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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第1部 異世界の旅路
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第13話 新天地へ1(通常版)

 王城側が海賊共と結託して動き出してきた。造船都市アルドディーレ、新天地周辺の海域、そして商業都市リューヴィスへの同時侵攻である。


 しかし、アルドディーレは屈強な冒険者達や自警団がおり、問題なく撃退に成功。新天地周辺の海域は、大海原の覇者たるレプリカ大和の咆哮で一蹴。リューヴィスは、やり手の闘士に成長した女性陣の活躍により、完全撃破を勝ち取った。どれも完全勝利である。


 だが、これで諦める王城側ではない。次の愚策を巡らせているのは大いに読める。厄介な行動に出られるとマズいが、一歩ずつ進んで行くしかない。



「大丈夫ですかね・・・。」

「規律のスペシャリストだしな、問題はない。」


 アルドディーレからリューヴィスに戻ってきたエメリナ達。造船都市の方は、ウインドとダークH、そしてヘシュナとナセリスが駐留する事になった。また、メカドッグ嬢達を率いるという事で、ミツキTも同伴している。そのメカドッグ嬢達は総勢200人である。


「どうしますか? 私達も新大陸の方へ移動で?」

「ああ、その方がいい。かなり近い間隔で2回も襲撃されている。連中の考える事が痛烈に読めるしな。これだから男は・・・。」

「フフッ、マスターらしいです。」


 吐き捨てるようにボヤく。自身も野郎なのだが、あの連中と同じとは思いたくない。あれらは飢えた野獣そのものだ、カス極まりないわ。


「みんな逞しくなったわぅから、新天地でも十分暴れられるわぅよ。」

「でも、向こうは野生の魔物群らしいから、油断しないようにしないとね。」

「大丈夫わぅ、勝ち進んでやるわぅ!」


 彼女の言葉に雄叫びを挙げるリューヴィスの女性陣。それに続くトラガンチームの女性陣だ。ここまで立ち直れたのかと驚く限りだが、初めて出逢った頃の姿を踏まえると本当に良かったとしか言い様がない。


「・・・となれば、次の行動は大都会だな。」

「陽動ですか?」

「ああ、リューヴィスの女性陣が新大陸に移動するまで、大都会に視線を釘付けさせる。もうあのカス共には、絶対に触れさせん。」


 彼女達に降り掛かった様相が脳裏を過ぎり、痛烈なまでの怒りが湧き上がる。すると、その波動に同調したようで、性転換ペンダントが自発的に発動してしまった。男性姿から女性姿に変身してしまう。それを見ていた一同は、驚愕すると同時に呆気に取られている。


「・・・はぁ、またか・・・。」

「ウッシッシッ♪ 見事なまでの女心わぅね!」

「地球でも同じでしたからねぇ。」


 方々(ほうぼう)から茶化しが入ってくるが、俺の心構えと言うか、女性への一念を知って、周りの女性陣の目線が何時になく優しいものになっている。特にリューヴィスの女性陣の目線が顕著だ。


「ただ、その場合だと、何時変身が解けるか分かりませんよね。」

「ええっ・・・まさか、当面は解けないとか?」

「マスターが持つ各ペンダントは、生きているわぅよ。さっきの怒りの一念に反応して、自らその能力を発揮させたわぅ。だから、ペンダント自体が必要ないと判断しない限り、変身の効果が切れないんだわぅ。」

「な・・何ともまあ・・・。」

「良いと取るべきか、悪いと取るべきか・・・。」


 自然的に発生した状態を知って、呆れ返っている妹達。身内もこの様相自体、数度しか見ていないからか、同じく呆れ返っている。ただ、男性から女性に姿が変わったのを見て、何処か安堵しているリューヴィスの女性陣。これは、トラガンチームの女性陣も同じだったので、仕方がない事ではある。


「まあ何だ、お前さん達には大変悪いが、今の王城には女性の姿が特効だろう。あのカス共が必ず付け入って来る。ならば、この姿で大暴れしてやるわ。」

「・・・お姉様方が呆れられるのを痛感しました。」

「・・・強いと言うか何と言うか、見事ですよ。」


 今の俺の決意を知ってか、この上なく呆れ顔のサラとセラ。しかし、自分達に向けられる厚意に感謝してくれているみたいだ。俺の方も、彼女達の笑顔を勝ち取れるなら、どんな役割だろうが担ってやる。


「今回は私達もご一緒します。新大陸へは、サラ様とセラ様が担ってくれるとの事で。」

「そこは一切合切お任せを。むしろ、大都会の方が大丈夫か気になりますが。」

「今では悪の巣窟になってますからね。油断しないようにして下さい。」

「茶菓子も不味くなりそうな気配わぅ。」


 茶菓子を頬張りつつボヤくミツキ。恒例の様相だが、その表情は怒りの雰囲気を放っている。彼女の心境までは分からないが、リューヴィスの女性陣に降り掛かった出来事を踏まえれば、否が応でも怒りが湧き上がってくるだろう。


「ミツキさんとナツミAさんは、彼女達の護衛を頼む。無事向こうに着いたら、遊撃を開始していい。まだ未踏査だから、周辺の探索なども必要だろうし。」

「了解です。ミュティナさん達と暴れていますね。」

「未踏査地区最終調査わぅ!」

「ん? 機械式の堕天使でも出そうよね。」

「デ・デ・デ・デストローイ!」

「はぁ・・・。」


 恒例のボケとツッコミが繰り出される・・・。しかし、今まで出ていなかったからか、その当たり前の様相を窺った女性陣に笑いが起こる。これでこそミツキ流の生き様だろう。



 今後の作戦が練り終わった後、3つの人工腕部にマデュース改を装備する。右手には携帯方天戟を、左手には隕石方天戟を持つ。鬼の様相となるが、ハッタリとしては申し分ないものだろう。ちなみに、イザリアは携帯イルカルラを専用で使うらしい。


 敵の目をこちらに向けるため、態とらしくリューヴィスの東門から表へと向かう事にした。もし襲撃があるとすれば、こちら側からの侵入となると予測されるためだ。転送魔法での移動も考えられるが、馬鹿正直みたいに正面侵攻で見せてくるとも思える。


 準備が完了し、出発しようとした矢先、近場に幼子達が駆け寄って来た。ミツキ達が言うには、壁門上でランタンを振ってくれたあの子達らしい。


 地面に携帯方天戟と隕石方天戟を突き刺しつつ、立て膝を付いて目線を合わせる。すると、どの子からともなく抱き付いて来た。そこに込められた思いを、痛烈に感じさせられる。その小さな頭を撫でてあげた。


 ・・・この幼子達の笑顔を守るために、俺は戦い続ける。絶対に悲しい顔などはさせない。それぞれの幼子の頭を撫でつつ、胸中で確固たる誓願を誓った・・・。


    第13話・2へ続く。

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