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第10話 - 3 騎士団、護衛任務への招聘 ~栄誉の間

 王立騎士団による警護任務の2日前、トールは王宮に招聘された。衛兵に付き添われ、『栄誉の間』に通される。


「失礼します」


 開かれた扉の中には、数人の騎士らしい人物。そこには、フレイの姿もあった。


「あ、トール! やっほー!」


 トールの姿を認め、フレイが満面の笑みで手を振る。まさか、やっほー! で返すわけにもいかず、トールは軽い会釈で応えた。改めて、深々と頭を垂れ、


「アラド=クラーゼン学院から参りました、トールと申します。この度は重要な任を仰せつかり、光栄に存じます。何も知らぬ若輩者ではございますが、至らぬ点につきましては、ご指導を賜りますようお願い申し上げます……」


 心の中で、トールは軽くガッツポーズをした。何度も練習した甲斐があり、詰まらずに最後まで言えた。文面は、シンシアの作だ。


 一人の男性が、トールに歩み寄る。と、衛兵が何かを耳打ちし、男性は一言「了解した。すぐに行く」と返した。


「私が騎士団長、アイゼキューターだ」


 トールから見て、騎士団長は戦いの化身のように映った。恵まれた屈強な体躯に、口髭と顎髭を蓄えた知性と野性味を兼ね備えた風貌。年齢は30歳前後であろうか。一目で、人間として戦士としての格の違いが判る。


「君のことは、フレイを手こずらせる程の手練れだと聞いている。期待しているぞ」


「いえ、とんでもありません。結局、何も通じませんでした」


 トールの言葉は、謙遜ではない。はたからは、まずまずの善戦に見えたかもしれない。しかしトールからすれば、自分の最高をぶつけて尚、差を見せつけられた形だ。


「教育係は、そこのへラグに任せてある」


 目配せした先にいる若い騎士が、トールに手を振る。少し、おちゃらけた様子だ。騎士団というのは、意外にアットホームな職場なのだろうか?


「へラグ、後はよろしく頼む」


 ビシッと、わざとらしく敬礼で応じるヘラグ。アイゼキューターは苦笑いし、衛兵と共に扉を後にした。


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