第3話 開拓と調停者2(通常版)
(小父様、そこは大丈夫だと思います。こちらには幸運の女神がゴロゴロいますし。)
(そうですね。微力ながらも、私もお力添えを致します。かつては究極の悪役として君臨していた手前、次は究極の善役として調停者を担わせて頂きますよ。)
(・・・頼もしい“姉妹”そのものだわ。)
本当にそう思う。ミツキTとティルフィアの存在は、“6番目”の宇宙種族と化している。しかもその力強さは、他の5大宇宙種族の追随を一切許さないレベルだ。生命力の次元では、大宇宙そのものである。
(・・・とは思われますが、ミツキ様やナツミA様には遠く及びませんけど。)
(はぁ・・・心中読み、ありがとうございました・・・。)
(ま・・まあそう仰らずに。)
これである・・・。最近はとにかく、俺の心中を読んでくる面々が多い。補足の部分では、実に大助かりではある。しかし、非常に遣る瀬無い事この上ない・・・。
(ぬぅーん! まだまだ修行が足らぬのだ、我が弟子達よ。)
(弟子ねぇ・・・。)
(皆さんはともかく、T君の場合はマジモノで当てはまるからねぇ。)
(仰る通りです・・・。)
これも本当にそう思う・・・。とにもかくにも、修行不足としか言い様がない。故に、今も前を向いて進めるのだろうがな。もし自身が修行不足でないと思った瞬間、一切の成長が停滞したも当然となる。
常日頃から精進し続ける、それが警護者の常套手段とも。いや、全ての物事はそこに帰結してくる。精進をしなくなった時点により停滞は免れない。
だが、その精進が非常に難しいとも言える。最後は己自身との対峙になるためだ。己自身が相手だと、余程肝っ玉が据わった存在でなければ、ある程度の所で妥協してしまう。それが停滞を呼び起こすしな。
常に精進し続けると言うも、なかなか一筋縄ではいかないだろう。それでも、挑み続ける姿勢にこそ意義がある。これは地球だろうが異世界惑星だろうが関係ない。生命体であれば、必ず通らねばならない道だしな・・・。
世上の様相だが、先の侵略軍団以外にも、私利私欲軍団やら身勝手軍団などが出ているとの事だ。これは全て王城大陸や旧新大陸側に当てはまる。
向こうの現状は分からないのだが、ミツキTやティルフィアが探索した所、何処もその様な無様な醜態を曝しているらしい。最早、世も末と言える。
極め付けが、スタンピードの発生との事だ。向こうの大陸では、やり手の冒険者は数少ない状態らしく、魔物達の暴走を鎮圧できていないという。侵略などに力を注がず、スタンピードの方を何とかすべきなのがな・・・。
ともあれ、今は向こうの事は一切関知しなくていい。俺達は俺達の行動をし続けるべきだ。何度も言うが、因果応報の理は絶対に突き付けてやる。それは今正に、である。
魔物大陸の元台座周辺。この地の開拓も結構進んできた。殆どが魔物娘達による集大成だ。俺達は大陸全体の防衛に携わっている。同大陸にもダンジョンが出現しているため、それらの攻略を行っていた。
実質的に、治療作戦の後が本当の異世界という様相に至っている。今までは普通の世界観と言えたが、今は完全なファンタジー世界観そのものだ。
それでも、俺達地球組と宇宙種族組には、魔力や魔法の概念はない。各テクノロジーによる超絶的な力は使えても、万能的な2つの概念は発生しなかった。
まあ、それらに憂いても仕方がない。それに俺達は、警護者という唯一不二的な職業だ。この部分を根幹に据えて、今後も勝ち進んで行かねばならない。
(うーむ・・・これで11回目か・・・。)
(馬鹿の1つ憶えと言うか何と言うか・・・。)
海岸線の防衛に当たっている彼ら。定期的に襲来してくる侵略軍を蹴散らし続けており、既に11回目の防衛をこなしている。本当に馬鹿の1つ憶えそのものだわ。
(お2方、そちらに宇宙戦艦を派遣しますか?)
(いや、今の所は大丈夫だろう。気遣い感謝する。)
(どれも、海上のレプリカ大和とレプリカ伊400で迎撃できていますので。)
(巨大兵装以外の相手なら、2大ガンシップで十分撃退が可能ですからね。)
今も魔物大陸の周辺海域には、レプリカ大和とレプリカ伊400が待機している。ラフィナが挙げた通り、相手が巨大兵装でない限りは絶対に負ける事はない。
(一応ですが、魔物都市上空のレプリカヴァルキュリアより、超遠距離射撃はできるように構えてはいますが。)
(各都市に鎮座中の宇宙戦艦もしかり、と。)
(近代兵装の超射程は、本当に逸脱しているとしか言い様がないわな。)
本当である。地球では在り来たりな遠距離攻撃は、異世界惑星では不可知的な様相である。しかも、迎撃する要因が一切ないのだ。唯一の対抗手段は、4隻の宇宙船だろう。機械の塔で発掘した兵装なども挙げられる。
(イザベラ様、機械の塔に眠っている兵装ですが、一体どういったもので?)
(主力兵装は全て、4隻の宇宙船に置いたままでした。細かいものではレーザー兵器になりますが、威力は既に周知済みだと思われます。)
(ドラゴンゾンビやドラゴンスケルトンを、一撃で葬る火力でしたよね・・・。)
アッサリと語るイザベラに、ラティミナを筆頭に異世界組の面々は顔を青褪めている。先の機械の塔から脱出する際、宇宙船からのレーザー兵器の威力を思い知っているからだ。
レールガンの劣化版とはいえ、レーザー兵器でも異世界惑星を焼土と化す事は十分可能だ。射程距離に関しては不明だが、軽く20kmは届くと思われる。レールガンはそれを超越する距離だが。
ただ、お世辞に相手の操作技術力は上手いとは言えない。先の空中戦でも窺えたが、アレらの命中精度は非常に低かった。まあ、レプリカヴァルキュリアが直径3kmクラスの飛行戦艦故に、数撃ちゃ当たるで命中力が上がってしまっていたが・・・。
(何だか、以前の様な平行線の攻略に戻った感じと。)
(ハハッ、ボヤきなさんな。“自然的な”異世界惑星の崩壊を阻止できたんだ、俺達の使命は“人為的な”崩壊を阻止するのみでいい。)
(前者よりも、後者の方が遥かに性質が悪いですし。)
エメリナのボヤきには、心から同調せざろう得ない。彼女が言う通り、今の様相は以前と同じ平行線の攻略に戻っている。しかし、“自然的な”異世界惑星の崩壊を阻止できたのだ。今は“人為的な”異世界崩壊の阻止だけを念頭に入れればいい。
(特にヲタク気質の面々が挙げる、各スタンピードも脅威の対象になったしな。)
(そうですねぇ。各ダンジョンから湧き出るように出現する魔物軍団。放置すれば、これも人為的な異世界惑星の崩壊に繋がりかねません。)
(ヒュ・・ヒューマノイドタイ・・・むぐっ?!)
(金髪赤服の凄腕ガンマンはいいから。)
恒例のボケである・・・。スタンピードの繋がりから連想されたネタだ。俺も同作を知っているため、苦笑いを浮かべるしかない。ボケではあるが、見事な揶揄である。
(でも、全てのダンジョンを潰すべきですかね?)
(残り5つ以外は全て攻略しても良いと思います。飽和状態だと、後々厄介な事になると思いますし。)
(正にゲームの世界ですよね。)
本当にそう思う。異世界惑星に到来しただけで、各作品の世界観に飛び込んだ状態になる。そこに更にファンタジー要素が加算されたのだ、今やゲームの世界と言うしかない。
(・・・ステータス画面が出ればねぇ。)
(ぬぅーん! 是非ともTちゃんのステータスを見てみたいわぅ!)
(精神耐性以外の能力が、物凄い事になってそうよね。)
(スキルには、絶対“女性誑し”があるわぅ。)
(そうねぇ・・・。)
ミツキが挙げた“女性誑し”の揶揄を聞いて、方々の女性陣から殺気の一念が飛んで来る。まあ、無意識レベルでの行動でも至る可能性があるため、完全に否定はできない・・・。
(・・・まあ何だ、今は各々の課題を攻略だな。)
(何時も通りで良いのですっ!)
(んだんだ!)
(やったるでー!)
最後は3人のシメの言葉となった。確かに彼女達の言う通り、何時も通りの姿勢を貫くだけで良いだろう。むしろ、下手に飾り付ければ転ける恐れも出てくる。油断しないようにせねばならない。
この何気ない対話などは、地球だろうが異世界惑星だろうが全く変わらない。これはこれで非常に有難いのかも知れないな。それらもできなくなった場合は、非常に危険と言えてくる。
俺達としては、こうした非日常な行動こそが日常である。ならば、それらを徹底的に貫き続けるのみでいい。最後は己自身の一念次第で決まるのだから。
第3話・2へ続く。
金髪赤服のガンマン=ヴァッシュさんと@@; まだこの時期は、苦労人の影響を受けていない(その前の執筆だった)ため、表現描写はエラい拙い感じです><; 主人公視点の描写だと限界があるのは百も承知ですし。それでも、このスタイルを貫ければなと思う次第ですが(>∞<)




