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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第6話 引き金を引く7 警護者の本来の生き様(通常版)

 ブックマーク登録、ありがとうございます><; 毎度ながらの枯渇状態が続いていますが、何とか続けて参ります><; 頑張らねば(>∞<)

 静まり返る海岸。対面するは、砂浜に倒れ込む2人の存在。両者とも頭を打ち抜かれて、完全に事切れている。その相手を、俺は冷めた表情で見つめていた。


 複雑な感情が渦巻いている。ついにその時が来たのかという思いと、これで一歩前に踏み出す事ができる思い。そして、本来の警護者としての生き様に回帰した事だ。


 そう、本来ならば、この流れが当たり前だった。それが、何処でどう曲がったのか、相手を殺害する事を躊躇いだした。特に、人間や意思を持つ生命体に関しては、その傾向が非常に強かった。


 だが、それでも救えない存在はいる。男爵と伯爵の両名がそれである。王城連中が顕著でもあろう。直ぐに行動に出ていれば、ここまで長引かせる事はなかった。



「・・・なあ、貴方達も諸々を把握しない存在なのか?」


 沈黙した浜辺に、俺の言葉だけが響く。声を向けた先は、大船団を引き連れて襲来した、貴族連合達だ。一部始終を見ていた彼らからは、全く戦意を感じ取れなかった。


 むしろ、彼らの本当の一念は、止むに止まれぬ事からの侵略だと伺った。全ての元凶は、王城側にあるのだと。となれば、こちらに侵略する理由を排除すれば、彼らと戦う事は消え失せる事になる。


「・・・我々は退くしかなさそうだ。この2人ほど、生命を無駄にはしたくない・・・。」

「そうか・・・すまんな。」


 貴族王の言葉に、他の面々も同調の姿勢を見せている。止むに止まれぬ侵略であった事は明白であり、完全なる悪党ではない事も判明した。難しい所だが、彼らとは共存が可能かも知れない。


 だが、退くに退けない部分を窺うと、戻れば殺される事を危惧しているようだ。となれば、彼らは彼らで独立をさせなければならないだろう。


 貴族という概念に執着をしないのなら、その足枷を取り払う事も必要である。彼らにその姿勢があるのなら、王城側と縁を切る事も選択肢に挙げられる。


「そうだな・・・魔物大陸の東側に、それなりの規模の陸地がある。そこを拠点とする事も可能だろう。ゼロからのスタートになるが、その覚悟はあるか?」

「・・・正直な所、向こうとの関わり合いは切りたい。我々の部隊だけでも、十分過ごせる装備はある。だが・・・。」

「お前さん達の家族達、だな。」


 退くに退けない最大の理由は、俺が挙げた点だろう。彼らは今も王城に、家族達を残して来ている。彼らが戻らねば、家族達に害が及ぶ可能性が非常に高い。この点を解決できれば、彼らの方は王城からの離脱を考えているようだ。



 そもそも、他大陸に侵略をするのは、2通りの概念があるだろう。1つは愚物の常套手段、私利私欲による領土の拡張だ。今の王城の状態が正にそれである。もう1つは、他国を追放なり追われるなりして、居られなくなった場合だ。


 貴族連合の面々は、後者のパターンに属している。対峙直後は前者だと思い込んだが、実際には全く別のものだった。やはり、対話による解決が最大の解決策だと言えてくる。


 どうして、あの2人はそこに至らなかったのか・・・。今思えば、それだけが不条理なまでに浮かんでくる。まあ、あの2人は対話が不可能な相手でもあった。仕方がなかったと言えばそれまでである。


 割り振る事が重要だと思われるが、それでも遣る瀬無い思いは消える事はない。これが、警護者の本来の姿だったとはな・・・。俺も微温湯に浸かり過ぎていた証拠だわ・・・。




「マスター。ここは隠密部隊を編成して、王城に“囚われている”方々の救出を行うべきでは?」

「“囚われている”か、十分当てはまっているわな。」


 一部始終を窺っていたエリシェが、解決策を挙げてくれた。貴族連合の家族は、実質的に王城に囚われていると言える。ならば、その彼らを救助すれば解決する。見事なまでのプランである。


 しかも、それに相応しい部隊の編成も可能だ。隠密部隊と挙げた通り、ヒドゥン状態の面々での行動である。任意的に姿を消す事ができるため、相手に発見される事はまず皆無である。それに、通信手段は念話を用いれば問題ない。


「・・・貴方達には色々と迷惑を掛けている。ここは俺達に任せてくれ。」

「正に“苦労人”ですよね。」

「ハハッ、本当にそう思うわ。」


 諸々を承諾し、貴族達に彼らの家族を救出する事を約束した。そんな俺を見て、ラフィナがボヤいてくる。本当にその通りだろう。


 ただ、本当の淵源は俺自身にある。彼らを全て救出してこそ、異世界惑星を救う事になる。それに彼らを悪道から救い出せるなら、ここは彼らの家族を救出すべきだ。


 また、そうした場合は、王城から目を付けられる事になる。彼らの新たな居住可能な場所が必要だ。新大陸が理想的なのだが、現地の今は王城側の息が掛かった連中がいる。となれば、かつての愚物大陸か他の大陸を考えねばならない。

    

「マスター、あの遺体はどうされますか?」

「・・・ああ、丁重に葬ってやってくれ。」


 色々と思考を巡らせていると、ゼデュリスが語り掛けて来る。その内容は、先の愚物2人の遺体に関してだった。再度そちらを窺うと、今も砂浜に倒れたままの彼らがいる。


 悪の本質は概念やその思想であり、本人達の生命や身体には該当しない。既に事を終えたのだから、丁重に埋葬すべきだろう。遺体にすら憎しみを抱くようでは、最早人として終焉を迎えている。警護者として恥ずべき失態だ。


 こちらの言葉を聞くと、直ぐに行動を開始する面々。俺自身も当事者なため、諸々の行動に付き添った。改めて思うが、生命体は簡単に死ぬと言う事を痛感させられる。



 端から見れば、身勝手な発言なのだろう。だが、事の発端は相手にある。あのまま野放しにしていれば、更なる火種を異世界惑星にばら撒く事になった。それを阻止するのも、警護者としての使命だ。それに、その行動で救われる存在が数多くいる。


 本質から腐り切っている連中なのだ、一切の情けは無用である。そう、今までの俺は、その一念を出さずにいたから、相手をここまでの増上慢にさせてしまったのだ。


 ここまで異世界惑星に首を突っ込んだのだ、最後まで付き合うのが筋である。それに伴い、抹殺しなければならない存在がいるのなら、問答無用で排除するに限る。


 ・・・何か、実に簡単な一歩踏み出しだったな・・・。これを躊躇っていたために、長々と悪を助長させてしまっていた。もっと早くに動いていればと思うが、今は考えまい・・・。




 愚物2人の火葬による埋葬を済ませると、次なる行動に出た。貴族連合の面々の家族を、王城側から救出する事だ。真の巨悪が出ている現状、貴族連合は踊らされているに過ぎない。むしろ、被害者とも言える。


 問題は、彼らが住まえる場所の確保だ。理想的なのが新大陸だが、今は王城の息が掛かった愚大陸と化している。本当に救えない連中にまで成り下がっているのなら、最早のさばらせる意味もない。徹底抗戦すべきだろう。


 だが、全部が全部そうだとは限らない。再度現地に乗り込み、向こうの様相を知った上で判断するしかない。最悪は、完全排除に限るが・・・。


 これに関して総意の見解は、俺が漸く重い腰を挙げたと思っているようだ。元から暴れるつもりでいる面々が大多数なため、ゴーサインが出れば実働部隊として暴れると言ってくれていた。


 特に地球出身の警護者群は、俺が断腸の思いで一歩踏み出した事に同意してくれている。元から警護者は、こうした血みどろ臭い生き様を貫く存在だ。本来ならば、決死の一撃を放つのが通例である。


 それが、今まで後手に回ってくれていたのは、単に俺が原因でもある。その俺が動き出したのだから、彼らの方も本気を出す事になった感じである。



 本当に、何処でどう間違ったのか分からない。相手が敵だと明確に判明しているのなら、一切迷わず引き金を引く、それだけである。たったそれだけの事を、何時の間にか恐怖心から動けなくなっていた。


 だが、異世界惑星の事情で全てが変わった。魔物や魔族は殺害しても、人間だけは殺害はしてはならない。屁理屈に聞こえなくはないが、端から見ればこれは立派な差別である。


 相手が悪党で救えない存在なら、それがどんな種族であろうが抹殺するに限る。それが俺達警護者の生き様だ。その繰り返しを、草創期から続けてきたのだから。


 今後は、一切の躊躇はしない。相手の出方次第だが、最後通告が通用しなければ、引き金を引くに限る。王城軍団に明確な決死の一撃を放ってやる。


 次なる行動に出る面々を見つつ、静かに一服しながら、そう心に決意した。


    第62話へ続く。

 引き金を引いたミスターT君。今の今まで躊躇していた一念を払拭し、一歩踏み出した形と。そもそも、魔物や魔族は殺害するのに、人間だけ殺害しないというのは差別でしょうし(自己的観点)。ともあれ、これで本来の流れに至ったという感じです。


 ちなみに、再びストックが枯渇しました><; 第7話は半分ほど完成してますが、残り半分が進んでいない感じで><; 来週までにはケリを着けないとマズいです><; うーむ・・・後半になればなるほど、執筆が停滞気味になりますあ(>∞<)

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