第2話 侵略抗争2(キャラ名版)
その後も、4大陸でのダンジョン攻略が進んでいく。かなりの難易度を誇るダンジョンとなるのだが、それを物ともしないのだから恐ろしい。
むしろ、ネーヴァレアの闘技場や、遠征先で繰り広げたスパーリングの方が難易度が高い。もしあれが本気での交戦であれば、下手をしたら一都市が消し飛ぶぐらいの様相だろう。
異世界惑星という非現実の場だからこそ通用する概念、だな。本当に見事と言うしかない。
ちなみに、魔物大陸以外の防衛は、9隻の宇宙戦艦で磐石の態勢を築けている。同艦自体が繰り広げるバリアとシールドの効果により、一切の横槍ができない状態だ。これはかつて、地球は東京湾でのレプリカヴァルキュリアで実証済みである。
対して、魔物大陸にはレプリカヴァルキュリアに、レプリカ大和・レプリカ伊400しかいないのが現状だ。残りの4隻の宇宙戦艦は、王城側の宇宙船群の監視任務に着いている。つまり、同大陸の防衛力は低いと言えた。
今は推測の域だが、今後も移民の数が多くなると思われる。王城側が超絶的な戦力を持ったからだ。そこに紛れて、侵略者が現れるのは間違いないだろう。
恐らく・・・一番に目を付けられるのは、大地や資源が多い魔物大陸だろうな。
ミスターT「ふむ・・・まあこんな所か。」
イザベラ「上出来だと思いますよ。」
台座があった草原を切り開き、小さなコミュニティを造り上げた。魔物都市からは、結構な距離があるため、独立した場所となるだろう。
魔物都市側はエヴェリムをリーダーに据え、参謀にカレアリヌと配置し、リュヴィウスを将軍に位置付けた。大多数の魔物娘達も加勢しており、元の魔物都市へと戻ったとの事だ。
特に力仕事ではリュヴィウス達の独壇場で、彼らへの信頼度は非常に高いらしい。まあ、彼らはかつての愚物魔物群とは異なり、女性を立てる姿勢を貫いている。信頼度が高くなったのは言うまでもない。
セレイス「我ら独立部隊も、大いに活躍させて下さい!」
フィーテ「お任せを!」
サキュバス族のセレイスとレティアに、ハーピー族のフィーテとサーテュ。この4人のみ俺達に加勢してくれている。他の面々は全員、魔物都市に移動している。
先日のダンジョン攻略時は、更に多くの魔物娘達がいたのだが、今はこの4人のみになる。他はサラとセラに、周辺の護衛に関してウインドとダークHが居てくれている。
当然、無限大の行動力を持つメカドッグ嬢達が大勢居てくれてはいるが・・・。
ウインド「正にガッシガシと。」
ミスターT「はぁ・・・心中読み、ありがとうございますよ・・・。」
ダークH「まあまあ。」
護衛担当の2人だが、実質的にはメカドッグ嬢達が全て担ってくれていた。ダンジョンから湧き出てきた、はぐれモンスターに対しての迎撃要員である。ウインドが挙げた通り、正にガッシガシである。
サラ「“簡易スタンピード”の発生源を潰して参りますにゃ!」
セラ「お任せくだしあ!」
イザベラ「お2方だけでは心配なので、今度は私も加勢致します。」
ミスターT「はぁ・・・メカドッグさん達や、3人の身辺護衛と突撃要員を頼むわ。」
俺の言葉に、声色を搭載型したメカドッグ嬢達が吠え出す。実際には喋る事も可能だが、本家のワンコみたいな声色も可能である。仕舞いには、ライオンなどの猛獣の雄叫びすらも再現が可能だ。
また、サラが挙げた“簡易スタンピード”に関しては、各作品でも挙がっている魔物大暴走の縮小版である。それでも、沸き起こるモンスターは相当なレベルの強者なのだが・・・。
既に部隊の編成は済ませてあるようで、準備が整った段階で出発する女性陣。と言うか、常に準備は整えているため、襲来するモンスターを屠る事を“休息がてら”に行うぐらいか。本当に、この美丈夫達には脱帽である・・・。
メカドッグ1「マスター、生体レーダーに反応有り。」
ミスターT「む? 詳細を頼む。」
メカドッグ1「距離は大凡2km先。海岸に上陸した者がいる様子。」
魔物娘四天王と共にコミュニティの調整を行っていると、近場で警戒中のメカドッグ嬢が声を挙げる。その内容を伺ったウインドとダークHが、彼女が指し示す先に護衛娘達と共に向かって行く。
今のメカドッグ嬢達は、魔物都市上空に鎮座中のレプリカヴァルキュリアと同期が取れた。同艦の超広範囲レーダーの情報を知らせてくれるのだ。
また、巨大兵装の一括管理に関しては、各マシンと同期が可能のミツキTが行ってくれている。ティルフィアも可能なのだが、彼女は修行の一環としてミツキとナツミAと共に行動していた。実戦による修行である。
レティア「マスター、我々も向かいましょうか?」
ミスターT「そうだな、了解した。」
コミュニティの防衛はメカドッグ嬢達に任せて、俺達も海岸へと向かう事にした。魔物娘四天王も同伴してくれるようだ。
そう言えば、エヴェリム達以外での魔物娘達では、セレイス達が群を抜いて成長している。特に一般的と言ったら失礼だが、その彼女達のみ獲物を使っていた。サキュバス族は鞭を、ハーピー族は鉤爪を得意としている。
と言うか、ハーピー族は元から爪があるため、新たに鉤爪の獲物を持つのは分かる。非常に扱い易い獲物でもあるからだ。対して、サキュバス族が鞭なのは何とも・・・。文字通りの女王様そのものだわ・・・。
海岸線へと到着した俺達。既にウインドとダークH、それにメカドッグ嬢達がいる。彼女達が視線を向ける先には、大海原に浮かぶ場違い的な豪華な帆船。それが複数鎮座していた。そう、鎮座である。
偵察部隊の情報によると、魔物大陸から一番近い相手は旧新大陸との事。先日の短期間の滞在では、それらしい兵力は見受けられなかった。となれば、この連中は王城側からの派遣と見て取れる。
それに、これだけ煌びやかな帆船となれば、それが貴族共ご用達なのは言うまでもない。過去の数々の事変を思い出し、痛烈なまでの怒りと憎しみが沸き起こってくる。
サーテュ「・・・マスター、お姿が・・・。」
そんな中、サーテュの声で我に返る。恒例の如く、性転換ペンダントが発動したようだ。男性から女性の姿へと様変わりしている。
フィーテ「通例的になりつつありますね・・・。」
ミスT「ふん、言ってろ。」
確かに通例的ではあるが、ここは顰めっ面で舌打ちをした。すると、彼女達が小さく笑うではないか。今まで見せた事がない言動である。身内の女性陣と全く変わらないものだ。
セレイス「ただ・・・今はそのお姿が良いかも知れません。」
ミスT「ああ、多分そうなるだろうな。」
セレイスの言葉に小さく頷く。相手が貴族共となるなら、恐らく各事変と同じ流れになって行くだろう。女性を侮蔑するあの言動などだ。
ウインド「大丈夫ですよ。連中の言動は想像が付きます。それに、皆様方も気付いたようですし。」
そう言いつつ、ウインドが指し示す先は魔物都市の方角だ。その直上には、今もレプリカヴァルキュリアが鎮座している。更には、相手の帆船の近場に、態とらしく“装甲の一部”が見えている。
ダークH「隠密行動には打って付けですよね。ただまあ・・・水面が大変な事になってますが。」
ミスT「・・・アレはまあ、何とも・・・。」
今度はダークHが、“装甲の一部”が見える箇所を指し示す。そこには、海面に2つの大きなへこみが存在していた。そう、レプリカ大和とレプリカ伊400が、ヒドゥン状態で待機しているのだ。
レティア「・・・気付いている様子がないのですが・・・。」
フィーテ「馬鹿と言うか何と言うか・・・。」
ミスT「はぁ・・・。」
かなりの近場に存在する、海面の2つの大きなへこみ。それに対して、帆船群は気付いていないようだ。それか、気付いていながら気付かないフリをしているだけなのか。
サーテュ「アレはもう、傲りが盲目にさせている感じでしょうか。」
ミスT「だろうねぇ。それに、海面自体はそこそこ波揺れがあるし、カモフラージュ効果もあると思うわ。」
彼女達が挙げる通り、確かにかなりの近距離である。それなのに気付かないのは、相当な馬鹿としか言い様がない。ただ、波揺れによるカモフラージュも発生しているかも知れないが。
本来ならば、あそこまで明確な異物があれば、絶対に警戒するのが当たり前だ。それを怠るとすれば、相手の心境が心ここに非ず状態と言うべきなのだろう。
それに、この魔物大陸に到来した事を考えれば、恐らく侵略の二文字しか浮かばない。誰も居ない大陸だと思っていると推測できる。仮に居たとしても、連中の現在の戦闘力なら全く問題ないと踏んだのだろうな。
裏付けとしては、4隻の宇宙船と各種テクノロジーだろう。王城側が主権を握っているとすれば、この数ヶ月間の間にそれなりの軍備の強化があったと思われる。
今の時ほど、相手の様相が分かれば良いと思う時はない。各作品で挙げられる、相手側の様相を描写するものだ。実際には密偵などを送り込まない限り、それらは全く分からない。
それなりの様相を把握できているのは、スミエとシルフィアとティルフィアの潜入作戦しかないのが実状だ。それ以外では相手の様相は全く見えてこない。よって、ほぼ全てを推測の域で読むしかない。
まあ、身内の戦略家からすれば、それらを全て予測した上での行動になるのだがな。本当に見事としか言い様がない。自分達が敵側ならどうするか、そう考えて動くしな。
特にミツキとナツミAの先読みは、エリシェやラフィナを遥かに超越している。それなのに頭になる事を良しとせず、実働部隊側に回るのだから見事である。
今度、彼女達の戦略のノウハウを教えて貰うしかない。俺には到底、理解できない領域の話になるしな・・・。
第2話・3へ続く。
愚物の到来と。相変わらず名無しの敵側ですが、その程度の存在という感じです。あくまでも目玉は主人公サイドであり、敵サイドではないのですので。ただ、この様相だと、相手側の様子が分からないのが超難点なのですがね><; 今後の課題になりそうです(-∞-)




