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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第1部 異世界の旅路
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第8話 魔王と愚者と3(キャラ名版)

 不意に放たれる魔法の数々、炎の魔法と雷の魔法だろう。それらが俺達を襲うも、バリアとシールドの防御機構により無傷だ。そこに現れるは黒ローブ、今度は複数のご登場となる。


黒ローブ1「貴様が同胞が言っていた、仮面の魔物か。」

ウインド「仮面の魔物・・・それ頂きですねぇ。」

ダークH「ほむ・・・差詰め、マスク・ザ・モンスターでしょうか。」

ミスターT「何とも。」


 優勢に見せようと気張る黒ローブ共。俺の事を仮面の魔物と述べてきた。すると、ウインドとダークHが茶化しを入れる。それに不甲斐無い感じで笑ってしまった。妹達も笑っている。その余裕は何処から出るのかと、呆れる黒ローブ共である。


ミスターT「それで、今度は大都会を潰しに掛かった訳だな。」

黒ローブ2「心外だな。我々は秩序ある世の中を作ろうとしているのだ。」

黒ローブ3「今回の行動は、その布石への第一歩なのだよ。」

ミスターT「へぇ・・・。」


 考える事は何時も同じなのだと、ウインドとダークHと共に呆れ返る。地球では、軍服連中や黒服連中が同じ考えだった。ここ異世界惑星では、黒ローブ連中がそれに当たる。


ミスターT「悪いが、俺達がいる限り、お前さん達の野望は達成不可能だがな。」

黒ローブ1「フッ・・・心配には及ばぬ、既に手は打ってある。」


 そう言うと、連中の後方から現れる複数の面々。その様相を見て、そう来たかと呆れ返った。


 ワラワラとならず者や傭兵が現れる中に、7人のその姿があった。一時姿を消していた、偽勇者共だ。以前よりも力強さが増しており、禍々しい武器や防具を身に着けている。


 そして、連中を見た妹達は、激昂ではなく冷めた表情で見入っている。以前は激昂の表情だったが、成長したものだわ。


偽勇者「戻って来ていたようだな。既に死んだものだと思っていたが。」

ミスターT「お前さん達と同じでね、獲物の調整をしていた。まあ、その姿からして、人外になったのは間違いないらしいが。」

偽勇者「よくぞまあ吠えやがる。この姿、この力こそが全てだ。貴様等には分からんだろうがな。」

ミスターT「なるほどねぇ・・・。」


 何処で手に入れたかは不明だが、連中の武器防具は相当な逸品らしい。しかし、その禍々しさからして、人間が作ったものではないのは確かだ。


偽勇者「それに、こちらには切り札もある。おい、奴を出せ。」

黒ローブ1「はっ、かしこまりました。」


 不気味に語る偽勇者に、ニヤケ顔で応じる黒ローブ。この姿も人間ではないわ。


 合図により、後方から現れる漆黒のローブ姿の人物。その様相はもはや、人間ではないのは言うまでもない。それに、それが誰かが漸く分かった。


偽勇者「これが我々の切り札・・・。」

ミスターT「ほむ・・・噂の魔王カースデビルさんか。」


 自慢気に語り出そうとした所を、態とらしく一服しながら内容を代弁した。ちなみに、両腕はマデュース改で塞がっていたため、それを察したウインドとダークHが煙草を用意し、着火までしてくれた。相手への見せ付けたる演出の1つだ。


カースデビル「我が名はカースデビル・・・漆黒より現れし混沌の覇者・・・。」

エメリナ&フューリス&テューシャ「・・・・・。」


 偉大な王の如く語るカースデビルの前口上に、黙り込むエメリナ・フューリス・テューシャ。それは恐怖心からのものではなく、“彼女より圧倒的に弱い”と思った呆れによる黙りだ。それに我慢できず、苦笑してしまった。


ミスターT「・・・つまり何だ、王城側は愚物総意と結託し、世界征服に乗り出した訳か。」

黒ローブ1「世界征服ではない。この世界に、我々が新たな秩序をもたらすのだ。」

ヘシュナ「どちらも全く同じ愚行ですけどね。」


 傲岸不遜の語り部に、怒り心頭の雰囲気で現れるヘシュナ。どうやら避難誘導はミツキTに任せて、エリシェと共にこちらに来たようである。


偽勇者「貴様、何者だ?」

ヘシュナ「愚物に語る名などありません。」

エリシェ「マスター、今直ぐにでも自己嫌悪に陥っても良いですよ。」

ミスターT「はぁ・・・。」


 怒りの表情のヘシュナとは対照的に、ニコニコしながら語るエリシェ。しかし、内情は傍らのヘシュナ以上に怒りを抱いているのが痛感できた。


偽勇者「何人現れようが、我々の敵ではない。こちらには、カースデビル様がいる。愚かな人間共を屈服させるには十分だ。」

エメリナ「そこまで言い出すのか・・・。」


 もはや手駒の見せ付け合いに発展しているこの場。と言うか、手下のゾンビやスケルトンは、親玉の会話に行動できずにいる。本来なら暴れたいようなのだが、実に哀れである・・・。


ミスターT「どうしようもないなこりゃ・・・。まあ何だ・・・今も見ているなら、そろそろ出て来ても良いぞ。」


 右手のマデュース改を地面に突き刺し、その手を目の前に掲げて見せた。


 右手の前に、魔法陣が出現しだす。それに驚愕し距離を置く愚物軍団。その魔法陣を見たエメリナ達は、怖がる所か嬉しがっているのが何とも言えない。


 そこに現れるは、禍々しいローブを羽織るも、顔はしっかり露わにしている人物。正真正銘の魔王である。そして、改めて感じた生命の波動により、彼女が宇宙種族だと直感できた。


カースデビル「高等魔術を使う者・・・。」

黒ローブ1「だ・・誰だ貴様はっ!」

魔王「下郎共が、図々しいにも程があるな。」


 何ともまあ・・・。初対面時では悪役まっしぐらだった魔王だったが、今は相手の様相に相当ご立腹の様子である。同時に、絶対悪でない事を再度認識できた。かつてのヘシュナと同様、悪役を演じているに過ぎないと。


ミスターT「さて、愚物共にご質問。こちらのお美しいお嬢様は誰でしょうかね?」

偽勇者「ふんっ、貴様が呼び寄せた悪魔だろうが、何を偉そうに。」

カネッド「ふふり、怖じてるねぇ~。」

ダリネム「見事ですよねぇ~。」


 ニヤケ顔のカネッドとダリネムの茶化しが冴え渡る。見事なまでのものだ。


 当然であろう。この魔王の魔力は、半端ではない領域の力だ。それなりの魔術に精通している黒ローブ共やカースデビルは、その様相に相当怖気付いている。唯一感知できていないのが偽勇者共だろう。先程、エメリナ達が呆れ顔になっていたのは、この比較に対してだ。


 工業都市での対峙では、敵味方に分かれてのものだった。しかし今の魔王は、確実に善側になっている。中立ではなく、完全に善側だ。その魔王たる堂々とした姿に、変な憧れを抱かずにはいられないわ。


 そして、一切の容赦をしない存在だと痛感させられた。“左手”を前に掲げると、そこから繰り出される魔力の波動を容赦なく相手に当てていくのだ。エメリナ達さえ怯んだその力は、低俗の愚物共には超絶的に有効である。動けず仕舞いになるのは言うまでもない。


カースデビル「な・・・何という魔力だ・・・。」

エメリナ「このぐらいで怯むとは話にならないが。」

魔王「フッ、そうだな。」


 その威力を身を以て体感したエメリナ。彼女が言い放った言葉に小さく笑う魔王である。それ相応の実力を持っている事を、改めて思い知った感じである。しかも彼女は“左手”だ。


ミスターT「んー・・・どうするね、このまま継続するか?」

カースデビル「・・・我を舐めて貰っては困る・・・。」


 魔力の渦を喰らい、動けず仕舞いの愚物共。その連中に継戦するかと尋ねると、一際闘志を燃え上がらせだすカースデビル。魔王の魔力の渦を掻き消すかのような、凄まじい魔力を放出しだした。


魔王「ほむ、それなりの実力者か。」

カースデビル「・・・消え失せろ・・・。」


 放った魔力を身体に纏い、そのままこちらに突進してくるカースデビル。


 本来ならば、魔王とカースデビルの戦いには介入しない方が良いだろう。しかし、彼女の役割からして、“それが利く”事は感じ取れた。そこで、あの力を付与してみた。


 魔力を込めた右手を、魔王へと放つカースデビル。それが彼女の顔に当たる寸前、見えない壁に阻まれて無効化される。そう、バリアとシールドの防御機構が効果を発揮したのだ。


カースデビル「何だと・・・。」

ミスターT「“仮面の魔物の加護”だ。愚物には分からない領域の力よ。」

魔王「・・・そうだな。それに、貴様の業物など話にならぬ。」


 今度は“右手”に魔力の渦を込めだし、それを目の前のカースデビルに放つ。腹部に受けたパンチは、相手を吹き飛ばすには申し分ない威力を誇っていた。


 魔王のジャブを喰らい、後ろへと吹き飛ばされるカースデビル。その後ろには偽勇者共がおり、吹き飛ばされた巨体が激突し共に倒れ込んだ。体格差により、押し潰される形の様相である。


黒ローブ1「お・・・おのれ・・・。」

魔王「何だ、この程度の輩か。話にならんな。」


 この美丈夫の腕力からすれば、魔力の渦が加算されなければ、相手をここまで吹き飛ばす事はできなかっただろう。それだけ、彼女の魔力が凄まじい証拠である。黒ローブ共が驚愕している姿が何とも言えない。


ミスターT「あー・・・どうする、継戦するか? 悪いが、次の攻撃からは容赦しないが。」

黒ローブ1「ぐっ・・・全軍撤退せよ!」


 呆れ顔の俺達を前に、致し方がない感じで撤退を決意する黒ローブ共。ゾンビやスケルトンの軍団が落胆しているのが分かるが、今は致し方がないだろう。と言うか、不死の存在でも落胆する姿に驚くしかない。


 そんな中、吹き飛ばされていた偽勇者が起き上がる。カースデビルの方は、結構なダメージを受けたようだ。魔力が込められた拳は相当効果があった様子である。


偽勇者「貴様等・・・。」

魔王「ほむ、まだ戦うというのか。その気迫だけは褒めてやろう。」

偽勇者「この場で・・・皆殺しにしてやる・・・。」

ミスターT「これはもう、勇者とは言えない愚物だな・・・。」


 禍々しい剣をこちらに向け、そのまま突撃をしてくる。それに釣られて、撤退状態だったゾンビやスケルトンも追随しだした。この状態は正当防衛が成り立つと思ったのか、妹達が残党掃討として対処しだしている。


 偽勇者の方は、魔王と俺の方に肉薄し、猛攻を加えだした。流石は魔王と表する事はあり、相手の攻撃を全て紙一重で回避している。と言うか、彼女の実力はこんなものじゃないが。


 そこで、魔王に予備武器の隕石方天戟を投げ渡す。扱えるかどうかは不明だが、丸腰よりはいいだろう。受け取った獲物で防戦を開始する魔王。


 こちらも左手のマデュース改を地面に突き刺し、携帯方天戟を展開。通常攻撃と題して、彼女に加勢する形を取った。


偽勇者「おのれ・・・貴様、魔族に加担するのか!」

ミスターT「それだが、お前さんには全ての存在が魔族に見えるんじゃないか? 悪いが、彼女は魔族じゃない。」


 一応はやり手の剣士だけはあり、その猛攻はなかなかの威力を誇っている。しかし、相手は慣れない獲物で迎撃する魔王に、様子見状態の俺である。向こうは激昂状態により、一応本気を出していると思っている様子だが、それでは本当の力は出せないだろう。


偽勇者「相手が誰であろうが・・・俺の邪魔をする奴は全て敵だ!」

魔王「・・・どうしようもない愚物だな。」


 いい加減、呆れた様子の魔王。隕石方天戟を上手く使い、相手の武器を弾き返す。そこに俺の一撃を加え、相手の獲物を吹き飛ばした。阿吽の呼吸とは正にこの事だろう。


 丸腰となった偽勇者だが、容赦ない攻撃が放たれる。隕石方天戟による一撃は、相手の両腕と両脚を貫き、絶叫的な悲鳴を挙げさせる。致命傷にはなっていないが、偽勇者にとっては相当な一撃になったのだろう。


 瀕死に近くなった相手に、今度は致死的な一撃を放って見せた。携帯方天戟を使った突き攻撃を偽勇者の喉元に突き刺さらない程度に当てる。一歩間違えば、喉元を貫いただろう。その致命的な一撃に恐怖の表情を浮かべている。


ミスターT「・・・いい加減に消えろ。貴様の存在は、全てにおいて害でしかない。ここで去るか、この場で殺されるか、どちらかを選ぶんだな・・・。」

魔王「・・・御仁は我より慈悲深い。殺されないだけ、有難く思え。」


 十八番の殺気と闘気の心当てを放ちつつ、偽勇者に退き際を持たせてみた。ここまで追い込まれても退かない場合は、ここで始末する方が良いだろう。相手の小心者たる心を利用する形にした。


 超劣勢に追い込まれ、致命傷を受けた偽勇者。流石に分が悪いと思ったようで、這いつくばりながら去って行く。しかし、最後まで抵抗を見せた部分は賞賛に値するだろうな。


 ゾンビとスケルトン部隊は既に壊滅させられており、残ったのはならず者と傭兵軍団のみ。傷付いた偽勇者とカースデビルを仲間共や黒ローブ共が支え、移動魔法により去って行く。見て思ったが、どうやら転送装置ではないようで、別に編み出された魔法的業物だろう。



 連中が去って行くと、後方で雄叫びが聞こえだす。そちらを窺うと、戦闘の一部始終を見ていた冒険者達・自警団・騎士団である。避難誘導を終えた後、こちらに加勢に来たようだ。


 と言うか、大問題が残った形か。それは、黒ローブ共が現れたのが、王城だったからだ。今もスミエが現地で潜入捜査中だが、黒ローブ共がそこにいたのが大問題である。それに間違いなく、冒険者ギルドや自警団・騎士団は、この件に関して首を突っ込まないだろう。


 雄叫びを挙げるのは冒険者達や各団員であり、上層部の面々ではない。これは内部改革を行わないと、国自体が滅びかねないわ。どうしたものか・・・。


    第8話・4へ続く。

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