第12話 罪滅ぼしの戦い8 旅路の振り返り7(通常版)
「・・・その節は本当に申し訳ありませんでした・・・。」
「終わり良ければ全て良し、よ。気にしなさんな。」
念話を遮るのは、ジークを筆頭とした元貴族連合の面々。その彼らが深々と頭を下げだしていた。その彼らに気にするなと語ってあげた。既に彼らは善心に回帰し、こうして総意で当時を思い遣る事ができているのだから。
その後の流れだが、ジークが挙げた通りの様相だ。貴族連合の面々が魔物大陸へと侵略して来たのだ。またこれは彼らだけではなく、他の愚物共も新たに出現した島々に侵略を行っていたという。
「・・・それなんですが、ジークさん達以外の侵略者のその後は?」
「創生者としての位置付けで、異世界惑星の全球スキャンを行ってみました。それによると、小父様が挙げた島々への侵略は探索止まりだったようです。」
そう言いつつ、全球スキャンの結果を一同に念話経由で披露するデュヴィジェ。実際の所はジーク達が率先して魔物大陸へと襲来しただけで、他の島々に襲来した愚物共は探索して直ぐに本国へと帰還していたようである。
まあその結果内容からして、新しく現れた島々は主要の大陸国家には程遠いぐらいの小振りなものだ。そこを開拓したとしても、本国たる王城大陸の様には至らなかっただろう。
「後付けとなりますが、魔物大陸への侵略に集中しだしたのは、それが後に確実に有意義に至ると結論が出た訳ですけど。」
「そりゃあねぇ・・・。」
そう言いつつ、ジークと共に周囲を見渡した。俺達がいる魔物大陸は、異世界惑星の中で最大規模の大陸である。そこを開拓した方が、後々確実に大きな結果に至るのは言うまでもない。実に理に適った行動だったと思われる。
「それに皮肉にも、こちらに侵略した事により、善心へと回帰する事ができましたから。」
「そこが大きな要因だったわな。」
「ジーク様方が率先垂範して侵略を行っていなかったら、その後の善心回帰に至る事はなかったでしょうね。同時に、男爵と伯爵共には感謝すべきかと。」
「アレらに、だな・・・。」
ジーク達が善心に回帰できたのは、彼ら以上に悪心極まりない男爵や伯爵共が襲来して来た事が尤もな要因だった。アレがなかったら、ジーク達は善心に回帰する事なく、彼らの方が抹殺されていたのは想像に難しくない。
それに、男爵と伯爵共は女性を貶しに貶し捲くっていた。自身の陣営に女性陣がいるジーク達にとっては、間違いなく異質的に見えていただろう。その証拠に、連中と対峙していた際にジーク達はかなりの距離を置いてくれていた。
「既に引き金を引いた身だ。今後も対処不能な愚物が出てきたら、容赦なく引き金を引き続ける。」
「心からお供致しますよ。貴方が超重い腰を上げて動かれたのですから、今後もその思いを汲んで動いて参ります。」
そう言いつつ、俺に敬礼をしてくるヘシュナ。その彼女を見た5大宇宙種族の全員が、同じ様に敬礼を繰り出してきた。その彼らに対して、俺は深々と頭を下げた。
この悪心染みた輩の排除は、今後の俺達の命題ともなる。それ即ち警護者の理でもある。更にこれは俺達が死んだ後も続けられるものとなる。超大な寿命を持つ5大宇宙種族の面々こそが大適任とも。
誓願は続けてこそ意義がある。途絶えてしまっては全てが無駄に帰してしまう。継続は力、正にその通りだわ。
男爵と伯爵共を抹殺した後は、ジーク達のご家族の救出と同時に、旧新大陸へと侵略を開始した。侵略行為は悪ドイものではあるが、その目的地が完全な悪の巣窟であれば話は別だ。実際に旧新大陸へと上陸した俺達は、筆舌し尽くし難い様相を目の当たりにした。
そして、最後の最後まで引き金を引く事を思い留まっていたミツキ達。その彼女達が引き金を引くにまで現地の様相が激昂するしかない状態だった。酷かったのが女性達への悪態だ。
「・・・今思い出しても、あの様相には激昂せざろう得ません・・・。」
凄まじいまでに怒りの雰囲気を露わにするジーク。それは彼の仲間達も全く同じ様子だ。ただ、当時の彼らは抹殺事変を終えた後の到来だったため、一部始終を窺う事はなかった。
しかし今は、俺が現状を見た様相を念話経由により総意に鮮明に描写している。間接的ではあるが、当時の様相を目の当たりにして、到来した後に至っていた激昂状態よりも凄まじい様相に至っている。
それにこれは彼らだけの話ではない。当時はまだ再到来していないギース達だったが、その彼らも凄まじいまでに激昂状態に至っていた。出逢った時の悪役の様相など、全く以て何処吹く風の如くである。それだけ、旧新大陸での様相は筆舌し尽くし難い様相だった。
「ジーク殿が善心に帰した理由が、正にここにあると言えるな・・・。」
「同時に私達も善心に帰せれた理由も、正に同じ様なものと言える・・・。」
怒りに震えているジークの肩を軽く叩くギースとカール。そこに込められて思いは、仲間達の中にもいる女性達への一念そのものだ。彼らが善心に帰せたのは言うまでもない、女性力があったからだと断言できる。
同時に、男爵や伯爵共、後に再来する偽勇者共や公爵共にはなかった一念だ。最後の最後まで変革を待っていたが、それでも至る事はなかった。その末路は総意、特に女性達への害悪そのもの。となれば、抹殺する以外に方法はない。
「お前さん達の思いは、今後も俺が引き継いでいく。当時犠牲になった女性達への一念、絶対に忘れずに突き進むわ。」
そう言いつつ、その場で哀悼の意を挙げさせて貰った。異世界惑星事変の尤も被害者たる女性陣への一念だ。特に酷かったのが、リューヴィス事変や旧新大陸事変に王城大陸事変だ。
当時の様相には、今を思っても怒りと憎しみが凄まじい勢いで膨れ上がる。同時に、今後は絶対に起こさせないと誓願を立てるしかなかった。そうしなければ、犠牲になった女性達に顔向けが出来ない。
第12話・9へ続く。
回帰できる先がある事が、どれだけ大切であるのか。ここは仮想現実でも現実世界でも全く変わりません。むしろ、今の世上ほどそれが如実に現れる時はないのかと。今後も重々肝に銘じておかないといけませんね。
ともあれ、まだまだ振り返り話が続きますが、ご了承の程><; こうやって振り返ると、探索者の流れが大きなものなっていたと痛感させられます@@; 完結までまだまだ先ですが、今後も頑張って執筆を続けなければ(-∞-)




