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第34話 - 5 首都、攻防戦2 ~流刑島兵の風刺画

 オーシア・流刑島軍は、戦況が判らぬまま行動をしていた。希望的想定通りであれば、西から攻めるオーシア軍と連携して、二方面から挟撃する形になる。願わくば、意味のある状況であってもらいたい。


 エディンバラ公国首都に着くと、自軍を上回る兵力が待ち構えていた。まだ状況は判断できない。オーシア・流刑島軍は、首都の入り口で進軍を停止させる。自分から戦いは仕掛けない。挟撃の展開になっているのを前提に、敵兵力を分散した時点で役割を果たしているからだ。


 しかし指揮官の思惑に反して流刑島兵の士気は高く、戦闘開始を求める声が上がった。戦功を上げなければ、オーシア市民権の話は白紙に戻されるのではないか? 不平等な地位の低い身分にされ、差別を受けるのではないか? といった疑念が囁かれていた為である。


 両軍、無言の対峙が続いて二時間後、流刑島兵のリーダーから提案があった。小規模の戦闘を起こし、敵を生け捕りにして捕虜を取る。そこから情報を聞き出すというものだった。しかしオーシア指揮官は、一理は認めるものの提案を却下。戦闘が小規模で済む保証がない以上、無傷のまま敵兵力を引き付ける現状の理が勝ると判断された。


 その知らせを受けた流刑島兵たちは、深く落胆した。次に彼らは、相手から仕掛けさせれば良いと考えた。テオドール=エディンバラ伯爵を侮辱する風刺画を巨大な布に描き、口にするのも憚られる愚劣な文章を添えた。あまり見込みのある手段とは思えなかったが、他にこれといったアイデアもなかった。


 だが、この挑発に乗った若いエディンバラ兵がいた。テオドール=エディンバラの姪に当たる人物が、我を忘れんばかりに激昂げきこうする。偶然ではあるが、その侮辱の内容が自身の出生と母親の名誉を著しく汚すものだったからである。


 テオドールの姪は、汚らわしい布に向けて矢を放った。元より、射程距離の外だと知っている。懲罰を覚悟で、ただ怒りを表現したかっただけだ。この後の展開は、彼女に予期はできなかった。


 オーシア軍の一部が動き出し、突撃をかけた。遅れて残された兵も追従。戦いの火蓋が開けられた。

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