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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第1部 異世界の旅路
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第12話 海上対決3(キャラ名版)

ミスターT(造船都市の移動はどうするか・・・。)

ウインド(メカドッグ様方の情報だと、王城を超える防備を整えているので、そう簡単にやられる事はなさそうです。海賊側が襲撃するも、上陸すらできない状態ですし。)

ダークH(それに、連中は魔大陸側も気にしています。幸いにも、イザリア様側がこちらにも圧力を掛けて下さっているので、造船都市は安全と取るべきでしょうね。)

イザリア(圧力も何も、仲間と共に魔力の渦を海上に向けて放っているだけなのですけどね。)


 造船都市の酒場の屋上で、現状報告を受ける。最近は屋上に屯する事が多い。屋上の仮面男とか変なレッテルを貼られているが、ハッタリとしては上出来だろう。


イザリア(ただ・・・非常に申し上げ難い事があるのですが・・・。)

ミスターT(デハラードの地下に、お前さん達が使っていた宇宙船がある、だな。)

イザリア(ご・・ご存知だったとは・・・。)


 俺の推測に驚愕する彼女。これは工業都市に初訪問した際に、ヘシュナの宇宙船と対峙した雰囲気に襲われたのが切っ掛けだった。それを決定付けたのは、オルドラが持っていた隕石鉄などの鉱物である。


ミスターT(つまり、王城の魔術士共が、その宇宙船を稼動させる可能性が高い、と。)

イザリア(そこまで読まれているとは・・・。)

ミスターT(俺ならそうするわな。)


 驚愕し続ける彼女に小さく笑って見せた。愚物の行き着く先は、より強力な力を手に入れる事になる。地球では最終的に、現地最強の核兵器ツァーリ・ボンバすらも出してきた。ここでの最強兵器は、イザリア達の宇宙船という事になる。


ヘシュナ(ですがマスター、稼動できるかどうかの問題が出てきますよ。宇宙種族の波長と言うか、それがないと稼動すらできません。それに、善心があってこそ働く兵装も数多く、連中の状態では扱う事すらできませんし。)

ミスターT(お前さん達を見てきて、痛いほど思い知らされてる。だが、ここは異世界の属性が強く働いているからな。特に魔法の概念、これを使った場合が気掛かりでならない。)


 一服しながら不安材料を吐露する。地球では魔法の概念はないが、ここではそれが存在している。これにより、人為的に善心を発生させる事ができるなら、稼動は十分有り得る。


ミスターT(イザリアさんや、お前さん達が使っていた宇宙船は何隻ある?)

イザリア(私達姉妹の分、つまり3隻です。)

ミスターT(そのうちの1隻がデハラードにある訳か・・・。)


 王城の連中が何処まで駒を進めているかは不明だ。しかし、悪党の行う事は大体が同じだ。必ず強大な力を得ようとするに違いない。


ミスターT(・・・ミツキさんや、お前さんならどう読む?)

ミツキ(んー・・・3隻全部稼動ですかね。私利私欲の極みは、こちらを完全に圧倒するのと、より強力な力の掻き集めですからね。私が思うに、最悪は3隻の稼動でしょう。)

ミスターT(悩ましいわな。宇宙種族のテクノロジーは、地球の既存の兵装を超越し、使われる素材自体は朽ちる事が絶対にないほど強固だ。何時でも稼動可能な新品状態とも言える。)

ミツキ(ネタになりますが、本当の意味での“魔大陸浮上”ですよね。それでいて、帝国を再現するとか言い出しそうですし。)

ミスターT(はぁ・・・ドイツもコイツも盲目そのものだわ・・・。)


 非常に遣る瀬無くなってくる。地球でも異世界でも、悪心を持つ悪党が目指し、行き着く先はほぼ同じであるという現実。これにはとにかく呆れ返るしかない。


エリシェ(そして、その大多数の淵源は人間である、と。自己嫌悪に陥る理由を痛感します。)

ラフィナ(守るべき存在なのかと、思いたくもなりますよ。)

ミスターT(まあな・・・。)


 胸中を見透かして、簡潔に戒めてくれるエリシェとラフィナ。2人はこうした愚痴を何度も聞いてくれており、その都度共に解決策を模索し続けていた。今も全く同じである。


ミスターT(・・・それでも、リューヴィスの女性陣の笑顔を、より一層明るくさせるためには、俺はどんな手段だろうが投じていく。)

ナツミA(アハハッ、そうなりますよね。マスターが出発されてからは、皆さんの表情が更に明るくなっていってます。それに、今だからこそ、貴方に感謝の一念も出していますよ。)

ミスターT(こんな変態気質の変人なんぞ、何の役にも立たんよ。)

ミツキ(おおぅ、正に自己嫌悪わぅ♪)


 徐々に感謝されだしている現状に、皮肉を込めて呟いた。それを自己嫌悪だと言うミツキ。若干のズレはあるものの、まあ自虐ネタに近いのは確かだろう。


ミスターT(・・・最悪は、重装甲飛行戦艦に7大宇宙戦艦の投入を念頭に頼む。究極は宇宙船になるが、手前の空中兵装だけで済ませたい。)

ヘシュナ(了解です。そのプランは既に挙がっているので、後は出す場所を見極めるだけですし。)

ナセリス(いよいよ旗揚げですな♪)

ヘシュナ(思う存分暴れますよ♪)

ミスターT(・・・その嬉しそうな表情はやめれ・・・。)


 最後の最後で、我欲が出始める2人。いや、この場合は各マンガの最強属性に魅入られた、ヲタク気質の女性達と言うべきか。かく言う俺も同じ気質なので、変な興味はあるが・・・。


 先を見越しての行動、か。警護者の世界では、その生き様を貫かねば生きてはいけない。特に警護者の性質上、護衛者を完全警護して依頼遂行となる。守り切れない場合は、警護者失格そのものだ。


 如何なる手段を投じようが、警護する対象は必ず守り通す。今の警護対象は、この異世界惑星の普通の住人達である。規模の問題が悩み所だが、各種兵装を駆使すれば十分守り通す事が可能だ。


 結局、何時の時代も警護者の役割は変わらない。ならば、己が生き様を信じ切り、前に突き進むのみである。




 レプリカ大和を投入してからは、海上輸送は各段に向上しだした。既存大陸と新大陸の間の荒波だが、同艦のバランス安定機構の手前、全く以て揺れはしない。レプリカ伊400も同じである。順調に海上輸送を行えている。


 流石の海賊群も、この荒波の前ではご自慢の海賊船は出せていない。この部分では、地球と宇宙種族のテクノロジーの勝利であろう。変な優越感に浸ってしまう。それに、向こうからの横槍があったとしても、2隻のガンシップの前では象と蟻の対比だ。


 だが、悪党はありとあらゆる手段を投じてくるのも定石である。王城と結託した海賊群が、次はどの様な手段を投じてくるか気になる所だな・・・。


オルドラ(この技術力は本当に凄まじいな・・・。)

エリシェ(過去に母国で製造された、旧世代の戦艦ですからね。今では見劣りしますが、宇宙種族のテクノロジーが合わさった現状、再び最強の戦艦に返り咲きましたし。)

ラフィナ(トランジットげふんげふんです♪)

ミツキ(にゃっはー♪)


 シュリーベルとデハラードの完全移動が済み、レプリカ大和の艦橋で指揮を取るオルドラ。同艦の技術力に感嘆し続けている。エリシェとラフィナも同伴しており、今では海上の司令塔と化していた。遠方のミツキのボケも健在だが・・・。


ネルビア(お嬢様方、2都市の完全撤収は済んだ感じで?)

ラフィナ(はい、お嬢様です、テヘペロ♪)

ミツキ(出たわぅ! テヘペロ姉ちゃんわぅ♪)

ナツミA(何なのよそれ。)

ミスターT(真面目会話中のボケはやめれ・・・。)


 何時もこの調子である・・・。流石に飽きが来だしているとは思うのだが、それでも引っ切り無しにボケを繰り出してくるのだ。怖ろしい事この上ない・・・。


ラフィナ(・・・失礼しました。でで、お話の続きですが、シュリーベルとデハラードの完全撤収は終了しました。)

ヘシュナ(流石に王城から不審な目を向けられていますが、今は別の画策があるのか、大して気に留めていないようですけど。)

アクリス(2都市が無人となったら、不法侵入してくる輩が多くなりそうな気がしますが。)

エリシェ(それでも全部見越しています。悪い言い方ですが、私利私欲者ホイホイと言いますか、格好の餌ですよ。)

アーシスト(姉御もやりますねぇ。)


 本当である。今後の流れを憂いて、既存大陸から脱出を図ろうとしている人物達は、ほぼ善心を持つ人物となる。オルドラが作戦は、中立心や悪心を持つ人物を寄せる餌なのだ。連中に空き物件などを譲るとまで言い出している。


オルドラ(マスターには悪いが、俺は悪党やそれら愚物は容赦せんよ。お前さんが思っている通り、何時も泣かされるのは女性と子供達だけだ。リューヴィスの面々が正にそれだろう。)

ミスターT(そうだな。オルドラさんの意見の方が断然正しい。)


 今挙がったリューヴィスの一件を思いだす。あそこまで卑怯で非情に至れるのかと、怒りと憎しみの一念が湧き上がってくる。それは時間が経過すればするほど、より一層強い一念として湧き上がってくる。


テューシャ(・・・本当にありがとうございます。その思いが、過去にあった出来事を払拭させてくれるかのようで・・・。)

ミスターT(多くは語らんでいいよ。)


 心の内を語ろうとする彼女を押し留める。俺への戒めなどを踏まえると、テューシャも過去に何らかの行為を受けていると思われる。しかし、今となっては過去の話、前を向く事が重要となる。


ミスターT(経緯はどうあれ、最後に勝利すれば問題ない。歴史の采配は、後の世上に全て委ねる。俺は目の前の道を進み、己が生き様を貫き通すまでだ。)

エメリナ(ですね。より一層奮起せねば。)

フューリス(頑張りませんと。)


 3人を筆頭に、それぞれを鼓舞していく面々。リューヴィスに待機中の妹達もしかり。その彼女達を見て、身内は小さく微笑んでいた。



シルフィア(ありゃりゃ・・・そう来るのか。)

スミエ(横槍と言うより、侵攻そのものですよね。)


 意識を屋上へと戻し、周辺の警戒に当たろうとした時、王城潜入中の2人から念話が入る。今では念話の規模が濃密化しており、2人が見た内容が俺達全員に伝わってくる。


 その内容は、王城から出撃した部隊が、再びリューヴィスに向かったというものだった。更には海賊の大船団が、今はまだ新大陸で居留地状態の場所に向かった事。そして、造船都市への侵攻である。


カネッド(マジかよ・・・また来やがるのか。)

ダリネム(あの連中も懲りないねぇ・・・。)

キャイス(面白いっすよ、迎え撃ってやりますぜ!)


 内容を窺い、一気盛んに燃え上がる妹達。リューヴィスには今もミツキとナツミA、それにサラとセラ率いるトラガンチーム、ミツキT達メカドッグ部隊も駐留中なので、戦力的に全く問題ない。


エメリナ(今回は海上からの襲撃はなさそうですね。アルドディーレの冒険者達だけで、十分退けられる感じでしょうか。)

ウインド(空中と海上以外の防備は磐石のようなので、1箇所の壁門だけに集中すれば問題ないと思います。)

ダークH(そのプランで参りましょうか、市長様に提示してきます。)


 早速行動を開始するウインドとダークH。自前のカリスマ性は、同都市の自警団を虜にするには十分だったらしく、今ではオブザーバー的に活動を繰り広げている。流石は現役の警察庁長官だわ。


ミスターT(デュヴィジェさんや、アルドディーレの北側にレプリカ伊400を待機させてくれ。不測の事態の対処を頼む。)

デュヴィジェ(了解!)

ミスターT(となると、問題は新大陸側か。レプリカ大和だけで大丈夫か?)

ルビナ(この兵装を以てしても、相手に圧倒されるとでも? それは見縊られたものですよ。)

エリシェ(この海域より新大陸へは、絶対に上陸なんかさせませんよ。)

ラフィナ(あ・・忘れてました、エリミナ様方もお呼びしていたんですけど?)

ミスターT(ハリアーⅡ改部隊か・・・。)


 テヘペロ状態のラフィナはさておき、何とエリミナ達航空団も呼んでいたらしい。


 レプリカ大和とレプリカ伊400には、通常のレシプロ型の航空機は搭載されておらず、近代兵器のハリアーⅡ改が格納されている。レプリカ大和の方は5機、レプリカ伊400の方は2機である。


 既存兵装のF-35ライトニングⅡよりは遥かに弱いが、5大宇宙種族のテクノロジーで超強化されたハリアーⅡ改だ。その実力はもう、話にならないぐらいの凄まじい領域に至る。それに、同機には小型のレールガンも搭載されている。恐ろしいとしか言い様がない。


ミスターT(取り囲まれそうだったら、エリミナさん達に出撃指令を頼む。)

ラフィナ(何時でもスタンバってるそうです、はい。)

ミスターT(はぁ・・・そうですか・・・。)


 何時でも出撃が可能だと豪語するラフィナ。とにかく呆れるしかないが、今は不測の事態への対策が必要だ。この様相なら、レプリカ大和群だけで問題ないだろう。


ミスターT(大都会の方はどうだ?)

ヘシュナ(あー、至って平和でござる。)

ナセリス(皆様方、何事もないかの様にいらっしゃいますよ。)

ミスターT(当事者だと言うのに、平和ボケは恐ろしいわな・・・。)


 不服そうにボヤく2人だが、その内情に共感してしまう。現状は王城が取り仕切っているとも思えるので、同都市自体への襲撃はまずないと思える。師子身中の虫は起こらないだろう。


ミスターT(・・・さて、迎撃準備に取り掛かりますかね。)

フューリス(今回は最前線で戦わせて頂きますよ。)

エメリナ(全部任せっ切りでは失礼ですし。)

ミスターT(そうだな・・・共同戦線を張るとするか。)


 既に壁門外で待機中の3人。市長に提示をした後、ウインドとダークHも壁門外へと向かう姿が見られる。ここは、彼女達と共同戦線を張るのが無難だろう。


イザリア(マスター、隕石方天戟をお借りしてもよろしいですか?)

ミスターT(何だ、お前さんも方天戟マニアになりつつあるのか。)

イザリア(ええ、まあ・・・。お伺いする所、同獲物を扱う武将殿が、かなりの強者との事で。)

ミスターT(強い存在に憧れる、だな。)


 手持ちの隕石方天戟を、傍らのイザリアに手渡す。そう言えば、今まで彼女は固定の武器を一切持っていなかった。魔王たる存在は、殆ど魔法か肉弾戦の攻撃が多いとの事だが。


ナツミA(マスター、携帯イルカルラはありませんかね?)

ミスターT(アレを使えというのか。)

ナツミA(いえ、イザリアさんに、ですよ。斬撃よりも、その獲物の恐怖度で戦意を喪失させ、柄や刃以外で叩いて気絶させるとか。)

ミスターT(はぁ・・・どうなっても知らんぞ。)


 空間倉庫に格納してある、携帯イルカルラを取り出す。某ゲームの人物が使う、究極の鎌だ。それをイザリアに手渡した。同獲物を見た彼女の目が、一際怪しく輝いている。


 それぞれが準備を整えて、戦場へと向かっていく。今回は他方面からの同時侵攻とあり、相当な規模となるだろう。リューヴィスの方が気になるが、かなりの女傑達を配置している。問題はないとは思うが。


    第12話・4へ続く。

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