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第35話 - 3 戦果と代償 ~キャンタンク4号

「よし、完成だ! 我ながら素晴らしい、歴史に残る兵器だと自負せざるを得ないよ!!」


 はしゃぐキャン中佐の目の前には、完成したばかりの攻城兵器があった。持って来られないのであれば、現場で新しく作れば良い。キャン中佐はこの事態を、以前から構想にあった新兵器を試すチャンスと捉えていた。


 滑車かっしゃの上に長い柱があり、先端には丸い岩が括りつけられている。更にその装置を守る屋根があり、落石や火矢に耐えられるよう巧みな工夫が施されている。発想としては、投げない投石器のようなものだ。テコの原理で先端の岩を叩き付けられ、短時間で連続使用もできる。


 キャンの誇る革新性は、その簡易性にある。材料さえ揃っていれば、短時間での製造が可能。またその材料も、多くの地域で現地調達できる。これがあれば、攻城戦の戦略は間違いなく広がる。


「さあ早速、キャンタンク4号のお披露目と行こう! この歴史的場面に立ち会えるエディンバラ首都君には、嫉妬さえ覚えてしまうね!」


 意気揚々と、キャンと兵士たちは立ち塞がる防壁に向かう。……不思議と、エディンバラ軍から何の抵抗もない。上から矢の雨を降らせるとか、外に討って出て得体の知れない装置を破壊しに来るとか、何かあるだろう? キャンは首を傾げる。


 いよいよキャンタンク4号が防壁に接しようとした時、扉が開いた。ここでか!? キャンとオーシア兵士が臨戦態勢に入った。


 しかし扉から出て来たのは、数人の見慣れぬ風貌の男たちだった。その一人が、口を開いた。


「あれ、オーシア軍の人達ですか?」


「?? はい、そうですけど……」


 きょとんと、普通に対応するキャン。


 ほぼ無抵抗の中、流刑島兵が内側から西門を開いた。キャンタンク4号のお披露目とはならず、以後は更に改良を重ねられた為、それが日の目を見ることは永遠になかった。

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