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第28話 - 6 トリッツ城の攻城戦 ~薄氷の開戦回避

 ジャミル=ミューゼル侯爵は、外務大臣と経済大臣との兼任にあった。数々の経済交渉を通じて、その外交力は既に証明されている。戦中にあって、彼以上の適任はないだろう。


 開戦前にあったジャミルの構想は、大きく軌道修正を強いられる形になっている。始まってしまった戦争は、出来るだけ良い形で終わらせなければならない。現状、オーシアは大きく負けている。エディンバラとパンナロッサの二国を相手に、完全に先手での攻勢を許してしまった。


 出来るだけ良い形とは、如何に大きく勝つか、あるいは小さく負けるか、というスケールだけの話ではない。エディンバラは建国の経緯から複雑な歴史背景があり、パンナロッサには重すぎる賠償金と怨恨があった。過去に撒いた種が見えない所で順調に育ち、今回の開戦へと繋がっている。戦争の終わりが、次の戦争の始まりであってはならない。


 だからこそ、オーシアの勝利は最低条件である。勝者だけが、戦後処理の主導権を握れるからだ。


 トリッツ城、奪還の報は、事態を大きく動かす転機となり得る。ジャミルはガロン帝国に会談を打診すべく、使者を送った。


 この時、ガロンはオーシアに向けて開戦の準備段階にあった。世界の相対的な地位を保つため、他国を強大にしてはならない。ガロンにはオーシアと組んでエディンバラ・パンナロッサの拡大を防ぐ選択肢と、共にオーシアを攻めて富と領地の取り分を確保する選択肢とがある。後者を選択したのは、圧倒的に不利となるオーシアに味方するよりも、勝ち馬に乗った方が割が良いと計算したからだ。


 しかしトリッツ城がオーシアに落ちた事で、前提条件が大きく変わった。もしもあと5日、トリッツ城がまだパンナロッサの手中にあったならば、ガロンはオーシアに攻め入っていた。

予告: 第29話 離島の戦力


 建国当初のオーシアは死刑が廃止され、従来のそれに該当する者はことごとく流刑とされた。当時も今も正式な名称はなく、ただ流刑島と呼ばれている。




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