第12話 罪滅ぼしの戦い2 旅路の振り返り1(通常版)
「・・・不思議だな。あれだけお互いに憎み合っていたのに、今では盟友の域に達しているのがな。」
命名に走っている身内達を見つめつつ、一服しながら徐にボヤいた。過去の各事変での対峙を考えれば、正に水と油の様相である。それが今では水魚の如くとなっている。そして、その先にあるのが盟友の領域だ。
激闘と死闘を経てきた手前、それを乗り越えれば不二の盟友に至るのは通例事になる、か。曲がり違えば、彼ら全員抹殺していたかも知れないのだ。今だから言えるが、本当に良かったと安堵するしかない。
「それだけ、お互いに惹かれ合う部分があるのですよ。」
俺の傍らで総意を見つめるティルネア。彼女も心機一転な感じであり、より一層創生者の気質が垣間見れた。同時に、今現在は全ての重荷が取り払われ、真の自由を得た感じである。
異世界ベイヌディートでの草創期の二人三脚の戦いを考えれば、当時から盟友の域に至っていたのは言うまでもない。まあ当時は盟友の理へ真に覚醒していなかったため、気の合う仲間だと思ってはいたが。
それに失礼ながらも、真の盟友はナツミツキ姉妹にナツミツキ四天王、そしてシルフィアの7人だ。これだけは絶対的に変わる事はない。無論、それは特別的な事ではなく、当たり前な感じの家族の様であるとも言える。
今は更に盟友達が数多く増えた。今後も増える事は言うまでもない。俺達は苦節を糧として生きる事を貫くファミリーそのものだわ。
命名を終えた俺達は、一旦休息を取る事にした。とは言うものの、今の俺達は殆ど休息を取りながらの行動の連続である。しかし、大事変を乗り越えた手前からして、本当の休息だと言えた。
思えば、記憶を封印されながらの異世界惑星へ再召喚。その後は妹達との出逢いと共闘。シュリーベル事変にて王城が真の敵であるとも感じ始めた。宿敵たる偽勇者共との遭遇も同様である。まあ結果的には、連中も総意に踊らされていたに過ぎなかった。
更にはリューヴィス事変による、異世界惑星の女性達の尊厳を勝ち取る戦い。これが殆ど命題に近くなっていく。その彼女達と他の移住者を含め、新大陸へと移動も行った。巨大兵装たるレプリカ大和やレプリカ伊400が初披露ともなった。
「・・・ふむ、その様な事があったのだな。」
その言葉に心から驚くしかなかった。今し方の思いは、胸中での一種のボヤきだ。それがギースや他の面々に伝わったとなると、彼らが完全なる善心に至ったと言う事になる。
その彼の傍らでは、神妙な面持ちのカールがいる。敵対していた頃の姿とは雲泥の差だ。ここまで善心に化けるのかと思わざろう得ない。
「・・・光栄だと言うしかない。あの頃の私は完全に悪者そのものだった。それがこうして一種の秘伝とも言える念話を肖る事ができるとは・・・。」
「善悪は表裏一体そのものですからね。特にカールさんは相当な悪役だったと伺ってます。ギースさんは後の登場ですが、お2人方も完全に悪役でしたし。」
「ですね。」
初対面などを思い起こし、感慨深い雰囲気のミュティヌや該当者達。この頃のミツキは遠方での行動が多かったため、実際に対峙したのは後の事になる。皮肉と言うべきか、彼女達と出逢う事で、善心への道に至ったのだと言うしかない。
「なるほどな・・・。」
「Tちゃん、新大陸からの続きを頼むわぅ。」
「あ・・ああ、分かった。」
何とも・・・。自分達の知らない出来事を、念話と言う万能コミュニケーションツール経由で全てを窺い知りだした彼ら。興味津々と言った感じである。これには6大宇宙種族の面々は呆れながらも脱帽している。
人は誰にでも善心や悪心がある。特に悪心は消す事ができず、些細な事から湧き上がる衝動とも取れるだろう。それらが出るかどうかは、その人次第と言う事だ。それをギースやカール達の生き様で痛感させられる思いである。
ともあれ、新大陸へと移動した後は、結局の所は私利私欲の輩を生み出した感じだった。移住する前までは問題ないと思っていたが、実際には裏で色々と思う所があったようだ。
真に善心に帰している面々は、やはり女性達であると言うしかない。リューヴィスの女性陣が顕著である。その彼女達共に新大陸を脱し、アルドディーレへと向かう。現地で身内達やアルディア達と合流し、寄り道的に魔大陸へと向かった。同時期にセレテメス帝国の話題も挙がっている。
そう言えば、あの頃から異世界惑星自体の寿命が尽き掛けていたのだろうな。皮肉にも王城連中が宇宙船群を稼動させなければ、その様相を窺い知る事はできなかった。何ともまあと言うしかない。
セレテメス帝国では内部のイザコザがあったが、大問題だったのは海中に沈んでいた宇宙船を繰り出されてきた事だ。アレには内心的には冷や汗ものだったが、レプリカヴァルキュリアを投入して威圧制圧もしている。俺達の方が規模の問題では遥かに弱々しいが、それを覆した感じだ。
そして、竜の里での創生者としての存在の確立である。ここから全てが変わりだしたと言うしかない。同時に、後の旅路たる世渡りは実にトントン拍子で進んでいった。
「・・・正直な話、人間如きが群れをなして現れたと言うのが本音でしたね。」
「同じく・・・。」
「ハハッ、酷い言われ様だわな。」
途中横槍として、バツが悪そうに語りだすフィルラウロームとラティミナ。初対面時ではそう思われても仕方がない。ただ、5大宇宙種族の面々が変な威圧を放ちだしてもいたが。
「ええ、その通りですよ。」
「私達なら良いのですが、マスターや皆様への悪態には我慢がなりませんでしたし。」
「・・・巨大な竜をぶん回した方が、ある意味で良かったのかも知れませんね。」
その通りだと語りだすヘシュナとナセリス。他の宇宙種族達も同様の思いだったようだ。そんな中、末恐ろしい事を語るデュヴィジェに、該当する竜族達は顔を青褪めている。
話が脱線するが、異世界惑星内では最強の種族たる竜族。他の魔物族達の中でも、相当な手練れは数多くいる。それらを差し置いても、竜族の戦闘力は計り知れないと言うしかない。
ただし、それは異世界惑星での論法とも言うしかない。魔術士にも同様の思いを抱いた。所詮は惑星内での生命体に過ぎず、その領域から出る事は決してない。その様相を超越したのが、5大宇宙種族の面々だ。
と言うか、存在の概念自体が完全に異なっている。戦闘力は無論、その内在する力量自体が異次元の存在だ。流石は超大な大宇宙を旅する種族と言うしかない。
第12話・3へ続く。
命名から今までの流れを振り返る。少々長くなりますが、劇中では実際に当時の様相を知らない面々への補足と考えて頂ければ><; むしろ、こうして振り返られるのは、実質的に全ての事変が無事終わったからでしょうね。同時に、ここからが本当のスタートであるとも言えます。
他の有名所の作品群を踏まえると、大まかな流れ・・・ラスボスを倒すまでは良くあります。しかし、その後の戦後処理などは相当苦労しているのは言うまでもありません。覆面シリーズではその部分を描写できればと思っている次第で><; 先は長いですわ(-∞-)




