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第35話 - 2 戦果と代償 ~ユリエル=バカラが見止めた男

 流刑島兵は、そのまま中心部に進軍した。遠目から、最も立派な建物がそうだろうと目星を付けて足を速める。東に展開されたエディンバラ兵は、完全に後手に回った。オーシア兵に阻まれ、流刑島兵を追えない。


 慌てて、西防壁に付くエディンバラ兵が流刑島兵に当てられる。約6千の流刑島兵に対して、城内の兵と合わせ倍近くの1万の兵で対峙した。


 流刑島兵の個の強靭さと連動性の高さは、倍近くの数的不利を十分に補った。互角以上の戦いを繰り広げ、エディンバラ軍を後方へと追いやる。


 ユリエル=バカラも、この戦場の中にあった。異能、『幻影の暗殺者』は、戦場にあって極めて有効に働いた。ユリエルに近づく流刑島兵たちが、ただ意味も解らず倒される。


 十数人がやられた時点で、小隊長が異変に気付く。ユリエルが何かをしていると察し、数人がかりでユリエルに狙いを定める。


 気付かれたのか……? ユリエルは自身を襲う一人の剣を受け、その隙を突こうとする右のもう一人を殺気の刃で退ける。だが間髪入れず放たれた矢には、反応しきれない。左肩に突き刺さり、ユリエルは剣に押されて後退した。仲間のエディンバラ兵が、その間に割って入る。ユリエルは後方へと下がり、一旦、前線から離脱した。


 矢を抜き、自ら止血し応急措置を施す。やや遠目から戦況を見つめるも、自軍の不利は明らかだった。ふと右上方に、不思議な人物を見止める。民家の二階窓から、戦いを見下ろす男。民間人にしては、雰囲気がおかしい。武器を持つわけでも、何か言葉を発するわけでもないが、戦う者の眼光であった。


 ユリエルは殺気の刃を放ち、男の首元を掻っ切った。敵である確証もなければ、脅威か否かも解らない。ユリエルにとってその殺害は、馬車の前にある小石を、一応は取り除くような作業に過ぎなかった。


 しかしこれを機に、戦局は変わった。ガラリアを失った流刑島兵は統率を失い、大いに混乱を来した。体勢を立て直すまでに要した数十分で、千近くの兵を失う事となった。

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