第10話 対巨大兵装1 探索組と待機組(通常版)
王城大陸こと元カルーティアスへと進撃を開始した俺達。そこで偽勇者共と遭遇し、宿命の対決的な感じに至った。とは言うものの、相手の愚行には流石に看過できず、再び引き金を引く事になる。
警護者の真髄とは、如何なる障害が訪れようが、それを徹底的に排除してこそである。その当たり前の概念を実現させたに過ぎないのだが、端から見れば人殺しそのものだ。
幸いだったのが、“今回も”異世界という何でもありきの世界観な点だろう。言葉は悪くはなるが、人殺しが合法的に罷り通ってしまう世界である。皮肉にも、異世界ほど警護者の存在が合う場所はない。
今後の問題は、地上での愚物共ではない。その愚物共が発掘した巨大兵装だ。3隻の通常の宇宙船と、それらを遥かに凌ぐ大宇宙船。こちらの巨大兵装など話にならない様相である。
幸いにも、こちらはそれ以上の力を有している。しかし、その出し所には注意しなければならない。一歩間違えば、連中と同じ愚物と化すからだ。この部分は今も大いに悩まされる概念である。
何にせよ、一歩ずつでも前に進まねばならない。残りの愚物共を完全に撃滅しなければ、この異世界惑星を解放する事はできないのだから。
王城大陸の外側にて、再度作戦会議を行った。偽勇者共とその他の連中を排除した後だ。このまま継続して進撃して良いかというものである。何気なく攻め込んでも問題はないが、大問題は先に挙げた宇宙船群だ。
今の所、その宇宙船群を発見できていない。何処に雲隠れしているのか不明である。ただ、何れ必ず出現してくる。こちらが王城で暴れ続ければ、何らかのアクションを起こすだろう。
とりあえず、今は王城大陸全体の探索を行った方がいいだろう。何を今更といった感じではあるが、足元を固めねば危うくなってくる。何時も通りの一歩ずつの前進で問題はない。
「探索はどうするわぅ? 何時も通りの流れで良いわぅか?」
王城側を見つめつつ、今後をどうするかに思いを巡らせる。そんな中、傍らで獲物の調整を行っているミツキが語りだす。先に挙げた探索をどうするかというものだ。
「それで問題はないが、編成をどうするかで思い悩むんだが。」
「各部隊に宇宙種族組を配置すれば、不測の事態は問題ないと思います。それに魔物娘達の実力も侮れない様相になりましたし。」
そう語りつつ、待機中の魔物娘達に目線を向けるナツミA。その目線に気付き、右手親指を立てて笑顔になる。何時の間にか人間くさい言動をするようになっているのが見事だわ。
確かにここ最近の彼女達の実力は、異世界惑星の面々顔負けの状態に至っている。これもミツキ達が格闘技を学ばせたのが大きな要因らしい。魔物種族が格闘技を使うとは、見事と言うしかない。
「頭脳役はデュヴィジェ様がいれば申し分ないので、今回は私達も出撃します。」
「久方振りの実働部隊で挑めるとは・・・感無量ですの。」
盛り上がる魔物娘達を見つめつつ、満足そうな表情を浮かべるミツキとナツミA。その2人の両肩に優しく手を沿えるヘシュナとルビナ。裏方の行動をする人物に、誰よりも敬意を払う2人だ。両肩に沿えられた手が物語っている。
と言うか、ルビナの言う通りだろう。ここ最近の宇宙種族は裏方の裏方に徹しており、前線に出て戦う事は希だった。最近は実働部隊として暴れていたが、殆どは裏方役を担っている。
そもそも、宇宙種族は最前線で戦うよりは後方支援の方が理に適っている。超絶的な力を持つ故に、誤った動きが一切できないからだ。下手な動きをすれば最悪の結末に至るだろう。
「小父様は王城側の攻略を継続ですよね?」
「今は下手に動かない方がいい。だが、探索の方も重要だしな。」
「重役はドッカリと据わっている方が良いのですよ。」
「重役ねぇ・・・俺は裏方の方が性分に合うんだが・・・。」
本当である。ミツキTが言う事も十分分かるが、やはり最前線で戦う方が俺の性分に合う。実働部隊の真骨頂は最前線で戦う、これに限るのだから。
それに先にも挙げたが、今一番懸念する要因は巨大兵装だ。機械の塔で対峙した以外では、未だにその姿を目撃していない。アレだけの巨体なのだ、雲隠れするのは無理がある。
これも先に挙げたが、一応の対策は済ませてある。初っぱなから投入させれば、実力の問題でパワーバランスが崩壊する。相手と対等の力量を出してこそ、現状の調停となるのだから。
今更ながら異世界惑星での調停者としての役割は、一筋縄ではいかない感じだ。それでも、ここまで介入したのだから最後まで突き通したいものである。
「私達も探索側に回りたいのですが、大丈夫でしょうか・・・。」
物思いに耽っていると、何処か不安そうに語り掛けてくるセレテア。既に準備は万端で、何時でも出撃は可能である。だが、本当にそれで良いのかと思っているようだ。
「大丈夫だと思う。むしろ探索側に大部隊を向ければ、連中はこちらに主力を向けてくるだろうしな。」
「それなら良いのですが・・・。」
やはり心配のようである。ただ、完全に不安が支配してはいないようだ。それは俺達の存在であろう。イレギュラーそのものであり、不測の事態には滅法強いのだから。
しかし、それでは異世界惑星の面々を立たせる事ができない。本来なら彼らだけで解決する必要がある。彼らを立たせてこそ、この異世界惑星を自立させられるのだから。
まあでも、ここまで介入した手前、最後の最後まで加勢するのは言うまでもない。途中で投げ出すのは無様そのものである。
「まあ何だ、後方支援は全て任せてくれ。どの道、次の厄介事は巨大兵装だしな。」
「それに関しては私達には到底敵わないものです。皆様方にお任せするしかないのが実状ですので。」
「ああ、委細承知。」
現状の内情を吐露するゼデュリス。そんな彼女の不安を吹き飛ばすかの如く、右手親指を立てて安心させた。すると、他の身内達も同様に右手親指を立てだした。しかもニヤケ顔のオマケ付きである。
俺達にとっては、超絶的な力量の出現には慣れ過ぎている。巨大兵装は無論、隕石惑星や天の川銀河に匹敵する黒いモヤなどがそれだ。それ故の落ち着き度とも言えるのだろう。
異世界惑星の面々の力量では絶対に敵わない巨大兵装群。確かに今の異世界惑星の技術力では、巨大兵装群に対抗する手段がない。レプリカ大和ですら敵わない現状だ。
幾ら魔力や魔法という絶大な概念があろうが、巨大兵装群はそれを遥かに超越している。それこそ“極大消滅魔法”などがあれば話は別だが、そういかないのが実際の問題だ。
幸いにも、巨大兵装群に関しては特効薬がある。宇宙種族の技術力や、俺達の地球の技術力などが合わさった巨大兵装群だ。目には目を、力には力を、か。皮肉な話だわ。
ともあれ、地上部隊こと実働部隊には、王城大陸の探索を行って貰う事にした。今更ながらの探索ではあるが、足元をしっかり固めるのも重要な事である。
恐らくだが、連中は最後の最後まで巨大兵装群を出して来ないだろう。劣勢の劣勢に立たされてから、ここぞと言う時に投入してくると思われる。悪党共の常套手段である。
まあその時は、こちらも同等クラスの大戦力を投じるしかない。まだ繰り出していない相応の力量は隠し持っているしな。
それに13隻の宇宙戦艦や飛行戦艦でも、相手の4隻の宇宙船群には対抗できるだろう。仕舞いにはレプリカ大和とレプリカ伊400でも問題ない。それだけ宇宙種族の技術力には絶大な信頼を措けるのだから。
終盤となった今の現状故だと、完全に後手の後手に回ってしまっている。しかし、実際の所は先手の先手に回れているのが皮肉な話だ。
そして、一歩ずつ前に進む、今はこれしか手立てはない。だがそれこそが、完全勝利への布石なのだから。
第10話・2へ続く。
1ヶ月振りですm(_ _)m コロウイの第7波が大暴れしているこの頃、戦々恐々ながらも何とか過ごしています。最大限の予防策を展開しつつ、一歩ずつ進まねば・・・。お身体には十分お気を付けて下さいm(_ _)m
探索者の方も、ほぼ手探り状態でラストに突入している感じで@@; まだ完全なラスボスを決めていないのですが、その前に巨大兵装との完全決着を着けねばなりません。目には目を、であれば、やはり巨大兵装対決が盛り上がるでしょうね@@;
最後はやはり肉弾戦こと直接対決となりますが、ここはまだまだ先になりそうです><; そもそも上記通り、ラスボスを決めていないのがね(-∞-) ともあれ、今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m




