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第32話 - 5 大攻勢 ~奇襲

 二時間ほどが経過し、オーシア軍は城壁の上へと到達していた。拠点を作り、後の兵を加えて布陣を整えていく。それなりに損害はあるが、まず順調と言える。


 その光景を眺めながら、トールは歯がゆさを感じていた。まさか自分が守られる側になるとは、まったく想像していなかった。味方が血を流し命を散らしているのを、何もせずにただ見ているだけというのは、如何いかんともし難く性に合わない。


 オーシア軍は、このまま砦の城壁を占拠。左方の落石兵器を奪取し、内側から城門を空けて全軍を突入させる青写真を描いている。


 突如、カーディーが叫んだ。


「左前方、敵が来ます!」


 奇岩群の中から現れたのは、エディンバラの騎馬小隊。長槍を装備したおよそ20騎の騎馬隊が、全力でトールに向けて突っ込んで来る。オーシア軍に、十分な迎撃態勢を取る時間的余裕はない。


「盾兵、前に!!」


 トールの号令に、盾兵が横並びに出る。どのような強者であろうと、速度にのった騎兵と歩兵とでは勝負にならない。盾兵を並べて障害物とするのは、単純ではあるが効果的なセオリーである。これで騎兵は、足を止めるか迂回するかの二択を迫られる。


 しかしエディンバラ騎兵は、そのどちらも選択しなかった。最高速で長槍を突き立て、盾の壁に突っ込む。長槍に突き刺され、踏み潰され、吹き飛ばされるオーシア兵。オーシア兵の中に、激しく転倒する人馬。


 1・2秒の。攻撃圏外にあったオーシア兵が、転倒し満足に身動きの取れないエディンバラ兵に襲い掛かる。唯一、転倒も落馬も逃れた立ち往生する一騎は引きずり下ろされ、剣を腹部に突き立てられた。


「死ねや、このクソが!」

「よくも、てめーら!」

「殺せ! 殺せ! 殺せ!」


 オーシア兵の怒号が響き、人と馬の苦鳴が漏れる。瞬時にして、辺りは凄惨な光景と化した。――吹き飛ばされ横たわるオーシア兵の中に、動かないトールの姿もあった。


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