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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第3話 開拓と調停者4(通常版)

「ぐ・・ぐぬっ・・・。」

「はぁ・・・貴様等も懲りないわな。」


 依然として開拓は進んでいない。今も侵略して来た貴族共を撃退しているからだ。本当にこの挑む姿勢だけは、ある意味見習いたい所である。


「こちらに来られるより、本土周辺の島々を開拓した方が良いのでは?」

「無人島群なら、それなりの資源があるだろうな。」


 一服しつつ、それなりの提案を挙げてみた。治療事変により大陸の大移動が行われ、それに伴い数多くの無人島が出現している。貴重な資源もそこにはあるだろう。


「まあ・・・そっちに行かないのは、大陸の規模を考慮しての判断だろうな。」

「本当に懲りないですよね。」


 そう言いつつ、両手のマデュース改を相手に向ける。今のナツミAは、M2重機関銃の2丁拳銃スタイルだ。重力制御の力がなければ、絶対に持てない獲物である。


「まあ何だ、恒例の如くお引取りを。むしろ、何度もチャンスをくれている上層部には、有難く思うべきだわ。」

「ですねぇ。本来ならば、数多くの失敗で排除されると思いますし。」


 本当に甘いとしか言い様がない。それか、連中が独断で動いているとも言える。本土などと挙げているが、独立した軍団であれば話は変わるだろう。


 恒例の如く、怖ず怖ずといった形で去っていく貴族連中。小型ボートで各母船へと戻って行った。ちなみに、最初に到来した時は煌びやかな帆船が10隻だったが、今は普通の帆船になっている。ただ、規模自体は20隻に拡大していた。


 それでも、レプリカ大和やレプリカ伊400には遠く及ばない。それぞれの機銃や砲座で一撃必殺が可能である。この点では最強の力を維持できている感じか。


 真後ろの元台座の直上には、レプリカヴァルキュリアが鎮座している。更に魔物都市の直上には、ネーヴァレアより派遣した宇宙戦艦が鎮座している。これで各大陸の戦力は問題ないだろう。



 そう言えば、ネーヴァレアで何度も起きていた襲来事変、あの時も引っ切り無しに襲来者が訪れてきた。今は向こうの流れは無くなったが、逆に魔物大陸への襲来者が発生している。


 ネーヴァレア事変では、俺達は遠方の大陸の旅路を行っていた。今は魔物大陸事変となるのだが、実際にそこに鎮座している。幸いにも、こちらの手が届く範囲内なのが無難な所だ。


 直接乗り込んでくるのなら、とにかく徹底抗戦あるのみである。今後もこの流れは絶対に覆さない。




(精神体でのヒドゥン状態は、完全な無認知になる訳ですか。)

(隠密行動には打って付けですよね。)


 情報不足もあるのと、相手側の様相を粗方把握するため、王城大陸に密偵を派遣してみた。適任者は現地を把握しているティルフィアと、万般に渡って行動ができるミツキTである。しかも2人とも、機械筐体を抜け出し、精神体での密偵を行っている。


(そちらはどんな感じだ?)

(物凄く殺伐としています。詳細を念話力でお送りしますね。)


 そう言いつつ、恒例的な念話力による投射を行いだす。精神体のミツキT故に、この手の行動は意図も簡単にできた。5大宇宙種族よりも、その手腕は凄まじいものである。


 彼女やティルフィアから投射された様相は、俺達が最後に見た時よりも酷い状況に至っている。王城近辺は裕福そうだが、それ以外はスラムに近い殺伐としたものだ。


 王城連中は、住まう“面々”から接収するだけ接収し、私利私欲に走っているのだろう。かつての栄華な城下町の様相は全くない。紛争後の街並みの様相だ。


(私が去る前までは、まだ良かった方でしたね・・・。離脱後に更に悪化するとは、思いもしませんでしたが・・・。)

(推測するに、恐らくティルフィア様が看視者だと思われていた可能性があります。故に貴方様が離脱後、私利私欲に走り出したと思われます。)

(そんな短期間に接収できるものかね・・・。)


 俺が知る限りの城下町は、妹達や四天王と共に暴れたあの時だ。その後は新大陸へと移動したのだが、そこから暫くは問題なかったと思われる。そして、ティルフィアが離脱後、一気に悪化したのだろう。


(これも推測ですが、全て準備されていたのかも知れませんね。メカドッグ様方の情報も照らし合わせると、どうやら旧デハラードの宇宙船の発掘と同時に悪化した流れになるみたいです。)

(強大な力を得た故に、それらで脅しを掛けて接収しだした、でしょうか。)

(十分有り得ます。権力者の常套手段的な感じに見えますし。)


 声色からして、物凄く呆れ雰囲気のラフィナ。エリシェも相当な呆れ雰囲気である。大企業連合の総帥と副総帥を担う故に、この手の愚かな権力者には怒り心頭な雰囲気だ。


(・・・調停者の存在が、どれだけ大切かを痛感しました・・・。)

(勇者という存在、だな。解放戦士と言うべきか。)

(本当にそう思います。)


 先に挙げた、王城脱出事変時での出来事。エメリナ・フューリス・テューシャは、王城より勇者・騎士・賢者の称号を剥奪されている。妹達は冒険者の地位を剥奪されていた。これらが直接的な関係とはならないが、それなりに称号を持つ存在を失う意味合いがこれだろう。


(皆様方には大変申し訳ありませんが、所詮は人間が定めた称号ですよ。私達の場合は、魔物族の総意を以ての啓示となります。この世界を守るべき存在として。)

(そうですね。今だからこそ、頂いた啓示の意味合いを痛感できます。)

(人間の浅はかな考えや、低寿命の様相では図る事すらできませんよ。)

(人間族の限界そのものだな。)


 魔物族の面々が、吐き捨てるようにボヤいている。これに関しては、当事者の人間族である俺も痛感できた。まあ地球人故に、異世界惑星の人間族とは異なるかも知れないが。


 そもそも、魔物種族自体が人間種族に嫌悪感を抱いている。それが今の吐き捨てボヤきになるのだからな。各作品でも、魔物族と人間族との争いは存在している。


 これは、地球でも全く同じだろう。人間が自然界の動物群を絶滅に追い遣っている現状、それを踏まえれば自然界の動物群から憎まれていても仕方がない。


 人間が私利私欲に走る限り、大規模な災害の発生や、恐ろしい病原体の蔓延も出てくる。人間自体が悔い改めない限りは、絶対に解決する事はない。



(・・・そろそろ、解放抗争を開始しますかね?)

(解放抗争、か・・・。)


 暫くの沈黙の後、徐に語りだすカラセア。その意味合いは文字通り、相手の領域に乗り込む行動だ。つまり、最終決戦となる。


(今はまだ待つべきだと思います。それに、大規模スタンピードの可能性もありますし。戦力を分散させるのは得策ではありません。)

(確かに・・・。)

(ですが、何らかのアクションは起こしてみましょうか。相手側にインパクトがある、デカいアクションを。)

(う~む・・・。)


 カラセアの発言も一理あるが、ここはデュリシラの発言を汲むべきだろう。彼女が言う通り、世界各地のダンジョンの抑え込みが終わっていない。大規模スタンピードの様相は、圧倒的な物量で押し寄せるらしい。


 それに、デュリシラが語った通り、戦力の分散は非常に危険だ。現段階でも、俺達は4大陸に分散している。幾ら巨大兵装群があったとしても、それだけでは済まされない。


 特に巨大兵装群は、確かに非常に特効薬的な存在だ。しかし、圧倒的戦闘力が全てを破壊し尽くす可能性もある。今もこれらの力が使えないのは、この意味合いが非常に強い。


(・・・今は待ち、だな。それに、俺としては踏ん切りを付けねばならない。)

(調停者や裁定者の意味合い以前に、因果応報の理を突き付ける、と。)

(嫌な考えですが、それが至極当然な感じですからね。)


 今も悩む俺に対して、アッサリと言い切ってくれる2人。全ての存在を守り通す、それが警護者の生き様でもある。しかし、エリシェとラフィナの言い回しは、それを真っ向から対峙するようなものだ。だが、実際には非常に理に適ったものである。


(・・・分かった。王城側と旧新大陸側は無視する。今は4大陸で発生する可能性が非常に高いスタンピードを抑え込む事に集中しよう。)

(英断よね。全てを守り通す事は、実際には不可能に近いからね。ここは、善心及び、中心の善心寄り側を優先で守り通すのが無難よね。)

(あまり好ましくありませんが、Tさんが“引き金を引く”事に繋がらないのなら、同調する事にします。)

(そうね、その方が良いかも知れないわね。)

(すまない。)


 本当に色々と悩ましい。ミツキやナツミAは、俺に近い考えを持っている。シルフィアも同じ考えではあるが、3人とも割り振る部分は俺以上に持ち合わせていた。故に、今の俺の決断に同調してくれている。


 王城大陸と旧新大陸に住まう面々には申し訳ないが、因果応報の理を突き付けさせて貰う。地道に戦い続けて来たリューヴィスやアルドディーレの方々の生き様を、踏み躙る行為に近い行動をした。これだけは許してはならない。


 となれば、慈悲の対比たる無関心を突き付ける以外にない。憎悪ではない、無関心である。究極の突き放し行為そのものだろう。この行為は、俺自身大嫌いではあるが、今となっては完全に割り振る以外に道はない。


 あくまでも、調停者と裁定者、そして創生者の概念を貫くべきである。それが警護者に帰結するのだからな。ここを忘れてはならない。


    第3話・5へ続く。

 調停者の役割を踏まえるなら、超大な力を持っても我欲に進む事はなくなる、とは思います。まあ、人は尋常ならざる力を持つと、途端に暴走の一途を辿りますが@@; 何とも(>∞<)


 しかし、昨日からアップさせて頂いた、覆面の苦労人。こちらの詳細描写を踏まえると、探索者や警護者を同じようにデコレート(詳細描写版・大改修)したら、どれだけ面白くなるのかと楽しみなんなのですがね><;


 まあでも、今はまだ時間が足らず、先にオリジナル分を完成させる方を進めたいと思いますm(_ _)m

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