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第36話 - 3 終戦 ~とりあえずの秩序

 ――二年半後。


 世界中を巻き込みかけた大乱は収まり、世界はとりあえずの秩序を保っていた。オーシア王国は、エディンバラ公国に対し独立国とほぼ同等の高度な自治権を正式に承認。各種経済協定など、双方にとって利益が最大化する公平な形への見直しが約束されている。


 賠償金はエディンバラ国民の過度な負担とならぬよう、緩やかな分割計画が立てられた。経済協力が上手く機能すれば、その利益で十分に賄っていける範囲である。そして双方の安全保障のため、エディンバラ公国とパンナロッサ王国の国境付近にオーシア軍が駐留。これには明らかに、パンナロッサとの関係を監視する目的があった。


 一方、パンナロッサ王国への対処は困難を極めた。多額の賠償金への不満が原因となった相手に、更に倍賞を課さなければならない。虐殺と略奪に対するオーシアの憎悪は強く、懲罰的な戦後処理を求める声が大きい。ただそれをすれば、再び遺恨を後世に渡って継続する悪循環を生み出す。


 ジャミル=ミューゼルは、自身の描く世界秩序と繁栄という合理性と、憎悪という非生産的な不合理性との融合に苦慮を強いられた。そこでジャミルは、賠償金を減額する代わりに、パンナロッサの実質的な属国化を図った。王族から実権を剥奪し、評議会を創設。ここをオーシア派で占め、間接的に実権を掌握する。


 しかしガロン帝国が、そこに割り込んだ。オーシアの勢力が拡大するのを嫌ったガロン帝国が、その評議会に異を唱える。新たな戦争の火種となるのを避ける為、評議会メンバーはオーシアとガロンとで二分される事となった。これがパンナロッサ王国消滅に向けた歴史の始まりとなる。


 このとりあえずの均衡が数年で終わるのか、数十年と保てるのか、この時点では誰にも解らなかった。

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