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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第1部 異世界の旅路
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第12話 海上対決2(通常版)

(はぁ・・・嫌な予感が当たったわね・・・。)


 海上兵装を導入してから約2週間後。王城に追加の潜入捜査をしているシルフィアから、呆れ雰囲気の念話が入ってくる。今はスミエとタッグで暗躍中だ。


(・・・王城と海賊との結託か。)

(君が予測した通りの展開で呆れるわよ・・・。)

(これ、裏では黒ローブ軍団が絡んでいるのは間違いありません。それに、魔物軍団も増産しているみたいで。)

(不死族系の魔物ですか・・・。)


 今ではバリバリの調停者と裁定者に回帰した魔王イザリア。その彼女が王城の悪事を知り、恐ろしいまでに怒りを露わにしている。過去にヘシュナが同じ雰囲気を醸し出していたのが懐かしい。


(不死族系の魔物は、過去に死去した魔物やらを強制的に蘇らせて、使役させられるのが通例ですからね。ならず者や傭兵よりも忠実に行動してくれますし。)

(マスターが以前仰っていましたが、人は要らぬ考えにより、命令以外の動きをする事が多いですし。悪い言い方では、役立たずと言うべきか。)

(そこは大いに同意するわ。)


 地球での各事変の後半は、傭兵軍団よりも忠実に動く機械兵士や人工生命体を使ってくる事が多かった。この異世界惑星では、それが不死族系の魔物に置き換わっているだけである。


(魔物でも、死せる存在を強制的に蘇らせられたのは、哀れと思うべきですかね・・・。)

(一理あるが、俺はそう思わない。連中の淵源は何だったのかを問い質せば、因果応報の理が顕然と現れてくる。ぶっちゃけ、自業自得そのものだ。)

(そうね。ただ、問題なのは、普通に寿命を全うした存在の甦りだけど。)

(地球で色々なマンガなどを読み漁りましたが、生前時にマイナス属性に至った存在ほど、そのゾンビやスケルトンなどとして蘇らせられるケースが多いとか。)

(そう言った設定を見た事があります。でも、実際に本当だったと窺い知るのは、今回のこの流れが初めてとなりますけど。)

(百聞は一見に如かず、か。)


 現実世界に生きる俺達にとって、この異世界の概念は本当に参るしかない。


 各作品群では色々な設定を窺ってきたが、今俺達が直面する現実では、そうなる場合とそうならない場合と複数存在している。実際にファンタジー世界観に迷い込んだのだ、右往左往するのが当たり前である。


 唯一の免疫力的なのが、地球で色々と楽しませて貰っている小説・マンガ・アニメだろう。元祖アキバパワーとも言うべきか。もしそれらの免疫力がなかったら、今の異世界惑星の現状にシドロモドロだったのは言うまでもない。


(劣勢わぅか?! ふんっ、わた達がいれば鬼に金棒わぅ!)

(そうよね。地球だろうが異世界惑星だろうが、実力で全てを覆していくと。そのための警護者の力になるし。海上兵装の運用も、そこに当てはまると思いますよ。)

(行く行くは、重装甲飛行戦艦・宇宙戦艦・巨大宇宙船も投入して・・・フッフッフッ♪)

(感心せんな・・・。)


 不気味なまでにニヤケつつ、まだ手持ちのカードはあるのだと語るミツキ。それを知り、再び驚愕の表情を浮かべだす異世界組の面々だった。地球組は既に使っている力であるため、呆れ顔になるぐらいだが・・・。


(お前さん達だけで、全てを終わらせられる訳か・・・。)

(んにゃ、主役はみんなわぅよ。わた達はゲストわぅし。)

(ゲストがメインよりも目立っている感じなんですけどね・・・。)

(なぬぅー?! 何故バレたわぅか?!)

(アハハッ・・・。)


 笑うしかない、といった雰囲気の妹達。これらミツキの行き過ぎた考えは、もはや暴走機関車の如く止められない状態である。しかし、皮肉にもそれらが特効薬になるのだから、不思議としか言い様がない・・・。


(まあ何だ、今は非戦闘員や善側に近い人物を移動させよう。中立側と悪側はどう転ぶか分からないから、よく判断して行動させてくれ。)

(それ、何か非常に嫌な概念ですよね。善側だから助け、悪側だから助けない、とか。)

(我々は善悪判断センサーには疎いですが、それなりに感じる事ができますからね。)

(まあな。それでも、手を拱いて間に合わなくなるよりは遥かにマシよ。)

(王城より距離を置いた方々の方が、ほぼ被害者が多い感じですからね。こちらから移動させたのは良かったと思いますよ。)


 オルドラの作戦を評価するエリシェ。余程の事がない限り、非戦闘員の中に悪人はいない。その殆どが被害者となる。シュリーベルとデハラードから移動を開始したのは、それらを見越した感じのものだろう。


(今の世上に憎まれようが、未来の世上に感謝される行動をする、ですよ。それらが嫌であれば、警護者の道などに進む事はありませんでしたし。)

(大企業連合・宇宙企業連合もそうですが、自ら憎まれ役を買って出てますし。しかし、全ては世上の安穏を目指せれば、ですよ。私達の行動理念もそこにありますし。)

(ある意味、私達は悪役なのかも知れませんね。イザリア様が究極の悪役、魔王を演じているのと同じ様に。)

(悪役でも悪心に染まらなければ善役そのものです。悪役も伊達じゃありませんよ。)

(善心の悪役、悪心の善役、皮肉な感じだわな。)


 徐に一服しながら思い遣る。それこそ烏滸がましい概念なのだろうが、誰かが担わなければならないのも事実だろう。本当に損な役回りだわ・・・。


(事実無根? 私、ワンコを飼っております♪)

(某師匠十八番の台詞を改修と。)

(ニャンコ様ー♪)

(誰がニャンコ様よ。)

(はぁ・・・賑やかでいいわねぇ。)


 色々と思いが交錯する中、恒例のボケとツッコミが炸裂しだす。その致命の一撃を受けて、自然と笑ってしまった。釣られて周りの面々も笑いだしている。


(まあでも、間違った方に進まなければ良いですよ。全ては総意の安穏のために動く、これに限ります。)

(そうだな、お前さんのその心意気を汲んで動くわ。)

(ぬぅーん、ワンコと共にあらん事を。)

(ワンコねぇ・・・。)


 真面目言葉を発したと思ったら、直ぐにボケに転じるそのギャップ。先の笑いの影響が残る状態だったので、次の一撃で爆笑してしまった。本当にこの美丈夫には敵わないわ・・・。


 笑いが絶えない念話だが、どの面々も今のシルフィアとスミエの発言に表情を曇らせる。俺が王城と海賊が結託すると挙げていたが、実際に至ったとなると厳しい展開が予測できる。


 王城は騎兵や重装兵などの地上部隊、海賊は船舶による海上部隊に若干の地上部隊。逃げ場がなくなる恐れが出てくる。特にシュリーベル・デハラード・リューヴィスは、王城に近い距離に位置している。総出で来られると非常にマズい。


 幸いにも、海上はレプリカ大和とレプリカ伊400による、抑止力作戦を展開しだした。海賊側は問題ないにせよ、王城側をどうにかしないと厳しいだろうな。


    第12話・3へ続く。

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