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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第4話 大規模スタンピード3(通常版)

(小父様、それですが、決して弱体化ではないと思います。)

(そうよね。優柔不断な部分はあるけど、全てを守ろうとする一念は痛感しているからね。ただ、それでも因果応報の理は突き付けるべきよ。)

(一番顕著なのをお忘れですか? マスターが“何に対して”激昂するのかを。)

(・・・ああ、そうだったな。)


 ナツミYUの言葉に、何故突き放したのかを振り返れた。理不尽・不条理の概念、これに尽きる。特に顕著なのが、女性への痛烈なまでの悪態だ。そこに帰結すれば、否が応でも怒りと憎しみが沸き起こってくる。


(それに伴う結果が出ていますよ。王城大陸も旧新大陸も、女性が全人口の1割以下しかいません。私達が離脱するまでは、“それなりに居た”のですけど・・・。)

(女性軽視、何処まで見下されているかが分かるかと。)

(・・・そこまで腐り切ったのか・・・。)


 2人の言葉に、痛烈なまでの怒りと憎しみが沸き起こってくる。特にミツキTが挙げたのは、俺達が離脱する前と今とでは、女性の人数が激減しているというのだ。


(対して、4大陸の女性の割合も凄いです。大凡9割に迫る規模ですし。)

(男性も結構な人数がいらっしゃいますが、それを差し置いても9割近いです。)

(・・・一応、離脱はできている感じか・・・。)


 “一応”安心した。どうやら、女性の人数が激減しているのは、移住などによる人口低下もあるのだと。でなければ、先に思った事が事実なら、相当腐った野郎共がいる事になる。


(ごく希なタイプとして、悪女的な存在がいますけどね。それ以外では、殆どが被害者になります。今までも全くそうでしたので。)

(向こうに居る連中の大多数は、間違いなく男性が圧倒的だと思います。)

(・・・そうだと心から信じたいわ・・・。)


 本当にそう思う。リューヴィス事変やダークエルフの里事変、そして魔物大陸事変などでの女性への悪態には、痛烈なまでの怒りと憎しみを覚える。それが今でも燻っているのが現状であり、その根源は王城大陸と旧新大陸にあるのだから。


 異世界惑星ほど、女性が生きるには厳しい環境はない。地球ですら手厳しい様相だった。今は粗方解決に向かっているが、それでも男尊女卑の色は濃い。


 幸いにも、異世界惑星では魔力や魔法の力が根付いている。ファンタジー要素とも言うべきだろう。特にこれらの概念は、女性が顕現する割合が高い。男性の方はその割合は少ない。


 それらにヤッカミを入れたのだろう、ここでも男尊女卑の流れがあったのだ。まあ、今は異世界惑星でも女尊男卑の流れを構築できだしているがな。


 野郎が独断する様相は終わりを迎えた。これからは女性が台頭してこそ真価を発揮する。それは地球だろうが異世界惑星だろうが、全く変わらないものだと確信している。



(・・・フフッ、本当にありがとね。)

(女として生まれてきて・・・ここまで嬉しい事はありません。)


 ふと、俺の生命に触れて来るシュームとナツミYU。念話力を通して、彼女達の生命が遠方から飛んできた。今となっては恒例の厚意であり、それに心から感謝するしかない。


(私達の大規模パーティーの、女性の割合が圧倒的に多い事が現実ですよ。)

(ですね。今の私達が存在している自体、貴方様の一念がそうさせたのですから。)

(悪い意味じゃないけど、君の女性誑しの力は最強だからねぇ。)

(ハハッ、本当ですよね。孤児院でも他でも、女性に対しての一念はピカイチでしたし。)

(女性誑し、ねぇ・・・。)


 何ともまあ・・・。言葉は悪いが、確かにそう見えてしまう。しかし、確かに目の前で助けを求めていた女性がいた。それは紛れもない事実である。その彼女達に手を差し伸べてきた結果が今になる。


 それに、これは異世界惑星だけの話ではない。地球でも全く同じ行動を貫いている。例を挙げれば、トライアングルガンナーの女性陣が顕著だろう。躯屡聖堕メンバーの中にも、同じ様な流れもあった。


 何度も言うが、時代は女性が台頭してこそ真価を発揮する。その彼女達を支えてこそ、男性も輝きだすとも言えた。まあ、野郎故の下心が出るのはどうしようもない。それでも、憧れの存在であるのも間違いない。


(ほら、出ましたよ・・・。)

(エロ目炸裂ですよね・・・。)

(はぁ・・・何とでも言ってくれ・・・。)


 そして、恒例の如く発せられる殺気の一念。今し方思った事への反撃である。これには実例などもあるため、一切反論はできない・・・。


(マスター、スタンピードを阻止しましょう。魔物の特性は、野生に帰結します。特に種族の繁栄となれば・・・。)

(ああ、言わずともなが、だ・・・。)


 徐に立ち上がり、傍らにあった隕石方天戟を手に持つ。エメリナが語ったそれは、悲惨な末路を物語る。絶対に負けられないのだ。


 そして、俺としての決意表明をする。性転換ペンダントを起動させ、男性から女性へと変化させる。ここは総意と同じ性別で挑む事にした。



(俺も一女性として戦う事にする。)

(ん? となると、俺達も便乗しないとマズいな。)

(ですねぇ~。)


 そう言いつつ、彼らの生命波動が男性から女性に変化したのを感じた。俺と同じく、性転換ペンダント効果による変化だ。しかも四天王だけではなく、変化可能な男性陣全員である。


(何か変な形ですが、言わば女性の尊厳を勝ち取る戦いに化けた感じと。)

(良いではないですか。異世界惑星の大規模スタンピード、これを女性の力で鎮圧したと歴史に刻まれますし。)

(本当ですよね!)


 地球組の主力の男性陣が全員女性化した。それに方々の女性陣が痛烈に呆れ返っているが、その心意気は汲んでくれたようだ。それに実際の所、女性の方が力が出る場合もある。


(はぁ・・・今回だけは黙認するわね。)

(まあまあ、そう言わずに。私も実際は嬉しいし。特にT君や四天王がしっかり見定めてくれている。私達が戦う理由ができるからね。)

(おおぅ! ウーマン・パワーでブイブイ言わせてやるわぅ!)

(ああ、心から同意するわ。)


 俺達の言わば変態染みた行為に呆れつつも、身内の言葉に歓声を挙げだしていく彼女達。どんな形でもいい、周りを鼓舞激励できるのなら・・・。


 それにしても、何かとあれば女性化する様相は、本当に変態そのものだろう。だが、彼女達と同じ立ち位置に立てるなら、そこから拓けてくるものもある。


 特にこの異世界惑星では、地球とは全く異なる非現実が罷り通る世界。ならば、力があるのなら使うべき、ここに帰結するのだから。


 俺達の戦いは、まだまだ続きそうだ。そう、異世界惑星の全ての戦いが終わっても、だ。




 それから数日後、ついにその時が来た。各ダンジョンから魔物軍団が湧き上がるように出現しだした。大規模スタンピードの発生である。一体何処にそれだけ溜め込んでいたのかと驚愕するしかない。


 そして、連中が本能的に狙うのは、狩猟先となる弱生命体だ。俺達人間や、力を持たない魔物種族達である。それらが集まる各都市へと、大量に押し寄せだしたのだ。


 幸いにも、事前に発生すると踏まえていたため、目立った混乱はなかった。むしろ、早く暴れさせろと半ば暴動に発展しそうだったのが何とも言い難い。それだけ、俺達側の士気は尋常じゃないぐらいにまで高まっていた。


 これは、4大陸にいる真の冒険者や闘士達も同じであり、今回の大襲来に一気盛んになっているとの事だ。本当に頼もしい限りである。


 ちなみに、その彼らはほぼ善心寄りに傾いているため、バリアやシールドの恩恵が与れると言っている。ただ、不思議な事にその“強弱”があるのには驚いたが・・・。



(以後は、各大陸の各都市毎で、独断で動いていくか。とにかく、住まう方々の厳守を最優先に動いてくれ。俺達なら肉壁にもなれる。)

(ミートウォールわぅ!)

(茶化しはいいから。)


 ミツキのボケにナツミAのツッコミ、それらを伺い小さく笑う一同。幾分か緊張が解れたのを感じた。かく言う俺もしかりで、やはり今も緊張しているのを感じ取れた。


(諸々了解しました。既にこちらは襲来しだしているので、迎撃に集中します。)

(こちらはまだ到来していませんが、油断しないように構えてますよ。)

(えー・・・イルフィースは、そんなに目立った襲来がないのですが・・・。)

(国土の大多数が森林で覆われていますからね。他の3大陸は平地が多いので、相手の進軍が容易なのでしょう。暫くしたら、こちらにも来ると思います。)


 セレテメス大陸は既に戦闘を開始しており、ネーヴァレア大陸とイルフィース大陸は待機中との事である。地形の問題もあるため、相手の進軍速度にバラツキがあるようだ。


(魔物都市側は、殆ど来ませんね・・・。)

(大陸の規模の問題だろうな。むしろこちらより、マスター側の方に襲来する可能性が高いだろう。)

(ああ、本当にそう思う。各々も、呉々も油断しないようにな。)


 魔物大陸は、その規模からして直ぐに湧き上がる様子は見られない。しかし、4大陸で最大の規模となるため、湧き上がった時は凄まじい様相に発展するだろう。油断は禁物だ。


(ぬぉー! 来やがったわぅ! 迎撃しちゃるわぅー!)

(はぁ・・・まあ、こちらは遊撃で蹴散らしていきますね。)

(委細お任せあれー!)


 魔物大陸の中央、開拓地より東側で待機中のミツキ達。そこで魔物軍団と遭遇したらしく、戦闘を開始しだしたようだ。現状は各大陸での兵力の分散があるため、魔物大陸の規模と比例すると非常に心許無い。


    第4話・4へ続く。

 大規模スタンピードの発生と。そして、そこに対して性転換状態で挑むという変人振り。何ともまあ(-∞-) そう言えば、地球でのイナゴの大発生とか、あれも一種のスタンピードなのですかね?><;


 しかし、現段階で詳細描写がない探索者。苦労人を描いている手前、今後どうやって追記すれば良いか悩んでいる次第で><; キャラ会話での表現がメインとなっているので、今はそちらで進むしかなさそうです><; もう少し早くに目覚めていれば・・・(-∞-)

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