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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第5部 迎撃戦と反転攻勢
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第1話 新たなる一歩1(キャラ名版)

 異世界惑星の治療という、常識外れもいい所な作戦が成功した。幾ら5大宇宙種族が超絶的な力を持った種族だとしても、言葉は悪いが、まさか一介の惑星を治癒できてしまったのだ。これには、ただただ呆れるしかない。


 しかし、行った治療に関しては、事前にそれに近い行動ができている。黒いモヤ事変でも行った、能力自体の増幅技だ。当時は俺の殺気と闘気の心当てを拡大させたのだが、今回はヘシュナの十八番たる治癒力を拡大させた形になった。


 マイナスの力となる殺気と闘気の心当てと、プラスの力となる治癒力。お互い完全に相反する属性ではあるが、力自体には変わりない。つまり、増幅させる事は容易だったと言う事になる。


 これは今後、こうしたデカい出来事に必要となった時、大いに活躍するのは間違いない。特に俺達地球組が寿命で逝去した後は、5大宇宙種族の面々に是非とも受け継いで貰いたいと思っている。


 この力があれば、彼らの生存権の獲得は容易に行えるようになるだろう。その一端に加勢できる事に、俺は心から嬉しく思うわ。




ヘシュナ(何を仰るのやら・・・。)

ミスターT(はぁ・・・恒例の心中読みか・・・。)


 元超大空洞跡地にて、仮拠点を置く事になった俺達。そこで雑用をしながら思っていたら、案の定見透かされてしまう。念話経由でヘシュナの声が届いたのだ。最早恒例であろう。


ナセリス(実質的に貴方が開発した連携技は、今後の私達の礎として語り継いでいきます。ですが、私達の目が黒いうちは、貴方を絶対に不幸にはさせませんよ。)

ルビナ(私達はバラバラに大宇宙を生きてきました。それが貴方を中心として、この世上に集い逢う事ができた。これ程の幸運な事は他にはありません。)

ミスターT(そう言ってくれると有難いわ。)


 各々との出逢いは、殆どが一期一会に近い。しかし、こうして共に生きる事ができてもいる。これがどれ程幸運であるのかを、異世界惑星に来てから痛感させられた。


 ミツキ流の生き様、持ちつ持たれつ投げ飛ばす。これが根幹であろう。自然とそこに帰結できるのは、本当に幸運だと言わざろう得ない。


 だが、それに奢る事は絶対にすべきではない。今後も苦難の道が立ちはだかろうが、総意と共に生き抜いてやる。



デュリシラ(ところで、そちらはどんな感じです?)

ミスターT(あー、順調に雑用中。)

カラセア(フフッ、エラい皮肉が込められているのですけど。)


 カラセアが言う通り、本当にそう思わざろう得ない。今の現状を踏まえると、俺達総意がその思いを抱いていると言えた。


 実の所、先の治療事変により、崩壊まで進んでいた異世界惑星を救う事ができた。これが俺達に対して、凄まじいまでに脱力感を発生させてしまう。それだけ呆気なく終わらす事ができたとも言えた。


 そして、次なる行動がまた脱力感を生み出している。俺が異世界惑星に到来した時と同じ、基本に帰るというものだったからだ。各大陸に大量に出現したダンジョンを、それぞれで攻略する事になったのがそれである。


 今現在も、世上をプラスの力で埋め尽くすという作戦は続いている。今となっては、王城群を潰せば終わるというものではなくなった。コツコツと地道な戦いを行うしかなくなったと言う事だ。


エメリナ(王城側を潰せば済むと言う時に、向こうを潰さなかったのが原因ですよね。)

ミスターT(それを言いなさんな・・・。)

エリシェ(まあまあ、そう仰らずに。この手の虱潰し作戦は、どうしようもないぐらいの時間が必要になりますし。)

ラフィナ(むしろ、このぐらいでボヤくぐらいなら、最終到着地には至れませんよ。)


 極論を語るエメリナだが、彼女の言い分は超絶的に的を得ている。王城側を潰すチャンスは何度もあったからだ。それを行わず、蔑ろにしていたのは俺でもある。


エリシェ(そこは、俺“達”と言いましょうよ。最早一蓮托生状態ですし。)

ラフィナ(むしろ、今後もファンタジー世界観で戦える事に、心から感謝していますけどね。)

ミスターT(このヲタク気質娘め・・・。)


 俺のボヤきに、この上なくニヤケ顔になるラフィナ。それに同調してか、エリシェや他の面々もニヤケ顔になっている。何ともまあ・・・。


 まあでも、この気質があるからこそ、異世界惑星で戦う事ができるのだと思う。俺みたいに生真面目に反応しているようでは、生命が幾つ有っても足りやしないわ。



ウェイヌ(それよりも、襲撃者に対しての警戒が無くなった事は、素直に喜ばしいものですよね。)

ゼデュリス(本当にそう思います。“王城大陸”とは、巨大兵装でも数日は掛かる距離にまで移動してくれやがりましたし。)

ミスターT(女王の言葉とは思えないんだが・・・。)


 今のゼデュリスは、何時ものお淑やかな姿ではなく、女傑的な感じである。言葉自体に粗暴さが現れているのが何とも言い難い。だが、恐らくこれが彼女の素体だろう。形作っている姿など、何れ剥がれ落ちてしまうのが通例だしな。


シェネア(実質的に王城側からの脅威が無くなった事で、各大陸に集中する事ができるようになっていますからね。)

リュヴィウス(だが、各地に出現したダンジョンが厄介物だ。チームを編成して挑んではいるが、最下層がどの様になっているかまだ分からない。)

カラセア(そこはまあ、追い追い分かると思います。今は一歩ずつ進んで行くしかありませんし。)

ミスターT(はぁ・・・何時もの俺達の生き様そのものじゃないか・・・。)


 呆れながらボヤくと、方々から尤もだと同意の一念が感じられた。地道に進む以外に、真っ当な攻略法など存在しないのだから。


 ちなみに、各ダンジョンに出現する魔物群の強さは、地上にいた野生の魔物達とは比べ物にならないぐらい強力な個体らしい。バリアとシールドの防御機構がなければ、相当なダメージを負っているという見解にも至っている。


 バリアとシールドの多用により、自身の戦闘力が弱体化するのではと危惧し続けていた。しかしここに来てからは、それが無ければ相当危ない状況に至ってしまっている。


 つまり、治療事変後の異世界惑星は、総合難易度が激増してしまったのだ。



ネルビア(今更ながらになりますが、バリアとシールドの防御機構があって良かったとしか思えてなりません・・・。)

エメリナ(今の私達のレベルでは、恐らく重傷か即死するぐらいの脅威度ですし・・・。)

ミスターT(本来ならば、それらは受けるべき攻撃群になるんだがね。)


 妹達の痛烈な言葉に、心の底から恐怖を感じずにはいられない。警護者の世界でも、致死性のある攻撃を掻い潜って生きてきたのだが、今は純粋に恐怖を抱いてしまっている・・・。微温湯に浸かり過ぎて来た証拠だろうな・・・。


ミュティナ(えー・・・失礼ながらも、重傷程度で済むならマシな方ですよ。大宇宙では、それこそ即死以前に消滅するぐらいの要因が、各場所にゴロゴロとしていますし。)

デュヴィジェ(回避できないぐらいの様相ですよね。故に私達の祖先は、バリアとシールドの防御機構を開発したのでしょうし。)

ミュセナ(一説によると、防御機構の開発が成功するまでは、相当の犠牲があったそうですよ。)

ミスターT(・・・各宇宙種族の先駆者達の戦いに、心から敬意を表したい・・・。)


 徐にその場に立ちながら、大空を見入る。今は昼間なため窺う事ができないが、そこにある星々で散っていった宇宙種族の先駆者達に哀悼の意を捧げた。


 過去に宇宙種族組が口々に挙げていた。些細な火種が一族を滅ぼしかねない一撃となると。それらの淵源には、こうした先駆者達の献身的な戦いがあったと思われる。


 デュヴィジェやミュセナが先に挙げた通り、相当な犠牲もあったと思う。それこそ、地球程度の居住可能な惑星など、簡単に消滅するぐらいの脅威と対峙していたとも思われる。


 彼らの戦いがあったからこそ、今の俺達はこうしていられるのだ。そこに回帰するなら、先駆者達への哀悼の意は絶対に欠かす事はできない。


ヘシュナ(・・・本当に、マスターと出逢えて良かったです・・・。)

ルビナ(私達の祖先を思って頂けるのは、本当に有難いものですよね・・・。)

ミスターT(そこはまあ、ミツキ流の生き様があったればこそだがな。)


 持ちつ持たれつ投げ飛ばす、か。ミツキが常に心構えている生き様が、ここでも真価を発揮していた。本当に感謝に堪えないわ・・・。


ミツキ(それですが、Tさんとお会いする前までは覚醒していない一念だったんですけどね。)

ナツミA(後々からよね、ポチがその生き様に目覚めだしたのは。)

ミツキ(そう思います。Tさんが姉ちゃんを支えてくれた時に、私なりに何らかの恩返しができればと思ったのが淵源ですし。)

ミスターT(素体じゃなかったのか・・・。)


 当の本人の言葉に、呆れるしかない。ミツキの気質からすれば、自然回帰する様なものだったと思っていた。それが、俺が切っ掛けで覚醒したと言うのだから、何とも言い難いわ・・・。


シルフィア(良いじゃない、結果良ければ全て良し、で。)

スミエ(そうですよね。今までの人生の経緯は、個々人で全く異なっていますし。)

ミスターT(そうですか・・・。)


 恒例のシメの言葉に、態とらしく呆れた雰囲気で返した。そんな俺に対して、方々からヤジが飛んで来る。彼らの言動は分からないでもないが、俺としては何とも言い難い。


ミツキT(とりあえず、今は各々の課題の攻略と参りましょうか。)

ティルフィア(皆様方となら、どんな苦難の道であろうが乗り越えられますよ。)

ミスターT(そうだな。)


 2人の言葉に、心から同意した。今の世上ほど、一歩ずつ進む以外に道はない。地球だろうが異世界惑星だろうが、行う事は全く同じなのだから・・・。



 ちなみに、黒い隠者ことティルフィアが俺達の元に至っても、王城側は特に困りもしてないそうだ。これはミツキTが精神体となり、現地の様子を見に行って判明した事である。


 隠密行動に関しては、恐らく身内で最強の実力を誇るミツキT。自我が生まれて間もないティルフィアとすれば、精神体としての行動はまだ不慣れだろう。だが、何れはミツキTに匹敵する実力を持つと思われる。


 話を戻すが、ティルフィアの離脱により、王城側の暴走は増加の一途を辿っているらしい。4隻の宇宙船や、機械の塔の各物資を手に入れたのだ、増上慢になっているのは言うまでもない。


 幸いだったのが、治癒事変により大陸の大移動が起きた事だろう。特にネーヴァレアは大陸が続いていたため、要らぬ横槍が横行していた。それが今ではパタリと止んでいる。


 異世界惑星を治療する事が、惑星自体の大陸機構すらも変革させてしまった。一警護者の俺からすれば、超絶的に烏滸がましい事この上ない行為だろう。だが、今は黙認しよう。


 重要なのは、善心と中心を持つ存在の保護である。悪心を持つ連中は、ほぼ王城側に属した形になるため、最早気にする必要は一切ない。


 今までは、世上を何とか立て直そうと思ってはいたが、ここまで分かれると強い踏ん切りが付く。悪党共には冷徹無慈悲なまでの鉄槌を、これである。


 そして、前々から気付かされていたのは、俺に足りない一念だ。容赦ない一撃と、冷酷な一面である。つまり、“引き金を引け”、と言う事だ。


 何れ、その選択を迫られる時が必ず来る。その時は案外、近くまで迫っているだろうな。


    第1話・2へ続く。

 異世界惑星の治療から、各ダンジョンの出現。異世界自体を治療する事で、言わば活性化したとも取れるのかと。まあ、惑星や恒星は生命体にも言い当てられますからね。そして、諸々の先駆者達への思いも。これは今の世上でも十分当てはまるかと思います。まだまだ先は長い・・・。

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