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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第11話 創生者と記憶の甦り10 再会と魂の誓い(キャラ名版)

 現状の事変の全てが終了した。宰相こと真の黒いモヤを完全消滅させる事により、諸悪の根源は完全に消え失せる。と言うか、デュヴィジェによる記憶の甦りがキーとなったのには驚くしかなかったが。


 地球の各事変も然り、異世界惑星の各事変も然り。全てはデュヴィジェが単身で背負っていたと言える。先にも思った事だが、その双肩にどれだけの重圧が掛かっていたのか。凡人の俺には到底理解できるものではない。だが、これで“一応”全てが終わったと言える。


ティルネア「フフッ、完全に終わったと言わない点が“遂行者”ですよね。」

ミスターT「ふん、言ってろ。」


 徐に一服しようとすると、自然と寄り添ってくるティルネア。精神体の彼女だが、肉体を具現化させる手法で実体を表現している。その温もりは本物の生命体そのものだ。


ミツキT「あの・・・その手法を伝授して頂ければ幸いなのですが・・・。」

ティルネア「いえいえ、実に簡単にできます。むしろ、“小母様”の力量であれば、それこそ万物の創生者たる存在にもなれますよ。」


 ティルネアの肉体を具現化させる手法。異世界ベイヌディートの時でも、何度も用いていた力量だ。それを伝授して欲しいと挙げてくるミツキT。しかし、その力量は簡単に繰り出す事が可能だとティルネアは語る。


 有限実行の如く行うミツキT。更にティルフィアも同様に模索しだす。2人とも一度機械筐体から離脱して、そのまま言われるがままの力を繰り出してみるようだ。すると、幾分か透けていた身体に実体が現れだした。これには驚愕する両者。


 と言うか、一部始終を見ていた俺からすれば、これは最早生命自体の創生と言うしかない。自我を保ったまま、実体を具現化させる精神体など存在できるのか、と。


ティルネア「ね? 実に簡単な話だったでしょう?」

ミツキT&ティルフィア「・・・何とも・・・。」


 簡単に実現できたミツキTもティルフィアに対して、実にアッケラカンと語るティルネア。その2人は、俺がよく語る言葉を言って返した。俺達の方は、その目の前で行われた事自体に開いた口が塞がらない状態である。


 しかし、精神体だった2人が肉体を具現化できたのは確かである。更に凄いのは、衣服なども具現化できる点だ。無論、素体たる肉体を具現化し、そこに従来の衣服を着用する事も可能のようだ。実際に過去にティルネアが実行しているのだから。


 本当に、ティルネアが生命体を超越し、世上で言われる神様そのものであると言わざろう得ない。同時に、彼女が真の凡夫である事も痛感できた。それ即ち、彼女自身も掛け替えのない生命そのものであるのだから。



 そんな事を思っていると、不意に抱き付いて来る人物がいた。ティルネアより身体の具現化の技法を得て、仮初ではあるが肉体を持ったミツキTだ。同時に、その温もりに遠い記憶が呼び起こされる。彼女が7歳、病室でのあの時である。俺が17歳の時でもある。


 あれから17年が経過し、存命ならミツキTの実年齢は24歳となる。その彼女の温もりに無意識に涙が溢れてくる。病魔の前に倒れた彼女が、もし生きていれば、この様な流れにもなっていたのだろう、と。


 抱き付いて来たミツキTを、俺の方もしっかりと胸の中に収める。そして、心を込めて頭を撫でた。最後に生身の彼女の頭を撫でたのは、あの病室で意識を失う前である。


 すると、その俺達を包み込むように抱き付くのは、涙で顔がグシャグシャのデュヴィジェ。更に涙を流すに留まっているシルフィアとスミエ。2人の方もこちらに抱き付いて来た。


 ここに集う俺達は、あの病室で激闘と死闘を戦い切った盟友そのものである。17年振りとなる再会を、お互いに心の底から感謝し合った。




 お互いにどれぐらい寄り添い合ったのだろうか。徐にお互いを解放すると、近場に跪いているティルネアがいた。その姿に驚くが、彼女の眼光は凄まじいまでに据わっている。


ティルネア「・・・貴方様を“異世界ベイヌディート”へ召喚させて頂いたのは、我が人生の中で誉れ高い事であったと改めて痛感します。」


 告げられた言葉に、彼女の全ての思いが込められていた。そこには、4年前の異世界への転移から始まり、数ヶ月前に異世界惑星へと再転移した流れの全てがある。フィクションの世界ではない、本物のリアルの世界である。


ティルネア「そして・・・この“異世界惑星”を“本当に”救って頂き、心から感謝致します。」

ミスターT「本当に、か・・・。」


 今も跪くティルネアの前に、俺も同様に跪きながら彼女の右手に優しく触れる。己の身を犠牲にしてでも、異世界惑星ことベイヌディートを救おうと決意した女傑である。文字通りの創生者そのものだ。


 全ての物事には意味がある、それを体現させた存在でもあろう。実際に最後の最後まで姿を現さず、事の成り行きを静観してくれていた。誰かが担わなければならない汚れ役を、徹底的に演じ切っていたのだから。


ミスターT「俺の方こそ、貴方と共に戦えて光栄です。ですが、これはまた始まったばかり。今後も貴方の創生者としての生き様を、貪欲なまでに貫き通して下さい。」

ティルネア「・・・はいっ! 委細承知致しました!」


 涙を流しながらも、今までにない笑顔を浮かべつつ叫ぶティルネア。そのままこちらへと抱き付いて来た。勢い余って押し倒される事になるが、そこに込められた思いを全て受け止めさせて頂いた。正に魂の誓いである。


 生命の次元での語り合い。調停者・裁定者・創生者、そして遂行者の次元に至ると、最早お互いに阿吽の呼吸とも言えるべく様相となるようだ。ただそれは、別段特別的な力が働いている訳ではない。俺達が普段から行っているコミュニケーションの1つなのだから。


 確かに上辺的には納得できない部分があったりするだろう。しかし、大局的に物事を見るのであれば、ベイヌディートを救うという行動は見事達成ができたのだ。


 そして、ここからが本当のスタートでもある。終わったのではなく、始まったばかりでもある。まだまだやるべき事は数多い。それを痛感させられる思いである。


    第12話へ続く。

 苦労人の創生者たるティルネア嬢による、何時か夢見ていた再会の流れと。まあ肉体を具現化とか、創生者所以の力量とも言えますね。実際にあったら、とんでもない事になりますが(-∞-) 何にせよ、再会と魂の誓いは果たされた感じです。


 この後は細々とした展開が続きますが、シメの部分と大艦長へと続く布石はしっかりと構築しないといけませんので><; まだまだ先は長そうです(>∞<)

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