第33話 - 1 首都、攻防戦 ~トリッツ城、陥落
トリッツ城、陥落。この報告が入ったのは、オーシア軍がエディンバラに侵攻を開始した4日後の事であった。
報告では、オーシアの情報になかった大軍の存在があった。堅守を誇るトリッツ城も、圧倒的な数の差で押し切られた形だ。またトリッツ城内で流行し始めた伝染病も、兵士の体力を落としていた。重症化する者もいたが、症状は概ね微熱と軽い倦怠感といった程度。現場指揮官もオーシア中枢部も、これを大きな問題とは見なかった。
武器と鎧の形状から、その大軍はパンナロッサとエディンバラの混成と知れる。オーシア中枢部は、全体の状況を把握した。エディンバラはトリッツ城の陥落を受けて、オーシアの自国への攻勢を予期。これを囮として利用し、密かに大軍を潜ませていたパンナロッサからオーシア中枢を狙う。
パンナロッサ、エディンバラ混成軍(以下、混成軍)は、陥落させたトリッツ城に留まず、オーシア首都に向けて進軍。中途に防衛線らしい防衛線を持たないオーシアは、彼らを易々と首都付近まで近づけた。
エディンバラ深くまで軍を進めていたオーシア軍に、その急報がもたらされる。エーデルクランツ上級大将は、即座にロルド要塞攻略を中止。オーシア首都に向け、軍を引き返させた。
その背中を、ロルド要塞から出たエディンバラ軍が襲う。オーシア軍は三分の一をその応戦に切り離し、残り三分の二を急がせた。
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