第12話 罪滅ぼしの戦い13 旅路の振り返り12(キャラ名版)
目立った愚物共を抹殺した後、“満を持して”登場したのが白いモヤことティルネアだ。王城の崩壊と共に現れるのは、全てを見守ってきた存在だと言うしかない。
ここ異世界惑星に到来した際、カルーティアスに鎮座する老王たる存在があった。それは密偵として入り込んだスミエやシルフィア、ミツキTやティルフィアですら分からなかった。
まあ分からない筈である。その理由は、ティルネアが生粋の悪党ではないからだ。もし悪党であったのなら、直ぐにその存在を察知する事ができただろう。しかも、彼女は生身の肉体を持たない精神体の存在である。察知し辛かったのは言うまでもない。
だが、悪道に走った故の罰を受けたようで、その姿は何時消滅してもおかしくなかった。これも彼女が精神体故に、ダイレクトに罰が魂へと降り注いだと思われる。そもそも、精神体で悪道に陥る事は非常に希だ。“一部例外を除いて”だが。
そんな彼女を完全治癒するのはヘシュナ。勝手見知った感じの行動に苛立ちを覚えつつも、生きて汚名を返上せよという配慮だった。異世界惑星を治癒するほどの力量だ。一精神体の治療など朝飯前である。
それに消滅と挙げたが、実際に消える事はないだろう。生身の肉体を持っていれば話は別だったのだろうがな。何にせよ、消滅寸前の精神体すら治療して完全復活させたヘシュナには脱帽すると同時に呆れるしかなかった。
ちなみに、彼女が放ったこの力量は、異世界惑星を治療した時に“全ての”ペンダントに効果を発揮している。更には“全ての”生命体にも、である。つまり、今の俺達は相当な力量を浴びた事にもなる。老化が低下したとしても全く以ておかしくはない。
ティルネア「ヘシュナ様の力量には脱帽します。精神体にも効果を発揮させる治癒力は、最早超越者と言えるものですし。」
ヘシュナ「買い被り過ぎですよ。私は一凡夫に過ぎません。マスターや皆様方には遠く及ばないのが実状ですから。」
自身の完全復活を成し遂げたヘシュナに対し、心から感謝すると同時に心から脱帽しているティルネア。確かにその力量は、俺達が考える次元を超越している。超越者の言葉が相応しいだろう。
だが、直ぐに恐縮気味に反論するヘシュナ。恒例的な言い回しの、一凡夫に過ぎないという過小評価のものだ。そして、俺達には遠く及ばないと言い切っている。
実際問題、彼女の力量はデュヴィジェやミツキT達に迫る超大なものだ。特に治癒のレベルでは彼女に敵う存在は誰もいない。身体の欠損は無論、魂たる精神体すら回復する力量だ。ファンタジー語録で言うのなら、ハイパープリーストと挙げるべきか。
もし、ここで過大評価をしたのなら、周囲からの戒めの一撃が飛んできたのは言うまでもない。天狗状態まっしぐらと言えるのだから。まあでも、それは絶対に有り得ない。今現在のヘシュナは突飛した一念を持つ存在だ。誤った考えを持つ事自体、彼女自身がそれを許す事はないと言い切れる。だからこそ、ここまでの治癒力を放つ事ができるのだから。
ミツキ「ヘシュナちゃんは総意の生き様の鏡写しな感じわぅね。」
ミスターT「だな。彼女が曲がらなければ、俺達も曲がる事はない。お前さんの生き様も全く同じだしな。」
ミツキ「ふふり♪ 周りには多くの師匠や弟子がいるのだよ。」
鏡写し、か。ミツキらしい解釈である。総意の姿は自分自身の姿に他ならない、これだな。故に曲がった方に向かないように心懸ける必要もある。人生とは常にその繰り返しだ。
今では持ちつ持たれつ投げ飛ばすの間柄の総意。周り有っての自分自身だと痛感せざろう得ない。本当に心から感謝するしかない。
ティルネアとの一種の和解で和気藹々としだすのだが、そこに出たのが不測の事態だった。そう、これは俺達ですら予想できなかったものになる。
今まで現れた悪党共は全て抹殺をしてきた。例外としては、ジークやギースにカールの面々ぐらいである。元から善心を持ち合わせていた故に、その道から逃れる事ができたと言える。
その中で、漏れ出ていた存在がいた。セレテメス帝国で猛威を振るった宰相だ。ゼデュリスの義理の父を抹殺した存在である。その件に関しては、既に決着を着けている様子の彼女。
何故今になってと言う感じだったが、その雰囲気やティルフィアの嫌悪感を察すれば、相手が誰なのかが直ぐに理解できた。黒いモヤ事変の当事者、真黒のモヤだ。
ティルフィア自身、元は白いモヤの存在だった。その彼女が消滅し、異世界惑星に転生した形になる。その彼女なら分かるが、まさか“どうでもいい存在”すら転生していたとはな。本人から一部始終を伺って、真底呆れ返るしかなかった。
そして、現状は最大最強の敵である。元は真黒のモヤとなれば、その力量は異世界惑星の枠では収まり切らない。他の愚物共など話にならないレベルであると言い切れた。しかし、宰相は大損をしていたのである。
もし何も持たない状態での転生であれば、間違いなく最大最強の存在になったのは間違いない。だが、奴は生身の身体に転生してしまった。超大な力量の精神体が、脆弱な人の身体に縮まった事により、その力量の大多数が失われてしまったのだ。
確かに一生命体からすれば、覚醒時の宰相の力量は俺達を超越していただろう。あの魔術師すら話にならないレベルだ。だが、これも定説的な言い回しだが、それは異世界惑星内での話でしかない。奴をも超越する存在、それこそが5大宇宙種族の面々だ。
特に精神体を主軸としているミツキTや、おぼろげな姿から覚醒に至ったティルフィアの前では、マッチ棒の火と超新星爆発の火力の比である。デュヴィジェを筆頭とした宇宙種族組ですら、ガンマ線バースト的な火力でもある。
そんな一生命体にまで堕ちた宰相は、ヘシュナやナセリスの精神束縛の力量を受けて即座に動けず仕舞いとなる。本来なら抑え込む事すら不可能なのだが、所詮は一生命体の枠組から逃れられない証拠であろう。
それに、黒いモヤ事変のヘシュナと今の彼女との力量は雲泥の差だ。宰相如き小物など簡単に抑え込む事ができる。多分俺達ですら簡単に束縛させる事が可能だ。
そして、直ぐに抹殺を開始した。存在自体が総意の害悪となるのは言うまでもない。完全消滅をさせる必要があった。となれば、放つ力量は善心による生命波動しかない。これは俺達は無論、宇宙種族組が総出で繰り出した。
それを喰らった宰相は、断末魔を挙げる事なく完全消滅してしまう。そう、意図も簡単に消滅させてしまったのだ。相手が極悪であるのも事実だが、精神体という生命体を簡単に消滅させられる力量には驚愕してしまった。
つまり、今の俺達には総意を簡単に消滅させる事ができる力量がある、と言う事になる。
普通なら、この様相に真底恐怖心が芽生えるだろう。それか、その超大な力量を前にして、要らぬ悪心を抱くかも知れない。まあ後者はまず有りえないが、前者は実際に恐怖した事は確かである。
だが、そこは総意の持ちつ持たれつ投げ飛ばす、この一念が抑制させてくれた。同時に、その様な超大な力量を前にしても、自身の生き様が曲がらなければ全く以て心配する必要はない、と言う事だ。
もしこれが俺だけの話だったら、要らぬ悪心に誘惑させられたのは言うまでもない。所詮は一凡夫なのだ、右往左往のシドロモドロは常に付き纏う業病なのだから。この時ほど総意の有難みを痛感した事は他にはない。
何にせよ、意図も簡単に最大最強の敵を屠った現状。それに真底呆れ返ったというのが実状だったと挙げておく。
第12話・14へ続く。
長かった振り返りが終了と><; 劇中ではギースさん達に追体験して貰う感じでの流れかと。自分が手掛けた作品の中で、ここまで長寿的な作品は探索者が初めてです(>∞<) ただ、これで終わりではありませんが・・・@@;
今後は後日談的な感じで、世上の後始末的な部分を描いて投了となると思います。次作は大艦長になるので、そちらにシフトできる展開にして終わらねば辻褄が合いませんので><; 最初と最後を定めてから全体を構築する自分の手法ですが、なかなかに難しく厄介な道程ですね(-∞-)




