第6話 引き金を引く3 強い決意と嫌な役回り(キャラ名版)
セレテア(・・・魔物は殺害しているのに、人間は殺害しない、ある意味差別ですよね。)
ミスターT(・・・ああ、本当にそう思う。)
セレテアの言う通りだわ。屁理屈にも聞こえなくないが、実際に魔物達を殺害しているのは事実である。それなのに、人間だけは殺害せずにいる。これ程の差別は他にはない。
この一念は、俺が地球人だからこそ出るものだろう。異世界人であれば、人間も魔物達も全て混在させられている。生きるも死ぬも、全て等しく与えられた現象そのものだ。
・・・何時から、俺はこの様な女々しい野郎に成り下がったのやら・・・。
シェネア(どうしようもない悪党には、引き金を引くべきなのでしょうね。)
ミスターT(・・・今度からは、そうすべきだな・・・。)
徐に懐に手を遣り、格納している拳銃を取り出す。警護者や警察官ならば、誰もが常備している兵装だ。
ウインドやダークHの場合は、リボルバー拳銃を常用している。腰のホルスターに格納しているのが多い。しかしそれは、表向きの兵装である。
俺が取り出した拳銃は、言わば懐刀そのもの。滅多に使う事はない。その意味合いは、その一撃で全てを終わらせるためのものである。そう、相手の殺害を以ての終焉だ。
警察官のウインドとダークHも、奥の手としてこの兵装を常備している。しかし、使う事は非常に希だ。相手を殺害するための兵装なのだから、滅多に使う事はない。
そして、これを手にして決意するという事は、次からの一撃は致死に至るという事である。
ちなみに、この拳銃は特殊仕様である。従来式は通常の実弾が使われているが、この特殊式はマグナム弾を発射できる。リボルバー式のマグナム拳銃と大差ない威力を誇る。
つまり、そこから放たれる一撃は、確実に相手を殺す事が可能だ。そうでなければ、多様な防壁に阻まれて失敗するだろう。確実に致死に至らすための、決死の兵装である。
マデュース改などの兵装が、実に玩具に見えてくる。この特殊式拳銃は、そこに込められた重みは段違いなのだから。
ミスターT(・・・ハッ、俺の行き着く先は地獄そのものだな・・・。)
ウインド(またまたご冗談を。それが私利私欲からのものなら、間違いなく地獄ですよ。しかし、警護者や警察官となったからには、何れその一撃を放たねばならない時が来る。)
ダークH(相手に決死の一撃を入れる。それだけ、最早手の施し様がないと言う事ですよ。)
念話を通して、ウインドとダークHが兵装に手を遣る。また、俺と同じ思いを抱く面々が、兵装を手にしだした。別の意味での隠し武器は、先にも挙げた通り、相手を決死させる獲物そのものだ。携帯兵装などとは訳が違う。
警護者の重要な兵装、決死兵装。致死兵装とも言うが、心構えとしては決死の方が相応しいだろう。そうでなければ、とてもではないが警護者の生き様など貫く事は出来ない。
エリシェ(前にも言いましたが、悪党を野放しにする事で、更なる災厄を招く事になる。それを阻止するには、相手の殺害を以て終わらせる、これですよ。)
ラフィナ(大丈夫です、私達も同じ道を進みます。マスターだけに辛い思いはさせません。)
ミスターT(・・・すまんな。)
エリシェとラフィナも、その兵装を手にする。本来の彼女達は、大企業連合の総帥と副総帥であり、警護者ではなかった。それが、今ではやり手の警護者に至っている。
無論、その道の行く先に、俺と同じ決意に立たねばならない事を把握している。できれば、彼女達にはその思いはさせたくないのが本音だ。
警護者に所属する面々の誰もが、俺と同じ思いに至っている。それぞれが手に持つ獲物は、相手に決死の一撃を放つもの。そう位置付けつつ常備している。使う時は非常に近い。
ならば、情け容赦なく一撃を放つ、それだけでいい。要らぬ感情を抱けば、それだけ相手に隙を与える事になる。そうなってからでは遅いのだが、既に今の俺がその状態なのが皮肉な話である。
ミスターT(腹を括る。主役は異世界組の面々だ。お前さん達は何時も通りに進んでくれ。汚れ役は俺達、警護者サイドが全て担う。)
ミツキ(・・・私も、重い腰を上げますかね・・・。)
ナツミA(ポチも上げるなら、私も当然上げるわよ。)
シルフィア(そうね、一蓮托生そのものだし。)
俺の決意に同調したのか、他の面々も同様に決意を固めだした。エリシェ達と同じく、その行為には至って欲しくはない。しかし、大切な存在に害する輩を、野放しにする方が遥かに罪深い。
スミエ(んー・・・もし私達が本気を出したら、直ぐに王城は壊滅しますね。)
ミスターT(そうだな、風前の灯そのものだわ。)
デュヴィジェ(態とらしく延命させていたようなものですからね。)
俺達の決意に追加同調する宇宙種族組。デュヴィジェを筆頭に、他の面々も警護者と同様の兵装を身に着けている。それらを手に取り、新たなる決意を抱きだしていた。
と言うか、宇宙種族組に関しては、そう言った躊躇は一切ない。広大な大宇宙を旅している事から、降り掛かる火の粉は払い除けねば倒される。ならば、容赦をせずに引き金を引く。それが宇宙種族の本質なのだから。
ヘシュナ(はぁ・・・嫌な役回りですよね。まあ、後悔はしませんけど。)
ナセリス(宇宙種族は、生きる上で夥しい生命体を駆逐してきましたからね。何を今更と言った感じになりますし。)
ルビナ(言葉は悪いですが、マスター方に感化されたのが運の尽きとも。)
ミスターT(ハハッ、それは光栄な事です。)
ルビナの言葉に、皮肉を込めて笑ってやった。先にも挙げたが、彼女達は本来ならば容赦のない一撃を放つ種族だ。それを押し殺してしまったのは、俺の優柔不断な一念が原因である。
彼女の揶揄は、俺への痛烈なまでの戒めである。己自身に惰性に走るな、押し殺されるなと無言の圧力を掛けてくれていたのにも関わらず、だ。
イザベラ(実に悩ましいですよね・・・。)
ミュティナ(悩んだら、総意を見て動く方が無難ですよ。全ては弱者を支えるため。私利私欲に走る強者を潰すため。)
ミュセナ(強気を挫き、弱きを助ける、ね。)
次々に今まで抱いていた思いを挙げてくる。あの温和なミュティナが挙げるぐらいである。それだけ、今まで歯痒い思いをしていたのだろう。本当に悪い事をしてしまったわ。
いや、むしろ今までの流れがあったからこそ、その本質たる部分を見定められたのだろう。何の感情もなく実行していたら、後々絶対に後悔していたに違いない。
屁理屈に聞こえなくはないが、結果として回帰できたのなら問題ないのかも知れないわ。後は、俺がどう取るかで変わってくる。
第61話・4へ続く。
引き金を引く準備を行う面々。それは、本来あるべき姿に戻るという。しかし、この概念は永遠の課題でもあり、今まで躊躇していたものでしたが。まあ、劇中でも挙げましたが、それを言うなら魔物達などはどうなのだとなりますし。難しい問題になりそうです。
次の第62話が進んでいません><; また前回の様に、非常に切羽詰った状態で駆け込みそうです@@; まあ、詳細描写版に切り替えたため、ある程度の表現はし易くなりましたが@@b 警護者の最終話周辺も、同じ様にするべきでしょうね(-∞-)




