【第一部 完結】第25話 - 7 オーシア地上軍士官学校 ~研鑽と積み重ね、月日は流れる
オーシア王国とエディンバラ公国は交戦状態にはあるものの、モスリナ攻城戦以降、目立った動きもない。しかしエディンバラ公国とパンナロッサ王国との接触の情報に、オーシアは最悪に近い形を想定せざるを得なくなった。誰もが、嵐の前の静けさを思った。
トールはこの状況に、ジャミル=ミューゼル侯爵との対話を思い出す。オーシアも世界も、戦争を起こす理由の排除、戦争を起こさない方が得になる理由の積み重ねを怠ってきたのだ。
しかし、トールに出来る事は少ない。元より戦争の是非を判断できる立場にはなく、その時に自国に尽くすのみである。戦争が間違いだと言うなら、間違いが終わった時に生き残っていなければ、新しい世界を作る一助にもなれない。
士官学校に入り、トールは兵士としての未熟さを痛感した。すぐに戦場に出たいなど、思い上がりも良い所だった。今はただ、己を磨き高めるのみである。
……そう言えば、世界統一を真剣に夢見た彼は、どうしているだろうか? ふと、セイ=クラーゼンの存在がよぎる。
メアリー、シンシア、カリム、ベルゼムも、様々な思いを抱えながら、今はただ明日に向けて積み重ねていく。
――そして、月日は流れる。
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