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職人ギルド

 昨日、前の輪数「ドライヤー」を読まれた方、ごめんなさい。


 間違えて、2行消してアップしてしまいました。それも今回の内容の前振りという重大な部分を。


 職人ギルドに入ってすぐの優とクレアの会話シーンです。


 大変申し訳ございません。

 アリアさんのバカー。どうせごまかすならもっとうまくやってよ。


「もっとも、アリア様の魔法がなくても、貴方がここに来る前の経歴を隠していることは分かってたけどね」 


 そっか。私も人のこと言えないのか。


「昔から隠し事は苦手なんです。後学のために聞きますけど、どの辺が怪しかったですか?


「ギルドを知らない人が、ギルマスなんて略称を知ってるのはおかいしでしょ」


「あちゃ~」


「ホントはね、外国から来た人で住むところの無い人にはギルドが住むところを斡旋してそこの住所を書いてもらうのが決まりなの。でも、経歴を隠してるならここに来る前の住所を書いてもらえばボロをだすかもって思ったのよ」


 アリアさんごめんなさいー。私の方がもっとバカだったー。


「えっと、そのあたりの事情は、極秘ということで」


「あら、乙女の秘密?」


 流石にアリアさんが秘匿している情報を聞き出すつもりは無いようだ。


 人差し指を立てて、口元に当てる。


「女は秘密を着飾って美しくなるんです」


 コレ、前から一度やってみたかったのよ。


「あら素敵ね。今度わたくしも使おうかしら」


「クレアさん、大人の女性だからサマになりますよ」


「ふふっ。ありがと。……冗談はさておき、何処まで話せるの?」




 この世界はゲーム’ふわふわもふもふストーリー’をモチーフに、アリアさんによって作られたこと。


 私が地球から来たこと。


 アリアさんの不満は、この世界がゲームより’ゆるふわ’でないこと。


 私の依頼は、この世界を改善して少しでも’ゆるふわ’にすること。


 私の希望は’ふわふわもふもふストーリー’を実際に体験すること。



 

 うん、どこまで話していいかわからん。


「そのあたりはアリア()()のさじ加減かと」


 様でなくさん付けしたことで私が女神アリアと近しい間柄であることを匂わせる。


「まさか……優様は神様でいらっしゃいますか」


 突如背筋をピンと伸ばした。


「まさか、私はただの人間です。ですから話し方を元に戻してください」


「神様と知り合いの人間を’ただの’なんて呼ばないと思いますけど。それじゃあ……職人ギルドについてはどれだけ知っていますか」


 クレアさんは軽く咳ばらいをすると、事務口調に戻った。


「名前くらいは」 


「じゃあ、一から説明しますね。職人ギルドは、相互扶助の精神で生まれた団体です」


「うん、うん」


「職人ギルドに商業ギルドから仕事の依頼がきたら依頼内容を書いて、掲示板に張り出します」


「うん、うん」


 ゲームの冒険者ギルドと一緒だな。


「希望者は受付に申請します。そして力量があると判断したら依頼人に紹介します」


「うん、うん」


 当然だな。


「手数料がギルドの収入になりますが手数料は依頼人に請求しますので職人さんからは一切頂きません」


「うん、うん」


 これは有難い。


「仕事の内容によっては依頼人が職人を指名することもあります。例えば依頼人がドライヤーをご所望の場合、優さんを指名するしかないでしょう」


「うん、うん」


 ドライヤーを作れるのは私だけだもんね。


「依頼人と職人が顔なじみの場合、ほとんどが指名です」


「うん、うん」


 そりゃそうよね。


「ここまででなにか質問はありますか?」


 一応確認はしておこう。


「ところで職人ギルドに登録しないと何かデメリットでもあるのですか」


「ありますよ。具体的には、職人ギルドに登録した人でないと商業ギルドに登録したお店に商品を収めることが出来ません」


 私はそれを聞いてげんなりした。


「それ、相互扶助じゃなくて既得権益っていうんじゃ……」


「たしかに、そういう時代もなかったわけじゃありません。ですが、あくまで商人の方々に対して品質を保証するのが目的です」


 なるほど。商人の皆さんはプロとして商売をやっている。だから品質は必要か。あとは……この世界がゲームっぽい世界観ならあれがあるはずだ。


「ギルドカードってありますか」


「あります。ランクによってギルドカードの素材が変わります。最初はアイアン、そこからブロンズ、シルバー、そして最後がゴールドです」


 あら、かっこいいじゃない。


「ランクはどうすれば上がりますか?」


「ギルドとこちらが指定したゴールドランクもしくはシルバーランクの職人が決めます。平均ですが職人ギルドに所属して10年くらいでブロンズ、さらに修行を積んで親方として弟子を取れる力量を身に付けたらシルバー、超一流の腕前を身に付けたごく一部の職人がゴールドランクになります」


「商業ギルド以外の人が職人ギルドの職人に仕事を頼みたいときは?」


「それは個人の自由です」


「職人がお店を開くのはアリ?」


「もちろんアリです。但しその場合は職人ギルドと商業ギルドの両方に登録してもらいます」


「職人ギルドへの上納金はどうなりますか?」


「上納金って、わたくしたちマフィアじゃないんですけど……。その場合職人ギルドは一切手数料を頂きません。但し、商業ギルドにはきちんと上納金を収めることになります」


「気前いいんですね」


「別に商業ギルドと違ってお金儲けが目的ではないですから」


 彼奴らと一緒にしないで欲しいという圧がひしひしと伝わってくる。こんな女性にそこまで嫌われるっていったい何をしたんだ、商業ギルドは。


 あとは……。


「税金は?」


「職人ギルドから納めますのでご心配なく」


 出費も無ければ手間もない。これは有難い。


「今更ですが、登録するのに試験とか無いのですか?」


「通常は親方に弟子入りして、親方が一人前と認めたら職人ギルトに登録できます。優ちゃんの場合は例外です」


「例外ってそんな簡単に適用していいんですか?」


 日本みたいに頭が固くないってことか。


「優ちゃん、貴方自分が何を作ったのか分かってますか。あんなの見せられたらどんなギルマスでもOK出しますよ」


「あれ作ったの瞳なんですけど……」


「貴方が彼女を手放さない限りわたしたちは貴方を歓迎するわ」


「一生手放さないですから問題ありません」


 有能で明るく元気でかわいい瞳を手放すなんてありえない。もちろん冬香もだ。



「アイリさんお待たせ」


「どうかしたの」


 戻ってくるのが遅かったのかアイリさんがすこし不安げな表情をしている。


「職人ギルドについて一から説明してただけよ」


 典型的な’嘘はついていないが肝心なことは話していない’というやつだ。


「それじゃ、ギルドカード貰って夕食にしましょう」


 さっきからお腹がペコペコだ。


「すぐに発行したいのですが……出来てる?」


「ギルドマスター、こちらに」


 若い男性職員から渡されたのは、薄い名刺サイズの鉄板。これがギルドカードだよね。


 どうやらクレアさんから説明を受けている間に彼が作ってくれていたようだ。


 そこには私の名前と瞳のロゴが刻まれている。


 そして裏面には手掛けた主な仕事、そして失敗した仕事を刻む欄がある。ここに書き込まれた内容は二度と消えないそうだ。失敗した内容が消えないなんて仕事だけあってシビアだね。もちろん今は空白だけど。


 気になったことが一つある。


 専門という欄があるのだがここも空白なのだ。


「それで、優ちゃんあなたの専門って何になるの?」


 大学では工学部の化学コースに在籍していた。


 だが、ここにきて21世紀の日本の狭い括りにとらわれることもないと思う。


「それは……」


 私はある言葉を口にした。

 もう一本作品を執筆しています。


タイトルは、『神魔大戦~神と悪魔の戦いに化学で割って入る物語』


https://ncode.syosetu.com/n2539ft/


です。こちらはR15指定になります。それも一応念のためR15指定にしたとかぬるい内容ではなく「よくR15で済んだね」という内容です。


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