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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第11話 創生者と記憶の甦り4 愚物の抹殺2(通常版)

「・・・本音を挙げれば、穏便に事を済ませたかった。貴様等の中に少なからず存在する良心の呵責を期待していた。」

「ハッ! 何を言い出すかと思えば。諸悪の根源は貴様等だろうが!」

「・・・エヴェリムさん達を貶しておいてよくぞまあ・・・。」


 徐に右手の拳銃を魔物頭へと向ける。そのまま情け容赦なく引き金を引いた。放たれた弾丸は魔物頭の頭部を軽々と撃ち抜く。そのまま地面へと倒れ込んだ。最後の最後まで期待していた自分が愚かだったようだな・・・。


 この間にも、現状の“最終ボス”たる魔術師以外は、身内からの無慈悲なまでの弾丸により絶命している。今まで野放しにしていた流れが嘘のような即決度だ。もっと速くに行動をしていれば、先程目撃した被害者達を出さずに済んだのであろうが・・・。


「・・・気になったんだが、何故貴様自身に真紅の玉の効果が乗っていないんだ?」

「・・・貴様が挙げたように、宇宙船群には効果を発揮していた。だが・・・アレを小型化する術が私にはなかったからだ・・・。」

「・・・素晴らしい回答を感謝するわ。」


 一番の懸念材料を挙げると、すんなり本音を曝け出す魔術師。そうである、真紅の玉自体の効果は魔力や魔法で発揮できても、それを小型化する技術力が連中にはなかったのだ。


 これは竜の里で検証実験を行っていたデュヴィジェとヘシュナが挙げていた。効果自体は簡易バリアとシールドが発揮されたが、それだけでしかなかった事。真紅の玉自体のサイズは変えられなかったと結論に達した。


 そもそも、真紅の玉は宇宙種族のイザベラが開発した簡易的な力だ。本家本元のバリアとシールドの力量には到底及ばない。そして、その力量は善悪判断センサーを内蔵している。悪心を持つ連中には絶対に扱えないものである事が、魔術師の言動から確実に窺い知れた。


「・・・何故だ、何故こうまで力を使えるのだ・・・。」

「小父様が言わなかったか? “私達”の力は善悪を判断する事ができる。つまり、その力を使えない貴方は悪である何よりの証拠。無様な姿を曝すでない。」

「本当ですよね。」


 物凄く悔しそうに語る魔術師。目の前には絶大な力があるのに、それを使う事ができないでいる。公爵共や魔物頭は言及する事はなかったが、魔術師だけはその力が使えない事を挙げてきた。


 そんな相手にティルフィアが格言的答えで返す。それ即ち、魔術師には悪心があり、力を使える事ができなかったからだ。今まで何度か挙げた事があったが、自分で思い知って漸くその真意を知ったようである。



「さて・・・諸々の回答を得たのだから、そろそろ退場願おうか、愚物さんよ。」

「・・・私を殺しても良いのか?」


 最後の行動を取ろうと挙げると、何故か不気味に語りだす魔術師。最後の最後で手の内はまだあるのだと言いたげである。その言葉を聞き、徐に傍らへと歩み寄る“2人”。


「ふむ・・・その理由は何だ?」

「・・・上空の5つの物体は、私の魔力で浮遊している。私が死ねば、その力を失い落下するのだ。特に巨大な塔の規模からすれば、貴様等とて無傷ではあるまい・・・。」


 エラい勝ち誇ったかのように語ってくる。徐に真上を見上げると、そこには3隻の宇宙船と1隻の大宇宙船、そして機械の塔が浮遊している。相手の挙げる通り、これらが落下した時の被害は甚大極まりない。


 特に機械の塔の方は、某ロボットアニメのスペースコロニーに等しい規模。それが低速でも地表に落下すれば、核弾頭の核爆発以上の大破壊を招くだろう。実際に劇中でオーストラリアの地形が変わってしまった描写もある。


 そんな勝ち誇り気味の魔術師を他所に、歩み寄りを終えた“2人”が一歩前へと進み出た。その人物は、ミツキとミュセナである。


「ミュセナ様、我々の本気を見せて差し上げなさって?」

「ハッ! かしこまりました。」


 超と付くぐらいに態とらしい演技をしだす両者。推測だが、ミツキは令嬢役を、ミュセナは執事役を担っているのだろう。そして、何故2人なのかは過去に一応の“トラップ”を敷いていたからだ。


 徐に真上へと手をかざしていくミュセナ。すると、機械の塔の更に真上にそれは現れる。かなり前より異世界惑星“外”へ配置を済ませた、大宇宙船と機械の塔を超える宇宙母船だ。その規模は両者の比ではない。


 現れた宇宙母船の規模は、俺達の周囲はおろか、異世界惑星の一部分を覆い隠すぐらいの様相である。5大巨大兵装により周囲は暗くなっていたが、それ以上の規模となると暗闇に等しくなる。恒星の光を遮断するのだから当然だ。


 当然ながら、宇宙母船が現れた事に俺達以外は絶句している。かく言う俺も、宇宙母船を地上から見上げた事はないため、ある意味恐怖を感じずにはいられない。だが、その恐怖感は一種の安心感でもある。


「なっ・・・。」

「ハッハッハッ! 見たまえ、素晴らしい力だと思わんかね?」

「本当にそう思います・・・。まあ本題に戻すとすれば、貴様が5大浮遊物を落下させようとしても、この宇宙母船の力量の前には無意味さね。」


 そう言いつつ、何らかの指令を手で挙げるミュセナ。すると、4大宇宙船の真上に鎮座していた機械の塔が、徐に上空へと上がって行くではないか。その次は大宇宙船が続き、宇宙船群が続いて行く。


 あの質量の物体を持ち上げるとなれば、相当な力量が必要となる。だが、実際にはそれは必要としない。その理由は重力制御の理であると思われる。俺も今は推測の範囲でしかないのだが、そうでもしなければ辻褄が合わないからだ。


 それに、これだけの大質量の物質を急激に上空に上げないのもミソだろう。そんな事をしたとしたら、その場の空気が一瞬にしてなくなり、俺達が上空へと吸い上げられると思われる。


 地上からゆっくりと吸い上げるかの如く、5大巨大兵装は大空へと上がって行く。それを呆然と見上げる俺達。今も空中兵装への猛攻を繰り広げる、身内の巨大兵装の砲撃音だけが響くこの場である。


「大宇宙船だけなら、こちらの巨大兵装だけで事済みましたがね。」

「君、機械の塔まで持ち出すのはナンセンスだよ。」


 徐に一服をしだすミツキ。その煙草に着火をするミュセナ。この図式だとミュセナも一服した方が様になるが、彼女は今の所全く喫煙はしていない。それ故の役回りである。


「とまあ、5大巨大兵装は後で破壊しておきます。異世界惑星外の影響がない場所で。」

「破片は降らせないようにしてくれたまえよ?」

「モチのロンでございます。」


 役回りの言い回しだが、その内容は重要であると俺達は痛感する。あれだけの巨大兵装を宇宙空間で破壊すれば、その破片は異世界惑星へと降り注ぐだろう。大気圏がそれら破片を燃やしたとしても、燃やし切れないものも出てくる。となれば地上に落下するのは言うまでもない。


 どれもが過ぎた力のオンパレードだが、退き際はしっかりと見定めてくれている。それを有限実行できるだけの力量が、俺達には十分備わっている。流石は不二の盟友、5大宇宙種族の面々である。


    第11話・5へ続く。

 先の先を読みつつ行動をする、でしょうか。後半はとにかく今までの残党の掃討になるため、駆け足で突き進んでいる感じが否めません><; 内容が薄っぺらくて本当にすみませんですm(_ _)m


 ただ、物語の本題は異世界惑星自体の救済的な感じなので、そこに立ち塞がる悪党共は言わば噛ませ犬ですので。一種のスパイス的な感じでしょう。致し方がないかと思います(-∞-)


 ともあれ、あと少しで探索者も完結に近くなるかと。もう暫く掛かりそうなので、お付き合いよろしくお願い致しますm(_ _)m

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