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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第5話 休息と報酬4 師匠は警察庁長官(通常版)

「あの連中、もし修行を怠っていたら瞬殺してやるわよ。」

「本当ですよね。」

「お前さん達が嫌々そうに見逃すと言ってたぐらいだしな。」


 当時を思い起こし、不愉快そうにするシュームとナツミYU。相手がそれ相応の実力者だと踏んで対峙したのだが、実際には雲泥の差と言わんが如くであった。あれからかなり経過しているが、確かに修行をしていなかったら瞬殺されるだろうな・・・。


「暇があればスパーリングを繰り返していますが、それが相当な修行になっているとは思いもしませんでした。」

「そうねぇ。まあでも、絶え間ない修行の先に得られるのが力だからね。何もせずに得る事なんかできないし。」

「逆を言えば、小時間でも修行を行い続ければ、それが大きな礎になりますよ。私達はそうして今の力を得ましたので。」

「戦いに関しては、シュームさんとナツミYUさんの意見を聞いていれば完璧よ。」


 本当にそう思う。いや、そう痛感せざろう得ない。万般に渡って行動ができる2人は、今まで並々ならぬ修行を経てきたのは想像に難しくない。絶え間ない努力の先に今の2人がある。


 この部分に関しては、妹達や他の女性陣も痛感しているようだ。実際にアーダコーダと文句を言う割には、彼女達のスパーリングによる指南を受けている。


 近接戦闘では最強クラスの2人である。その彼女達の指南を真に受けていれば、自然と力を付けられるのは言うまでもない。


 ちなみに以前も挙げたが、俺の戦術指南役はウインドとダークHである。俺の言動が警察官としての立ち振る舞いに近いのは、正に2人の強い受け売りだ。


「マスター、私達が戦術指南役との事ですが・・・。」

「はぁ・・・お前さんにも見抜かれるのか・・・。」

「と言うか、心中の思いがダダ洩れですし・・・。」


 今し方思った事を、当事者たる2人に見抜かれる。ウインドとダークHは、言わば俺の師匠的存在だ。戦術指南役は表向きの表現でしかない。


「ふむ・・・よく考えると、貴方達は物凄く似ている感じがするわね。」

「ミツキさん達とは異なり、別の師匠と弟子の間柄と言うべきか。」

「色々とレクチャーして貰ったしな。」


 徐に一服しつつ、当時を思い遣る。発端はウインドとダークHを助けた事によるもので、以後は色々と警護者としての礎を鍛えてくれた。


 そう、文字通り鍛えてくれたと言える。それまでは漠然と活動をしていたが、その大雑把な動きを憂いてか、2人が手解きをしてくれたのが切っ掛けである。


 まさかそれが今の礎になるとは、当時の俺は思いもしなかっただろうな。2人を守るべき存在として警護しただけだったのだが。


「Tちゃんにとって2人は師匠であって、2人にとってTちゃんは恩人になるわぅね。」

「そうなるわな。」

「警察庁長官が師匠とか、見事なものですよね。」


 呆れ雰囲気のナツミAに同調せざろう得ない。そもそも、当時の2人を警護する意味合いが見事としか言い様がない。他にも周りに警護できる人物がいたのにも関わらず、俺を指名したのだから。


「当時は私達も、格闘戦術は不慣れでしたから。マスターを教える事により、私達の力量を高める切っ掛けになりましたし。」

「以後は恒例の、持ちつ持たれつ投げ飛ばす、の感じと。」

「法規的な問題に直面したら、お前さん達にご足労して貰ったりしてたしな。」


 実に懐かしい思い出である。自分は勉学はできない方なので、詳しい事は専門家に頼むしかなかった。対してウインドとダークHは、法規のスペシャリストなので、大体の事は解決してくれていた。


「それ、ある意味癒着そのものに見えるんですが・・・。」

「はぁ・・・2人には悪いが、好き好んで法規の巣に突入する奴がいるか?」

「アハハッ、それは一理ありますよね。警察官と対面すると、何処か怖じてしまう部分が出てきますし。」


 これも実に不思議である。警察官と遭遇した際、疚しい事をしていなくても怖じてしまう。自然的と言うか、本能的と言うか、とにかく不思議としか言い様がない。


「お巡りさーん! ここに変態がいまーす!」

「アッハッハッ! マジモノで変態よねぇ。」

「変態気質の変人を、地で行く存在ですし。」

「ふん、言ってろ。」


 これである・・・。“そろそろ出る”と思っていた矢先、恒例の如くボヤきが繰り出された。それを伺った地球組と宇宙種族組の面々は、一斉に笑いだしている。異世界組の面々は、そのネタを知らないため、苦笑いを浮かべるに留まっているが・・・。



「初対面時は、私達の実力が上回っていましたが、今ではすっかり抜かれましたからね。」

「特に4年間の各事変で、恐ろしいまでに強くなられましたし。」

「強くならざろう得ない状況だったのも事実だがな。」


 本当である。28歳より4年間で、俺は無論、周りは恐ろしいまでに成長を遂げている。それだけ、各事変が逸脱した様相であったのは言うまでもない。


「今は異世界惑星の探訪中ですからね。更にパワーアップするのは間違いないかと。」

「流石に魔法だけは学べそうにありませんけど。」

「魔法、ねぇ・・・。」


 彼女の言葉に、地球組と宇宙種族組は小さく落胆する。異世界組とは異なり、今も魔力や魔法の概念から遠く離れている。いや、恐らく今後も得る事はできないだろう。


「ですが、各ペンダント効果を最大限使えるのは、皆様方だけですけどね。」

「お前さんも宇宙種族なのに、十八番の能力が形を潜めて、魔力や魔法に目覚めたクチだからな。」


 イザベラを筆頭に、イザリア・イザデラ・イザネアの4人は魔力や魔法が働いている。身内の宇宙種族と同じなのに、この部分だけは理解ができない。


 そもそも、4人ともデュヴィジェと同じデュネセア一族だ。宇宙種族なのは間違いない。それなのに、魔力と魔法の概念が存在している。


 この部分は再検証が必要だろうが、今は気にしない方が良いのかも知れないな。彼女達の特性と捉えた方が、より一層個性が発揮されるのだから。


「ぬぅーん! サンダーボールを放ってやるわぅ!」


 魔力や魔法の概念に憧れる俺達は、どうしてもこの部分は劣等感を感じずにはいられない。それを思ったのだろう。ミツキが電撃力を使い、大空に向けて電撃球を連続で放っていく。大空に打ち上がったそれらは、空中で小さくスパークをして飛散していった。


「はぁ・・・大空の線香花火的な感じよね。」

「まあでも、綺麗だから黙認しましょうか。」

「ある意味、力の間違った使い方ですよ。」

「間違った使い方、ねぇ・・・。」


 本当にそう思う。今も空中に電撃球を打ち上げるミツキに、ただただ呆れるしかない。だが、魔力や魔法の概念が働く面々にとっては、その電撃球の威力を見て驚愕している。


 傍らに居る妹達に伺った所、何と電撃魔法の域を超えているとの事だ。それ自体が電撃系最強魔法に属するレベルらしい。


 確かにルビナが十八番の電撃力は、生命力から繰り出される無尽蔵の力だ。テクノロジー化はしているが、それでも魔法に近い力になるだろう。ヘシュナが十八番、治癒力もしかり。


 これらの宇宙種族の力は、該当する魔法群を遥かに超越していると言う。ちなみに、それら各力は“初歩的”なものだ。最大火力で放った場合、怖ろしい事になるのは言うまでもない。


「何から何まで、逸脱しまくってますよね・・・。」

「何とも。」


 テューシャのボヤきに、ただただツッコミ返すしかない。本当にその通りなため、反論する事すらできずにいる。俺達が有する力が最強の力に属する所以だろう。


「まあ何だ、これらの力を誤った方に使わなければ問題ない。」

「大いに同意します。今後も、是非ともお力をお貸し下さい。」

「ああ、委細承知。」


 俺の額を優しく撫でてくるフューリス。その手を優しく叩いてあげた。ここまで来たのなら、最後まで首を突っ込まねば失礼極まりない。それに、異世界惑星の創生に携わった身だ、途中退場は愚の骨頂である。


 結局はこうして回帰する。いや、回帰できるだけ幸せである。もし回帰できなくなれば、その瞬間から愚者道に陥るだろう。王城に巣食う連中が正にそれだ。


 やはり、誰かしら戒めてくれる存在がいなければ堕落の一途を辿るしかない。身体を張って軌道修正してくれる存在がいるからこそ、誤った道に進む事がないのだから。


 ミツキが生き様、持ちつ持たれつ投げ飛ばす。それが必要であると、無意識に思わされる。本当に彼女の存在は凄いとしか言い様がないわ。


 夜景を楽しんだ後、それぞれ就寝に入る。息抜きと題したキャンプを大いに楽しんだ。


    第5話・5へ続く。

 警護者本編を踏襲しているため、ミスターT君の師匠はウインド嬢とダークH嬢となります。警察庁長官が師匠とは、恐れ多い感じです(=∞=) まあ、これも小説の醍醐味でしょう(何@@;


 しかし、残りの猶予は12日><;(次の更新分と、その次のアップまでの日数) それまでに、第61話を完成させねば・・・><; ちなみに、内容の展開は、61話から苦労人の詳細描写を投入する形です(完全ではないですが)。そうしないと、恐らく描けなくなっている可能性が><; う~む・・・。

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