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第31話 - 1 戦死 ~不意の報告

 シンシアは深く反省した。トールがあの場で、どちらかを傷つけるなんて出来るはずない。それにメアリーを良く思っているのだって、見る目や態度で知っている。


 ただ自分も、白黒をハッキリさせるのを躊躇ためらっていた。自分が選ばれない事よりも、この関係がぐちゃぐちゃに壊れてしまうのが怖かった。


 そこでシンシアは、以前より考えている事を提案した。最初、トールもメアリーも目を白黒とさせていた。この世界の常識とは、ややズレた話だったからである。


 トールは、無理にどちらかを選ばなくて良い。むしろ二人とも選んで欲しい。自分も相手がメアリーだったら納得できるし、多分、あまり嫉妬もしないと思う。


「……三人で仲良くできたら良いなって思うんだけど、トールとメアリーはどうかな?」


 トールはまたしても、言葉にきゅうした。これを承諾するのは身勝手で非常識ではないかという思いが、ストッパーとして働いた。


「私の方は……それで嫌ではないです。私もシンシアならって思うし、でもシンシアとトールはどうなのかなって……。私の事を好きじゃないなら、本当に正直に言ってください。私なら大丈夫です。どんな答えも受け止めます」


 メアリーはこれまで、最終的にはシンシアには敵わないと考えていた。自分は選ばれない。今日、その決着がつくなら、それはそれで良いとも思った。


「トールは、メアリーを好きだよね? 恋愛対象として」


 問われたトールに、二人が真剣な眼差しを向ける。トールは観念して、一つ、小さく息を吐いた。


「うん……、そう思う。惹かれていないと言えば、嘘になると思う。でもシンシアもメアリーも好きだから、二人と同時に付き合うっていうのは……」


「非常識だと思う?」


「うん、まあ……そうかな」


 シンシアは少し、苛立ちの表情を見せた。


「じゃあ、世の中の常識と私たち、どっちが大切!?」


 !?


 この問いかけが決め手になり、トール、シンシア、メアリーの三角恋愛関係が始まった。トールは二人を、平等に大切にする事。三人目以降を作ろうとしない事。といった約束事が、シンシア主導で取り決められていく。


 決まってしまえば、三人の間に訪れたのは深い安堵だった。この中で、誰も傷つかない。もう遠慮もしなくて良い。もしかしたら、最初からこれが自然な形だったのかもしれないとさえ思える程、感覚的に受け入れられた。


 その折に唐突、メアリーの口から衝撃的な事実が伝えられた。エディンバラ公国方面での戦場において、ベルゼムが戦死した。

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