第7話 人質と新大陸の解放4 当時を想い語り合う(通常版)
(うーん・・・私達も記憶を消してあったとは・・・。)
簡潔的だが、一部始終を伺った面々は絶句している。特に、俺や身内達が顕著だ。異世界事情に憧れてもいる彼らは、何処か残念な思いを抱いているようだ。
(色々とすみません。でも当時は、小父様や皆様方も記憶を消す事には賛成でした。今の私達だからこそ、異世界惑星事情を受け入れられます。ですが、当時の私達には非現実的なものでしたので。)
(ですねぇ・・・。)
(残念な思いはあるにはあるけど、これはこれで良かったのかも知れないわね。)
デュヴィジェの語りに、当時の自分達の采配に感謝するしかない。後々を考えれば、記憶を消すのは実に理に適っている。
リアル世界に生き様を置く俺達には、異世界事情は余りにも強烈過ぎる。デュヴィジェが言うように、今の俺達なら問題なく受け入れられる。しかし、あの時の俺にはまず無理な感じだろう。後の生き方に多大な影響を及ぼしかねない。
俺達が全てに対しての適応能力を持っているからこそ、デュヴィジェが挙げた異世界惑星への再召喚に対応できたのだろうからな。
(ちなみにですが、イザベラ様方は創生者ティルネア様の遠縁の子孫ですよ。)
(何と・・・。)
(デュネセア一族は、多岐多様の行動をする調停者と裁定者だわな。)
本当にそう思う。イザベラ達の出生に関しては、今までの悩みでもあった。それがこうも簡単に解決してしまうとはな・・・。それに、過去のティルネアもデュネセア一族であり、イザベラ達もデュネセア一族である。
5大宇宙種族の中では、一番ニューカマー的なデュネセア一族。他の宇宙種族達よりも、全てにおいて妹的な感じである。だが、その行動力に関しては姉的存在なのだろう。現に、デュヴィジェが生きて来た年数は、他の宇宙種族組を遥かに超越している。
黒いモヤ事変でも、数億年ほど監視の任務に当たる程の存在だ。それだけの途方もない年数を生きているなら、異世界惑星の事情に関わっていても何らおかしくはない。
ただ、魔法の概念だけは、どう考えてもおかしいと言うのだから不思議である。これだけの実力を持つデュヴィジェですら、魔法の魔の字すら理解できないと言い切っている。それが、ここ異世界惑星では魔力と魔法の概念が脈付いているのだ。
この大宇宙には、理路整然と解釈する事ができない概念が数多い事を痛感させられるわ。
(お嬢、当時のここも、愚物共が蔓延っていたので?)
(はい。正に蠢いていた感じでしたよ。)
重い口を開きつつ、当時の様相を尋ねるウエスト。それに答えるデュヴィジェ。彼が語る内容は、当時も今と変わらない愚物共が蔓延っていた事に対してだ。
当時の異世界惑星に住まう人物達は無論、国や概念なども全て様変わりしている。伝承的な事柄は残っているが、それ以外では何も残ってはいない。
ちなみに、各大陸に遺跡として残っていたものは、当時の名残もあるらしい。大多数が朽ち果てているが、一部は今も現存していた。これはある意味、物凄い事でもある。
(うーん・・・当時を覚えていればなぁ・・・。)
(色々と話のネタになったんでしょうけど。)
突拍子もなく放たれるボヤきに、地球組の面々は苦笑してしまう。今の境涯だからこそ、異世界事情を素直に受け入れる事ができる。むしろ、ウェルカム的な感じだ。各種ネタとなるのは言うまでもない。
(まあでも、当時があったから今の俺達がありますからね。)
(そうだな・・・。)
(はぁ・・・物凄く残念そうなんだけど。)
現実を受け入れつつも、やはり落胆の気がある四天王。彼らはヲタク気質を地で行っている強者でもある。この異世界惑星の毎日が楽しくて仕方がないとも語っていた。
そんな彼らが前にもここに来ており、当時の色々な経験を得ていたのは間違いない。過去の自分達が決めた事ではあるが、何処か残念極まりない感じが否めないようである。
(まさかと思いますが・・・。)
(あー、今回は記憶は消しませんのでご安心を。)
(おおぅ♪)
今現在で思い付く懸念材料を語るミツキ。異世界惑星の事変が終われば、自分達の記憶を消すのかと危惧していた。それを簡単に一蹴するデュヴィジェに、ニヤケ顔で答えるミツキ。
他の地球組と宇宙種族組も、記憶の継承が可能と知って大喜びしている。それだけ、彼らにヲタク気質の流れがあるのが十分窺えた。
(まあでも、ここでの話を地球で語っても、誰も信用なんぞせんが。)
(ですねぇ~。)
(アキバではスーパーヒーローになれそうな感じですけど。)
理路整然と解釈する事ができない概念。仮にそれを経験したとしても、現実世界に生きる人物に語っても通用する事はない。変人やペテン師などと罵声を浴びせられるだろうな。
だが、異世界惑星に到来した面々が、警護者界の重鎮クラスであれば話は変わってくるかも知れない。更には、大企業連合の総帥に副総帥、トラガンの全メンバーも含まれている。
仕舞いには、理路整然と解釈する事ができない力を持つ、宇宙種族の面々。彼らも異世界惑星の事情を経験したのだ。そんな俺達に批難を言うのは、ある意味虎の巣穴に侵入するようなものか。
1人や2人だけなら、変人やペテン師の罵声で済まされるだろう。それが数百人以上の規模となれば、最早現実味を帯びだしているとも言える。その中に宇宙種族がいるのだから、話の信憑性は非常に高いと言えてくる。
(異世界組の面々を連れて行けば、彼らが真の勇者になれるわな。)
(あー、それなら何れ実現しても良いですけど。)
(マ・・マジっすか?!)
俺のボヤきに、カネッドを含む異世界組の面々がざわめきだした。この場合は、彼らが俺達の世界に召喚される形になる。まあ、転送装置での一括大移動ではあるが、彼らにとっては大歓喜極まりない様相のようだ。
まあでも、それらを実現するには、異世界惑星の各事変を終わらせねばならない。今も世界に蔓延る悪党共を全て叩き潰し、安穏を得てからという事になる。まだまだ課題は山積みだ。
第7話・5へ続く。
探索者と苦労人の接点が繋がった現状。まあでも、前々からそれらしい語りは入れていたのですがね@@; 2つの物語で別の惑星を用いた場合、多分シドロモドロになったのは言うまでもありません。今もシドロモドロなので余計心配してましたので(>∞<)
とりあえず、探索者は辛うじてカキカキができている現状で@@; それと、毎回約2500字で固定させて頂く形になりました。以前は平気で5000字とか掲載させて頂きましたが、結構無茶をしてました@@; 短編的な2500字前後が無難かも知れません(-∞-)




