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使い魔

「ところでアリア様、私の身体はどうなりますか?」


 この魂だけの半透明な状態であっちに行ったら不審人物扱いされるだろう。最悪、モンスター扱いされる恐れもある。


「向こうへ行ってくれるなら生前の身体を用意するけど……それとわたしたちは同士なのだから敬語は禁止、いい」


 神様相手にそういわれても気が引ける。けど本人がそういうならいいだろう。

「うん、わかった。アリア様」


「もう、様も禁止。アリアでいいわよ」


 もっと距離を縮めたいということなのだろうが、呼び捨てはいくら何でも不味いだろう。


「う~ん。それはちょっと。じゃあ、アリアさん、で」


「わかった。それでいいわ」


 不承不承だが頷いてくれた。


「じゃあ、元の身体ってことで……あ、でも」


 そうなると色々と必需品を用意しなくてはならない。


 うら若き乙女が生きるには何かと入り用なのだ。


「グロスは」


「あっちで買ったのがあるわよ」


 おおー!


 カイガラムシから抽出したコチニール色素で色を付けた地球なら貴重な逸品だ。しかも色違いを幾つも買いそろえている。これは有難い。


「石鹸にシャンプーとトリートメントは」


「あっちで売ってるわよ」


 お、おお。


 アリアさんはいつも日帰りだから買ったことないそうだ。


「日焼け止めクリームは?」


「オリーブオイルで代用してるって」


 え?


 どのくらい効果があるかさっぱり分からないじゃない。


「えっと、服は」


 まさかパジャマという訳にはいかない。だがアリアさんの服を借りるのは不可能だ。


 20cm以上違うから着られない。


 え、どこって。そ、そりゃ、身長よ身長。アリアさんの方が20cm高いから、服が着られないわ。ほ、他にどこが20cm以上違うっていうのよっ。


「服なら作ってもらおうか?」


 ああ、やっぱりこの人女神だわ~。


「是非」


 でも誰が作ってくれるんだろう。


「今召喚するからちょっと待ってね~」


 は、召喚! やっぱ神様ってすごいなー。


 アリアさんが魔法陣を描くとそこに何やら動物が二体現れた。


「アリア様、参りました」

「アリア様、お呼びですか」


「二人ともよく来たわね。あれ?」


 思わず目の前にいる二匹に頬ずりをしちゃったのだ。


 右手にはキタイイズナ。しかも真っ白でキレイな冬毛。


 左手にはエゾモモンガ。くりっとしたお目目がとても愛らしい。


「か、かわいいー」


 もう、二匹まとめて頬ずりしちゃう。


「ゆ、優様ったらくすぐったい」


 キタイイズナが私の頬をぺろぺろ舐めてくれる。それ、なんてサービス⁉


「よし、ボクも負けないぞ」


 エゾモモンガも競ってぺろぺろしてくれる。ここは天国か⁉


「……はあ、はあ」


「ちょっと優、少しは落ち着いたら」


 アリアさんがくすっと笑っている。


「これは落ち着いてられないわ」


 本当に死んだショックが吹っ飛んだわ。


「さてと、紹介するね。キタイイズナの方が冬香(ふゆか)。エゾモモンガの方が(ひとみ)。二人とも女の子よ」


「初めまして優様。アリア様の使い魔で冬香と申します。裁縫と料理を担当しています」


 二本足で立ってぺこりとお辞儀をしてくれたのだ。上品で可愛い感じがしてたまらない。


「初めまして優様。ボク、アリア様の使い魔の瞳。モノづくり担当です。よろしくっ」


 二本足で立って、最後に右手を元気よく上げてくれた。いかにも元気なボクっ娘って感じがしてこれまた可愛い。


「冬香、ここにいる優に服を作ってあげて。素材は’ふわふわもふもふストーリー’の世界にあるのを使ってね」


「では優様、寸法を測らせて頂きますので脱いでくださいね」


 う、不味い。いや、いつかはこうなると思ってたけどまさかギャラリーがこんなにいるとは思わなかった。


「え、ちょっと待って」


 私はあの日、何時でも就寝できるようにシャワーを浴びてパジャマに着替えたのだ。そうなると、その、ノーブラな訳で。しかも人に見せられるような大きさではない。


「わたくし、下着も作れますし、フィッティングも出来ますから任せて下さい」


「フィッティングかぁ」


 聴いたことはあるが、店員さんに見せる度胸が微塵も無いのでやってもらったことはない。

 友達のビフォーアフターをみていると効果はあったけど……皆Cカップ以上あったからなー。


「わたしも冬香にフィッティングしてもらったけどばっちりよ」


「そりゃ、アリアさんはいいわよ」


 寄せるモノがある人はいいわよ。いやアレは脂肪の塊だ。無い方が健康にいいに決まっている。そうだ、そうに違いない。はい決定。


「ボク、優様からなにか怪しいオーラを感じるんですけど……」


 気づけば、冬香と瞳が少し怯えているではないか。それはいけない。


「ああ、怖がらせてゴメンないさい。じゃあ、冬香、お願いね」


 ま、まあ皆があれだけ言うなら効果が期待できるでしょう。




 きちんとフィッティングすれば形も大きさも見栄えが良くなるなんて信じたのが、ちょっと期待を持ったのが、間違いでした。


 勇気を出してショーツ一枚になったというのに、結局壁は壁でした。うううっ。


 唯一の救いが、シルクのオーダーメイドのショーツとブラが手に入ったことだけ。でもそのショーツも……紐パンでした。


「ほら、優のショーツは化繊だし、ゴムも入っているし……」


 そう、あっちの世界には化繊も合成ゴムもありません。万が一あっちで、例えば風呂場か何かで誰かに見られたら説明が出来ません。だからシルクの紐パンになりました。いくら布地の面積が広くても恥ずかしいものは恥ずかしいです。


「ところで優様、服のデザインはいかがいたしましょうか」


 ゲームのキャラが来ている服で気に入っているデザインがある。


「これがいいかな。あまり目立たないし、それなりに動きやすそうだし」


 薄緑を基調としたひざ丈のワンピースに茶色のブーツを指定した。


「はい。それでは行きますよ」


 冬香が魔法を唱えると、私の身体を光が被い、そして指定した服を纏っている。さっきの下着もそうだった。


「それにしても魔法は便利ね」


「現代のテクノロジーだって魔法に負けないくらい便利だけど」


 アリアさんも言うことにも一理ある。


「優様~、これでいいですか」 


 瞳からソレを受け取り、試運転してみるとちゃんと動くではないか。


「おおっ、凄いわね」


 地球では電化製品だけど、なんとか手動で動かせないか設計して瞳に試作してもらったのだ。


「優、ちょっとこれ見て」


 アリアさんがスマホを持ってきた。某有名ニュースサイトでは叔母の逮捕がトップニュースになっている。


「さて、片付いたことだし行きますか」


 アリアさんからもちょとずつあっちの世界を改善して欲しいと頼まれている。もっと新しいものを作るのは次に帰ってきたときにしよう。


「「優様」」


 手荷物を持った私に冬香と瞳が飛びつく。


「二人ともありがとうね」


「そうだ、あなた達ついていってあげて」


「アリアさん、いいの」


「「アリア様よろしいのですか」」


「いいわ」


 アリアさんが魔法陣を作ると私たちはその中心に立つ。


「アリアさん、行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


 私たちは光に包まれた。

気が向いたら

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他にもう一作書いています。


タイトルは


『神魔大戦~神と悪魔の戦いに化学で割って入る物語』


https://ncode.syosetu.com/n2539ft/


です。こちらは打って変わって生々しい描写のオンパレードです。思いっきりR15指定です。読まれる際は十分気をつけて下さい。

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