第2話 侵略抗争5(通常版)
(今現在、例のスタンピードが発生しているダンジョンは?)
(現状は問題なさそうです。ただ、サラ様とセラ様が対処された、簡易スタンピードなどの小さいものは起きているとの事ですが。)
(雑魚モンス軍団でしたが、それでも規模は従来の数倍でしたよ。)
(油断しない限りは、問題なく対処可能ですし。)
海岸貴族事変に駆け付けてくれたサラとセラ達だが、その前には簡易スタンピードの鎮圧を行ってくれている。2人の脳内の情報が、念話力を通して俺達に流れてきた。雑魚モンスターが相手だったらしいが、特に苦戦する事なく潰せたようである。
(これが大規模なものとなると、本気を出さなければならなくなります。場合によっては、宇宙戦艦の出撃も有り得るかと。)
(主砲や副砲による、湧き出たモンス軍団を砲撃する形ですね。)
(そこ、何故嬉しそうに語る・・・。)
本当である。本気を出す場合は、巨大兵装を繰り出す事になる。周辺地域に対して、眼を鋭く光らせている宇宙戦艦群だ。その力を以て駆逐すると言うデュリシラ。嫌みたらしいニヤケ顔で言うのだから、こちらは呆れ返るしかない・・・。
(ヘシュナさんや、この惑星自体の生命力は問題ないか?)
(全く以ての完全体に戻りましたよ。と言うか、完全体になってしまって、“ヤンチャ”をした事により、大陸の大移動や各ダンジョンの創生に至ったのですけどね。)
(あー・・・やっぱりそのクチだったのか。)
既に認知ではあったが、実際に当事者からその言葉を聞いて決定論に定まった。ヘシュナが挙げた通り、文字通りのヤンチャ振りだったのだ。
異世界惑星を治療するという事をしたため、それに伴い大陸の大移動が発生してしまった。しかも、根本的に揺り動かす事になったので、ほぼ確実に創生と言ってもいい。
幸いだったのが、大陸の大移動に際して、大地震などの地殻変動が起きなかった事だろう。これだけの大陸の大移動が起きたのだ、想像を絶する超大地震が起きてもおかしくなかった。それが、実際には何も起きずに動いている。
惑星を治療するという超越的な物事になるが、この異世界惑星自体にファンタジー世界観が根付く事から到れたのだと思う。魔力や魔法の概念も存在しているしな。
(恐らく、地球に対して同じ事をした場合、それなりに様変わりすると思いますよ。)
(絶対に危険だから止めれ・・・。)
(えー、面白そうで良いと思うのですけど。)
(このじゃじゃ馬娘・・・。)
この上なくニヤケ顔で語るヘシュナに、呆れを通り越して恐怖を感じるしかない。実際にそれを実現できる実力が据わっているのだから。ただ、異世界惑星の様に死に往く生命体であったのなら、迷わず治療に走るのだろうな。
(ええ、そこは全く同意見です。自分の手で救える存在がいるのなら、形振り構わず手を差し伸べるのが通例ですよ。)
(ハハッ、色々とすまんな。)
見事なまでの返しで、自然と詫びと感謝をしてしまう。先の治療事変のヘシュナの行動は、俺の生き様に感化されてのものだ。でなければ、力はあったとしても実行したかは不明だ。
(やはり、帰結する先は貴方の生き様なのですね。)
(んー、俺は切っ掛けを放っているに過ぎないと思う。最終的には、個々人がどう思って、どう動くかに帰結するしな。)
(そうは言いますが、貴方の生き様を己が生き様に同期させ再現させるのは、並大抵の事ではできませんよ。)
(まあな。)
シェネアの言う通りだろう。幾ら感化される生き様があったとしても、それを自分なりに具現化させるのは非常に難しい。真似事であっても、必ず個々人の生命力が反映されてくる。これに関しては、5大宇宙種族が一番顕著だ。
(セレテア様にシェネア様は、この異世界惑星に住まわれる生命体の中で、1・2位を争うぐらいの長寿種族ですからね。私達と同じ価値観に帰結するのも肯けます。)
(私達も全く同意します。女王も同じでしょう。)
(そうですね。)
竜族の存在は、異世界版の宇宙種族に捉えられる。それでも、宇宙種族組には遠く及ばない。ファンタジー作品群では最強の種族であろう彼らが、である。
そもそも、宇宙種族の属性自体がぶっ飛び過ぎている。竜族を超越する超寿命に、タフネス過ぎる生命力と肉体。そして、彼らに追随を許さないテクノロジーの数々。
そんな宇宙種族組と出逢えた事は、俺達地球組からすれば幸運中の幸運だろう。人生は、本当に不思議なものとしか言い様がない。
(マスター方と敵対した場合を考えると・・・恐ろしくなります。)
(んー・・・敵対する場合は、冷徹無慈悲なまでの鉄槌を下すわ。しかし、味方の場合、特に盟友達を支えてくれるなら、俺はこの身を捧げる覚悟で尽くし抜く。)
(等価交換の理よね、君らしいわ。)
本当にそう思う。俺の超極端な性格は、シルフィアやスミエが一番理解してくれている。今はナツミツキ姉妹や四天王、それに他の女性陣が追随してくれている。宇宙種族組もそこに加わる形だ。
(Tさんは存在そのものが超チートなんですよね。それに奢らない部分も見事ですし。)
(お前さん達の顔に泥を塗る真似は、死んでも絶対にしない。これだけは生命を賭けて誓う。故に、常に己を律し続けねばならないしな。)
(はぁ・・・見事と言うか何と言うか・・・。)
(変態気質の変人よねぇ。)
(その通りだわな。)
シルフィアのボヤきに、皮肉を込めて返した。それに苦笑いを浮かべる彼女達である。この生き様は、今後も変わる事はない。そう決めたのだから、最後まで貫き通すべきである。
(まあ、マスターの意固地なまでの生き様は、本当に痛感させられてますので。この異世界では十分通用する概念に昇格していますし。)
(地球以上に世上が殺伐としていますからね。故に個々人の生き様が問われるとも。)
(己を見失った時点で、どうなるかは目に見えているしな。)
これも本当にそう思う。地球以上の殺伐さを醸し出している異世界惑星。そこで生きるには相当な決意が必要になる。有耶無耶の行動は、間違いなく死に繋がってくる。
ファンタジー世界観は、自由奔放に生きられると思われるが、実際は全く異なる。自由と言う名の概念に伴う代償は、それに比例する自己責任の重さだ。相当な覚悟が必要である。
各作品での流れを踏まえれば、そちらがどれだけ有難いかを痛感させられる。正に自由奔放に生きられるしな。実際問題は、そこに突き付けられる概念に四苦八苦せざろう得ない。
それでも、ファンタジーという概念に心から憧れるのは、仕方がないのかも知れないわ。
(まあ雑談はそこそこにして、今後はどうするの?)
(今まで通りで良いと思う。俺はあのカス共を警戒し続けるわ。)
現状はこれしかない。他の面々には、各ダンジョンの攻略を優先して貰う。各都市の防衛は宇宙戦艦群があれば問題ない。それに、大規模スタンピードの恐れも出ている。
(すみません。私達もそちらに加勢したいのですが、戦力配分を踏まえると非常に厳しい感じですし。)
(大丈夫よ、心配しなさんな。どうせ連中の行動は、どれも馬鹿みたいに一辺倒だしな。)
(何も考えない行動が目立ちますからね。まだ偽勇者共の方が利口ですよ。)
(本当だわな。)
彼女が語った通り、異世界惑星に到来した後の敵対者の方が狡賢かった。偽勇者共や貴族共、どれもが姑息で陰湿な行動ばかりである。しかし、その後の連中はどれも似たような愚物しか出ていない。
(スミエ様、王城に巣食う連中のボスはご存知です?)
(そこまで詳しくは・・・申し訳ありません。向こう側に潜入時も、殆ど下っ端に近い境遇でしたので。存在としては、老王なるものがいるらしいとの事ですけど。)
潜入捜査時のスミエでも、親玉の様相は把握できなかったみたいだ。確かに外部の闖入者を近場に据え置く事はしない。あのティルフィアですら重役に置かれなかったしな。
(ぬぅーん! ノーモーション斬撃わぅ!)
(あー、彼ですか。)
(隠れてやり過ごすと、背面を向いて棒立ちしますからね。)
(ザ・毒殺わぅ!)
(毒殺ねぇ・・・。)
そして、繰り出されるネタと。スミエが挙げた“老王”に関するものだ。ネタ先の本人は、真っ向勝負をする場合は相当な実力者になる。しかし、少し身を隠せば楽に毒殺が可能だ。
(何か・・・こうしてノホホンとしていて良いのかと思います。)
(良いと思うわよ。それが私達の究極の最強の力だし。ウェイヌちゃん達が信奉する力の究極だからね。)
(何も目に見えた力が最強ではありませんし。こうしたやり取りこそが、そこに帰結するものですよ。私達の常日頃からの言動が、正にそれに当たりますし。)
2人の言う通りだわ。何気ない日常会話が、最強の力とも言えてくる。これは周りの面々がいなければ、絶対に実現ができないものだしな。本当に感謝するしかない。
(賑やかな事は良い事なのだよ、諸君・・・って、ぎゃー!)
(おおぅ?! 一目の巨人・・・まさか、ギガンテスかっ?!)
(に・・ニセモノが出やがったわぅ! 叩き潰してやるわぅ!)
(はぁ・・・賑やかで良いわね・・・。)
本当にそう思う・・・。会話中もモンスターとの戦闘を繰り広げていたようで、更なる相手が出てきたようだ。しかもどうやら、一目の巨人たるギガンテスらしい。
(ギガンテス一族がモンスのギガンテスを倒す、か・・・。)
(・・・何か、物凄く癪に障るのですが・・・。)
(尺が取れないぐらいのデカモンスわぅ!)
(我に任せるのだ姉貴!)
(・・・まあ程々に、な・・・。)
ただただ、そう言うしかない・・・。危機迫る言い回しのミツキだが、恐らく完全なボケになるだろう。近場にはナツミAとミュティヌもいる。更には重火器を持参しているぐらいだ。
それでも、巨大モンスターがいると言う話は、他の面々に気を引き締めさせたようだ。先に挙がった大規模スタンピードに、これらが登場するとなると非常に危険である。
俺達の方は対処ができるから良いが、異世界惑星に住まう普通の冒険者達には、相当ヤバい相手になるだろう。下手をしたら蹂躙される恐れもある。
異世界惑星を治療した事による、ヤンチャ発生事とも言うべきか。プラス面の力で世界を覆い尽くすのが目的でもあるが、何か遣る瀬無いのはどうしたものやら・・・。
しかし、何時の世も、どうしようもないカス共が蔓延るのは通例か。自分の事しか見えていない連中は、何処にでものさばる感じだわ。
だが、全部が全部そうだとは限らない。ホンの一部にしか、そういった愚物は存在しない。後は、それらに虐げられている存在が多いのも通例である。
だからこそ、俺達の存在が必要になってくる。警護者を倒す使命を帯びた警護者が、だな。警護者が不要となる日は、何時到来するのやら・・・。
まだまだ俺達の戦いは続く。最後の最後まで足掻き続けてやるわ。
第3話へ続く。
ギガンテス一族vs一つ目巨人ギガンテス@@; まあ、多分瞬殺すると思いますが(-∞-) そして、大規模スタンピードの兆しと。この仕様ですが、他の方々の作品で描かれる“スタンピード”に影響しています@@; 小説の投稿をさせて頂く前までは、こうした各設定を知らなかったので><; 探索者の序盤なんか、殺風景なものですよ@@;(偽勇者事変はありますが) 警護者側はまあ、ぶっ飛び設定ばかりですが><; 何とも(-∞-)




