第7話 人質と新大陸の解放2 それぞれの決意と姿勢(キャラ名版)
ナツミYU「仕方がないと思いますよ。警護者は二面性を持つ存在。守護対象を厳護し、排除対象を殺害していく。それを躊躇うなら、警護者は止めるべきです。」
シューム「その通りよね。でも、ミツキちゃん達が心懸けていた、不殺の精神も持ち合わせたいものよね。まあ、先の愚物みたいに分からない相手には、引き金を引くしかないけど。」
一服しつつ、懐刀の拳銃を分解掃除しているナツミYUとシューム。つまり、何時でも問題なく使える事を意味している。2人とも生粋の警護者なだけに、俺とは異なり引き金を引く事に躊躇はしない。
ウインド「微温湯に浸かり過ぎていた感じがします。マスターがミツキさんから感銘を受けた、不殺の精神の清々しさと言うか、その安心感に酔い痴れていたとも。」
ダークH「ミツキさんには大変申し訳ないのですが、不殺の精神を挙げだした頃から、諸々の進軍が停滞状態に至りだしたとも言えます。」
そう語りつつ、ウインドとダークHも懐刀の拳銃を分解調整している。腰のホルスターに装着している、リボルバーの拳銃とは別の獲物だ。彼女達はこれを滅多に使う事はない。
先のシュームやナツミYUも、懐刀の拳銃を使った所を見た事はない。それ以外に装着している拳銃を用いている。シュームなら小型拳銃、ナツミYUは黄金の2丁拳銃だ。だが、4人とも体術を習得しているため、専ら体術で制圧する事が多い。
ミスターT「ミツキさん達は本当に悪くはない。むしろ、彼らの戦う姿勢は絶対に見習うべきだ。でも、戦う環境が異世界惑星なら、通用しない概念だったんだろうな。」
ミツキ「お気になさらずに。むしろ、皮肉過ぎる感じですよ。各作品での異世界事情で、現実世界では行われなかった行動をしてしまう。つまり、他者の殺害と。」
ナツミA「本当に嫌味なほどに当てはまっているからね。生かせば更なる脅威の存在と化していく。手っ取り早く済ませるなら、頭を撃ち貫け、と。」
愛用のスナイパーライフルを調整するナツミA。ミツキの方はマグナムを調整している。しかし、姉妹が持つ獲物は、懐刀の拳銃ではない。彼女達は生粋の警護者ではないため、決死を託す獲物を持ち合わせてはいない。
むしろ、彼らの大多数は本当の警護者とは言えない。守護者と言うべき存在だ。トラガンの女性陣ですら、警護者に至ったのはホンの一握りのみ。懐刀の拳銃を持つ覚悟をした人物だけである。
よくよく考えたら、建前的な警護者としての存在は数多い。しかし、懐刀の拳銃を持つ生粋の警護者は、実際の所は物凄く数が少なかった。それが意味する所は、相手を殺害する事を良しとしないための抵抗でもあろうな。
ミスターT「相手の無力化などは、一切合切お前さん達に任せる。その後の“交渉”に関しては、俺達が出るわ。」
サラ「その方が良さそうですね。マスター達に押し付けるのは偲びないですが、私達では本当に荷が重い決断ですし。」
セラ「汚れ役を押し付けてしまって、本当にすみません。」
小型マシンガンを調整するサラとセラ。その2人が申し訳なさそうに詫びてくる。この2人も生粋の警護者ではないため、懐刀の拳銃は持っていない。調整中の小型マシンガンは、相手の無力化を図る獲物でしかない。
そもそも、トラガンの女性陣の基本戦闘スタイルは、プロレス技から派生した近接格闘術を駆使している。重火器を使う事は非常に希で、言わば鉄拳制裁で済ます事が多い。その方が相手を殺害しないで済むためでもある。
これは彼女達以外にも、地球組の面々の大多数が同じ戦術を用いている。先にも挙げたが、生粋の警護者は本当に一握りでしかない。
だが、その近接格闘術を取り上げた頃から、相手の殺害に待ったが掛かりだしたのも事実。ダークHが語った通り、俺達の進軍速度が停滞しだしたのだから。本当に皮肉な話である。
ゼデュリス「現地ではどういった作戦を?」
ミスターT「乗り込む事はするが、とりあえずは“直談判”しかない。」
既に戦闘準備を整えた異世界組の面々。重火器を持っていないため、簡単な調整だけで済むのが羨ましい。また、彼らの方は引き金を引く事に躊躇しないのも羨ましい限りである。
そんな中のゼデュリスが、今回の作戦を尋ねてきた。新大陸への上陸は行うが、その後の流れは白兵戦になってくる。言わば、直談判である。まあこの直談判の交渉も、対話か対決かの2通りがあるが。
ラティミナ「抵抗してきた場合は、“無血革命”の方で無力化でよろしいのですね?」
ミスターT「ああ、お前さん達はその方針で頼むわ。」
ラティミナが皮肉を込めて語る。“無血革命”とは言い得ている感じだ。俺達の本当の戦闘スタイルは有血革命そのもの。本気を出した場合は、血が出ない事などない。むしろ、決死に至るのだから。
根本的な戦闘スタイルが、即座の決死に至り難い異世界惑星の面々。ならば、彼らには表の実働部隊を任せるしかない。裏の実働部隊は、俺達警護者サイドが全て担うとする。
ミスターT(ただし・・・。)
粗方の戦略が決まった所で、上陸の最終準備に取り掛かる面々。その面々全員に聞こえるように、念話で補足を付け加えた。その一言で、ザワザワしていた甲板上が、シンと静まり返る。
ミスターT(相手がこちらを殺しに掛かって来て、それの対応に困った場合は・・・。)
シューム(ええ、容赦なく引き金を引かせて貰うわね。)
ナツミYU(降り掛かる火の粉は、払い除けませんとね。)
詰まる所、最終判断は個々人に委ねるしかない。相手との対峙時に、こちらに実害が及ぶのであれば、結局は排除せねばならない。躊躇して殺されては話にならないしな。
無論、前口上は色々と述べさせては貰う。その上で交戦となったのなら、相手とは敵対していると受け止める。その後の流れは、手前通りの展開だ。
一同を代表して、シュームとナツミYUが淡々と返してくれた。2人とも、本気を出した場合の実力は、間違いなく警護者界最強クラスである。当然ながら、それは相手の殺害を以ての対決だ。
ミスターT(・・・俺は馬鹿だったわな。もっと早くに決断していれば・・・。)
ナセリス(ご冗談を。諸々があったからこそ、私達はこうして出逢えたのですよ?)
カラセア(ですね。即決即断で動いていたら、偽者共をのさばらす事すらできませんでしたし。)
俺のボヤきに、即座に反応するナセリスとカラセア。この2人もシュームとナツミYUと同じく、引き金を引く事に躊躇しない。特にナセリスはガードラント一族の現女王である。カラセアは現防衛庁長官の大任を拝してもいる。
全ては総意を守るための行動。それを踏まえれば、自身に降り掛かる境遇など朝露の如き儚さそのものだ。周りが幸せに安穏に至るのなら、如何なる境遇に至ろうが構わない。俺も全く同じ思いである。
第7話・3へ続く。
引き金を引ける用になってから、途端に攻略が進みだすという皮肉さ。無血革命と不殺の精神は優先すべきでしょうけど、従来の進軍速度より遅くなるのは言うまでもないのかも知れません。簡単に引き金を引ける進軍は、非常に楽なのでしょうけど。悩ましい。
これはカキカキをしている部分からも、永遠の命題かも知れません。自分は死亡描写を描くのが好きではないため、プロレス技とかの不殺で貫き通せる行動を取り入れていましたので。まあ、人間以外は殺害している手前、それではある意味差別だとなりかねませんし(屁理屈ですかね?)。
ともあれ、引き金を引き出した事により、進軍速度が向上したのは間違いありません。同時に、描く描写も悩み所で、今は執筆が完全停滞している状態ですが・・・><; 何とも悩ましい(-∞-)




