦試合である。ただこの試合、勝てば決まるというものではない。勝利した上で、エレナ=クラーゼンを納得させる内容である事が、その条件だ。
シュヴァルツ大将、メアリーに敗れたものの、ベルゼムの4人抜きは立派。一方、トールはそのメアリーに何もさせず、瞬殺をして見せた。この場合、問題はトールである。勝つには勝ったが、あの内容だけでは評価が難しい。この二人の対戦は、妥当なところだ。
決戦は、ベルゼムの回復を待って行われた。肋骨を単純骨折していたが、現在の回復薬であれば、3~4日もあれば全快する。
前回の敗戦については、ベルゼム自身、決して納得はしていない。負け惜しみではなく、一瞬、恐怖に逃げた自分自身が、何よりも許せなかった。獅子王杯というよりも、メアリーに勝利したトールを倒すことで、雪辱を晴らすのに代えたかった。メアリーとの対戦は、いずれ機会もあるだろう。
場所は同じく、クラーゼン学院に隣接する闘技場。カリキュラム終了を待って、夕刻に行われる。クラスメイト達は、教室に高まる緊張を感じていた。ベルゼムとトールの集中力が、授業の後半になる程に高まって行く。
ジリリリリ!
授業終了のベルの音を合図に、ベルゼム、トール、二人は目を合わせた。
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