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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第4話 大規模スタンピード2(通常版)

「・・・重火器の大量投入も視野に入れるか。」

「巨大兵装からの援護射撃も必要でしょう。もしかしたら、空中型モンスも出てくると思いますので。」


 機械の塔での一戦に思いを巡らせる。現地で対峙した飛行の魔物は、ドラゴンスケルトンやドラゴンゾンビが該当する。他にも飛行する魔物も対峙したが、前者のデカいモンスターが最大の難関でもあった。


「ドラスケにドラゾビか・・・。」

「おおぅ、その徒名はチャーミングと言うか何と言うか。」

「ゲテモノに似付かわない名前っす。」

「ハハッ、本当だわな。」


 短縮名で挙げた名前に、見事だと笑う双子。便乗して笑うミュティヌにイザベラ達である。だが、実際の所は戦々恐々と言った所だろうな。


 3大陸に在住の冒険者達を全員動員すれば、何とかなるのだろう。しかし、相手の力量が全く読めてこない。俺達の力量だから簡単に駆逐できたが、今の冒険者達が同じ様に撃滅する事ができるかは不明だ。


 それに、一部の彼らにはバリアとシールドの概念が働かない。善心を持つ人物にしか効果が出ないからだ。中心や悪心では一切発揮しない。最悪は俺達だけで何とかするしかない。


 できれば、各地に住まう方々に頑張って貰いたい所だが、要らぬ犠牲を出さないためには俺達が動くしかないのだろう。まあ、完全駆逐する力はあるが、あまり好ましくない手法だ。



 とりあえず、今は主要都市や人口密集地の防備を高めるのが無難だろう。幸いにも、各地に鎮座している宇宙戦艦が守ってくれる。バリアとシールドの効果内にいれば、それなりの恩恵が働くからだ。


 まあその場合は、各都市を守る効果でしかなく、個々人を守るのは厳しい感じだ。そこまで相手の心情を察知して、効果を発揮する事はしないのが欠点だ。恐らくだが、デュヴィジェが開発したバリアとシールドが働けば、任意察知も可能だろう。


 相手が善心を持つなら守り、中心はその場により判断し、悪心は一切守らない。実に嫌味な仕様である。だが、そこまで割り振らねば、この異世界惑星では生きて行けないだろう。


 それに、この手法は地球でも同じく用いているものになる。何を今更偽善者ぶっても、全く意味はないのだからな。


 ならば、今のまま何とかして行くしかない。5大宇宙種族の力は、大宇宙を見据えた力の様相である。それらの恩恵を受けるなら、文句を言える立場ではない。




(これは・・・。)

(ああ・・・魔力がない俺でも分かる・・・。)


 その後も各地のダンジョン攻略を行う面々。そんな中、明らかに異常とも思える雰囲気を察知した。イザベラと開拓を行っている最中、つまりダンジョン外からでも察知できたのだ。


(・・・非常に烏滸がましいのですが、皆様方に緊急事態を伝えます。今し方、察知できた気配から考えて、数時間後にスタンピードが起こると推測できます。)

(おおぅ! ついにその時が来ましたな!)

(はぁ・・・。)


 今までにない真面目な雰囲気で語るイザベラ。1万年も異世界惑星で過ごしてきた故の、直感と洞察力によるものだろう。だが、ナセリスの言葉に呆然としてしまった。明らかに不謹慎としか言い様がない。


(マスター、実際の所はナセリス様の肩を持たせて下さい。今の今まで、ダンジョン攻略をしながら、何時来るかと待ち構えていましたので。)

(そうですよ! 危機迫る様相、この緊張感はたまりません!)

(そ・・そうですか・・・。)


 すると、方々からナセリスに同調する声が挙がり出すではないか。どうやら、ダンジョンの攻略をしつつ、不測の事態に備え続けていたようである。それに普段から淑女なカラセアが、明らかに興奮気味になっている。


(マスター、委細大丈夫ですのでご安心を。ちなみに連中を引き付けるのは、ダンジョン内部ではなく、外部で行う事にしました。)

(大丈夫なのか?)

(むしろ、内部だと非常に危険ですよ。洞窟全体が崩落し、生き埋めになる可能性も十分あります。)

(確かに外部だと相手も有利に運びますが、広い空間での対決の方が楽ですからね。)


 うーむ、どうやら俺の知らない所で準備万端といった感じのようだ。イザベラや俺は、詳しい様相を知らなかったため、危機迫る感じで焦ってしまったようである。


 ただ、ラフィナが語ったプランは一理ある。魔物の大量出現となれば、それがダンジョン内だと非常に危険だ。彼女が言う通り、洞窟の崩落も十分有り得る。


 となれば多少危険だが、エリシェが言う通り、外で戦う方が無難だろう。相手にも有利に運ぶ事になるが、総合戦闘力では俺達の方が遥かに勝りだすしな。



(それと、大規模スタンピードと言う証拠も出ています。4大陸だけではなく、王城大陸や旧新大陸でも起こりそうです。)

(物凄いプレッシャーを感じますよ。)

(そうか・・・。)


 敵側大陸で密偵を行っている2人が語る。王城大陸と旧新大陸でも、スタンピードの予兆が現れたようだ。2人とも精神体故に、生命の波動を感じ取る事ができる。それ故の察知だと思われる。


(マスター、今は4大陸の厳守と防衛だけで良いと思います。向こうは“こうした事態”を覚悟の上で独立を果たしたのでしょうからね。)

(そうですよ。今まではマスターと同じく、全てを守ろうと思いましたが、全て自己責任を突き付けるべきです。)

(私利私欲に走った人間などの末路は、何時見ても無様なものですからね。)


 恐ろしいまでに捨て切る発言をする3人。かつては、俺と同じく全ての人物を守ろうとしていたエメリナが、完全に見切った発言をしたのだ。ネルビアとフィルラウロームもしかり。


(んー、ここは皆さんの意見に賛同します。Tさんが“今は”引き金を引こうとしないので、因果応報の理を突き付けるのみ。これには私も、相手を守ろうとはしたくないです。)

(そうよね。嫌味に聞こえるかも知れないけど、全ては自己責任の世界になる訳だし。)

(全てを守り通すとか、普通はできないからね。むしろ、4大陸を厳守する事すら、本来なら絶対にできない事になるし。)

(本当にそう思います。重火器や巨大兵装、それに5大宇宙種族の力があったればこそ、守り通せる力ですからね。)

(はぁ・・・そうですか・・・。)


 格言的な事を伺えた。俺も思っていた事ではあったが、それでも手を差し伸べられるならばとは思っていた。しかし3人が挙げた言葉は、それを除外するものになる。


 ただ重要なのは、否定ではなく除外である。否定であれば、そこから淵源を探る事に繋がりかねない。彼女達からしても、手を差し伸べられれば差し伸べる性質だしな。


 と言うか、彼女達の声色からして、俺の煮え切れない一念にヤキモキしているのが分かる。以前なら、即決即断で行動ができたのだが、ここまで弱体化するとはな・・・。


    第4話・3へ続く。

 少し短めの話でしたm(_ _)m それでも、刻一刻と大規模スタンピードが近づいている様相。まあ、巨大兵装や近代兵装が出揃っている手前、その脅威度は滅茶苦茶低下しているのですがね(-∞-)


 ファンタジー世界観にリアル世界観を投入すると、そのパワーバランスの調整にエラい苦労させられます><; 一歩間違えば、大崩壊そのものになりますし@@; う~む、今後の課題になりそうですわ(>∞<)

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