第7話 人質と新大陸の解放7 新大陸の仮解放(キャラ名版)
シルフィア(そう、その考えよ。漸く本来の姿に戻った感じじゃない。)
ミスターT(本来の姿、ね・・・。)
ミツキT(あら、小父様と初めてお会いした時は、私達の誰よりも“抜き身の真剣”でしたよ。)
シルフィア(本当よね。)
ミスターT(抜き身の真剣、か・・・。)
こちらの心情を見抜いてくる2人。シルフィアもミツキTも、俺の本来の姿の時を明確に知っている。デュヴィジェやスミエも同じだ。抜き身の真剣とは、実に言い得たものだわ。
ただ、これに関しては大きな問題もある。それは言うまでもなく、記憶喪失に至った航空機事変だ。あの事変を経る前の俺は、4人が驚愕するほどの“抜き身の真剣”だったらしい。それが激変したのは、航空機事変後からだとの事である。
しかし、当時の俺が記憶を失うに至った行動は、決して間違ったものではない。もしその事変を経なければ、無事不時着させた航空機に搭乗していた面々は、間違いなく全員死亡していただろう。
本来は警護者の真髄を地で走る俺が、その真髄と記憶を犠牲に多くの他者の生命を救った。皮肉な事に、命懸けで他者の生命を救うのもまた、警護者の真髄なのだから。
デュヴィジェ(小父様は本当に“苦労人”ですよね。あの世界の時でも、全く同じ生き様を貫いていらっしゃいましたし。)
ミスターT(4年前に到来していたという異世界か。)
デュヴィジェ(小父様以外にも、ミツキ様方もいらっしゃいました。ですが、当時の記憶は消えていますので。)
ミツキ(ぬぅーん、覚えていたかったわぅよ。)
デュヴィジェの言葉を伺うも、その様相を思い出す事は不可能だった。ミツキ達も俺と同じ体験者だが、同様に思い出す事はできないようである。それだけ、宇宙種族の記憶操作は完璧である証拠だ。
しかし、生命自体に焼き付いた記憶の根源は、完全に消え去っていないようである。現にこの異世界惑星に何処となく親近感を感じている。懐かしい思いすら湧いてきていた。
それに、異世界組の面々が、何処か他人とは思えない部分もある。詳細は分からないが、4年前にここに到来した時に出会った面々、その彼らの子孫が異世界組の面々なのだろうな。
遺伝子検査などを用いれば分かるかも知れないが、当時の面々の詳細を知る事はできない。仮にできたとしても、実に無粋な行動そのものである。
素直に、当時の面々が過ごしていた惑星に、再度到来できて良かったと思うのが一番良い。その子孫達と再び共闘できる事に、心から感謝する方が遥かに良いわな。
セレテア(何処か懐かしい思いに至ったのは、過去の出来事があったからですね。)
ミスターT(そうなるのかもな。俺達は4年しか経過していないが、お前さん達は数万年以上経過している事になるしな。)
ゼデュリス(私達の子孫の方が、貴方達と共闘していたかも知れませんね。)
ミスターT(そうだな。)
セレテアとゼデュリスが挙げる内容に、心から同意ができる。記憶自体は失われているが、実際に過去にこの異世界惑星に到来しているのだから。事実、生き証人たるデュヴィジェが全てを物語るとも言える。
ただ、彼女の事だ。諸々の秘密などに関しては、絶対に守り通す主義を持っている。過去の流れは語られる事はないだろう。秘密主義の一念を持っていてくれて、ある意味感謝するしかない。
念話による雑談が、俺達の荒んだ心を落ち着かせてくれている。表向きには今も愚物共を抹殺し続けているのが現状だ。それだけ、新大陸の様相は見るに値しない程の愚かさである。
俺達やヘシュナ達が得意とする、治癒力による治療は可能だ。しかし、心にまで傷を負った“彼女達”を、はたして救い切れるのかどうかは分からない。
リューヴィス事変でも、現地の面々が回復するには相当な時間が掛かった。いや、今も回復の途中である。それだけ、筆舌し尽くし難い傷を受けたのだ。これに対して、激昂しない方がどうかしている。
幸いだったのが、魔物大陸で待機中の貴族連合の面々の様相か。確かに彼らは侵略行為などを行ってきたが、女性を蔑ろにしたり傷付けたりはしていなかった。事実、補佐に回っていた貴族の女性達は、かつては一般人である。
彼女達の様相を憂い、貴族としての地位を与えたのが彼らだ。これを伺った時は驚愕した。それに、宇宙種族組の面々は、彼らの心からの真実の一念であると見抜いてくれている。故に俺も彼らを心から助けようと思った訳だ。
彼らには悪心は存在しなかった。しかし、中心の悪心寄りではあった。侵略行為を行っていたのが良い例である。だが、胸中の深淵には悪心は微塵も蔓延っていなかったのだ。
彼らであれば、新大陸を纏め上げるには打って付けだろう。今現在蔓延っている愚物共など話にならない領域に至っている。
であれば、彼らや今後の新大陸の事を考えて、一肌脱ぐのが俺達の生き様だ。警護者魂とも言えてくる。声無き声を掬い、共に歩んでいく。そして、自立出来るまで支え抜く、と。
調停者と裁定者を担っているのだから、これはもう定石たる行動である。つまりは、今後の俺達次第で異世界惑星の命運が変わると言う事だ。奮起しなければ無様そのものである。
新大陸に再上陸をしてから、どのぐらい経過しただろうか。相手の様相に蓋が取れ切った俺達は、蔓延る愚物共を片っ端から抹殺して回った。そう、回りに回り捲くった。
人間の殺害はタブーであると思っていた自分が、今では馬鹿馬鹿しいと思えるぐらいの様相である。それだけ、相手の言動などが逸脱していた証拠だ。現に捕縛した連中は、今だに女性への要らぬ一念を抱きやがっている。
そう言った連中は、今後も必ず要らぬ火種となり、新たな被害者を出していく。過去の実例からすれば、火を見るより明らかな未来像だ。ならば、冷徹無慈悲なまでに始末するまで。
これに関しては、最早誰も反論する者はいなくなった。逆に異世界組の面々は、漸く重い腰を上げてくれたと言ってくれるほどである。宇宙種族組の面々も同様だ。
地球組の面々は、完全には賛同し切れていない面々もいるにはいる。しかし、賛同せざろう得ない状況を目の当たりにしたためか、黙認するにまで昇格したと言えるだろう。
それだけ、今の新大陸の様相が余りにも酷過ぎた。過大評価だが、俺ですら考えを改めてしまうぐらいの様相だったしな。己の業云々やら何やら以前に、阻止せねばならないと決意をさせてくれたぐらいである。
ともあれ、新大陸の“完全掃除”は、まだまだ続きそうだ。しかしながら、仮と言える程度の解放には至ったようである。
第7話・8へ続く。
引き金を引く事を行いだしてから、実に簡単に攻略が進みだしたという。不殺の精神で進む場合、過剰な一撃では致死の一撃になりかねませんし。問答無用で叩き潰せる事がどれだけ楽か、本編を執筆していて痛感させられています。
まあ相手は極悪人やその他の愚物共ですからね。このぐらいは許されるでしょう。と言うか、劇中でも挙げた通り、それら愚物共を野放しにする事こそ罪深い事でしょうし。故に、問答無用に引き金を引く、これでしょう。
探索者の本編を描いていて、漸く帰結する先が見えてきた感じがします。まあ、まだまだ描かねばならない作品が多々ありますが><; 先は長いです(-∞-) 拙い作品ですが、何卒、お付き合いの程、よろしくお願い致しますm(_ _)m




