第13話 全ての起源3(通常版)
(さて、本題に入るよ。)
俺の前に整列する7人の竜王。生命力からして、その“色”と“属性”は判明している。その彼女達の前に進み、手帳を確認しつつ、1人ずつ命名していった。
炎の様な赤色ショートカットの竜王。属性は火で、名はエウフェナス。
流れる水の様な水色ロングヘアーの竜王。属性は水で、名はカルティルス。
山を思わせる茶色ミドルヘアーの竜王。属性は土で、名はドゥルヴァナス。
爽やかな風の如き緑色ロングヘアーの竜王。属性は風で、名はヴェニッグス。
輝かしい金色ショートカットの竜王。属性は光で、名はディルヴァールム。
俺達と同じ黒色ミドルヘアーの竜王。属性は闇で、名はディルヴォーヴル。
そして、白色超ロングヘアーの竜王。属性は無で、名はフィルラウローム。
彼女達の前で、その名を口にすると、驚愕の表情を浮かべつつ跪く。この名は既に決まっていたもので、再度語る事になった。しかし、ラティミナと同じく、改めて語る事で彼女達の存在が確定的となったと言える。
(はぁ・・・7大宇宙戦艦と同じ名前なのがね・・・。)
(本当ですよね・・・。)
命名した身ではあるが、改めて呆然とするしかない。これは、地球組と宇宙種族組の全員が同じ気持ちなのが分かる。
次の大きな切り札となる、7隻の宇宙戦艦の導入。地球においての、黒いモヤ事変で運用した兵装だ。7大宇宙戦艦がなければ、カルテット・キャノンの効果を最大限発揮する事はできなかっただろうな。
そもそも、黒いモヤ自体が天の川銀河に迫る巨大さだった。更に、それが鎮座するのは、地球人が未だ強く踏み込めていない宇宙空間である。そこでの運用を踏まえるとなると、既存の兵装は全て使えない。
海上の運用しかできない、レプリカ大和・超レプリカ大和。海上と海中での運用が可能な、レプリカ伊400・超レプリカ伊400。そして、海上と空中での運用が可能な、レプリカヴァルキュリア。この飛行戦艦だけは空中を飛べるため、4大ガンシップより幅広い運用が可能だ。
それでも5大ガンシップのどれもが、宇宙空間では運用ができない。そこで、創生したのが宇宙戦艦だった。ちなみに、初登場時はまだ1隻しか運用していない。カルテット・キャノンを効率良く行うために、7隻まで増やしたのである。
(・・・命名して頂き、本当に感謝致します。これで、我ら竜族の概念が確定し、この世界がまた1つ確定的となりました。)
(あー・・・まあ何だ・・・色々と申し訳ない・・・。)
先の巨竜ことフィルラウロームが代表して語るも、ただただ謝るしかなかった。この異世界惑星の誕生の経緯が、俺達が淵源である事が確定的となった。同時に、黒い愚者の存在自体も確定的となる。謝る以外に言葉が浮かばない。
(謝らないで下さい。貴方様方が黒いモヤと対峙しなければ、黒い愚者の転生も至りませんでした。私達の存在も確定とはならなかったでしょう。幾らお名前を創生されたとしても、私達の存在が現れる事はなかった。)
(・・・マスターは私達の創生者、感謝し切れない思いです・・・。)
(・・・すまない。)
感謝を述べられるものの、やはり謝罪の言葉しか出て来ない。それでも、彼女達の存在が確実となったのは、非常に喜ばしい事である。今までは不安定な存在でしかなかったからだ。
(これで、漸く王城へと進軍できますね。)
(・・・いえ、それは時期草々だと思われます。)
(でしょうね。あの黒いモヤが黒い愚者に転生し、その存在が確定的となった現状。天の川銀河に迫る巨大さが凝縮された存在です。相当な戦闘力を有しているとも。)
(アイツに勝つとするなら、プラス面の力で満たさなければならない、か。)
どうやら、そうなるであろうと思っていた展開になりそうだ・・・。
何も考えなければ、エメリナが語る通り、王城への進軍が望ましい。今の総合戦闘力なら、問題なく完全駆逐ができる。しかし、黒い愚者が確定的となった現状、王城はマイナス面の力で支配されるに至った。規模の問題からして、とても勝てる相手ではなくなったのだ。
そう言うと、竜の里に訪れる前に完全撃滅すべきだったと思うが、黒い愚者の存在が確定的でない場合は、霧を掴むかの様に擦り抜けてしまっただろう。黒いモヤ事変も、相手が完全に確定的になるまで泳がせておいた。それを踏まえると、見事なまでに矛盾の様相である。
(マスター、ガンマ線バースト発生装置ですか、アレで瞬殺もできるのでは?)
(確かに、手っ取り早い撃滅方法だが、あの力は使うべきではない。為す術が無くなった時にのみ、最終手段として使うのが望ましいのよ。)
(そうですね。以前も小父様が悩まれていた通り、力があるのに使えない状況となるのですよ。)
(地球での核兵器の概念と同じですよね。)
本当にそう思う。地球上では究極の兵器たる核兵器も、実際に使う事ができない力となる。何処かで使えば、使わないという不可侵領域の蓋が解放され、双方で使う事となっていく。それは即ち、地球の終焉である。
(まあ、今の地球には核兵器は一発もありませんけどね。)
(お母様が全部破棄しましたし。原子炉の方も、順次太陽光発電などの自然エネルギーに切り替えます。時間は掛かりますけどね。)
(俺達地球人だけでは、途方もない時間と労力が掛かっただろうな。)
5大宇宙種族が介入してくれた事により、地球の自然環境や核物質環境は劇的に改善された。世上の様相は据え置きのままだが、核兵器と核物質で生命体の生存が脅かされる事は、一切なくなったのだから。
(それでも、人間は業深い存在ですからね。何れまた、ウラニウムより核物質を作り、核兵器を持とうとする輩が必ず出てきます。私達が監視せねば、人間により何度地球を滅ぼそうとするか分かったものではありませんよ。)
(そうだな・・・。)
全部が全部ではないが、そうした愚者が出てくるのは容易に想像できる。それだけ、今の地球は力を持ち過ぎているのだ。カネッドが挙げたガンマ線バースト発生装置、これを使わないと言った理由は、少なからずここに帰結してくる。
(何か、物凄い矛盾していますよね・・・。)
(まあな。それでも、他に方法があるなら、そちらを用いるべきだな。幸いにも、ここも先に通じる、力を持つ者が当てはまる。俺達もそうだが、相手側も同じだ。ならば、普通の生命体らしい生き様で決着を着けるべきだ。)
(そのための、我ら竜族の理となります。貴方様方が生き方、警護者という存在が正にそれに当たりますので。)
(見事なまでの一致ですよね。)
本当にそう思う。まあ、この異世界惑星の全ての起源が、俺達となったのが現状だ。誕生に深く関わった身となれば、ここは“穏便に進めたい”ものである。それに・・・。
(古今東西、悪の栄えた例しはない、ですね。)
(はぁ・・・心中読みどうも・・・。)
(フフッ、まだまだ甘いですよね。)
周りに見事なまでに心中を読まれてしまう。しかも、通例的なツッコミが身内達ではなく、異世界組のゼデュリスとアルディアからだった。それに、先程から力の理をツッコミだしたのもカネッド達である。非常に遣る瀬無い気分だが、同時に彼女達の成長が喜ばしい限りだ。
(でで、今後はどうするわぅか?)
(プラス面の力で世界を満たす、だったな。となれば、今後も探索を続けるしかない。セレテメス大陸以外の地域にも赴くべきだろうな。)
(探索は続くわぅね!)
茶菓子を頬張りつつ、今後の流れを読みだしているミツキ。傍らにはナツミAと四天王がおり、資料を広げつつ作戦を練り出していた。
(フィムちゃんフィムちゃん、ここ以外に大陸はあるわぅか?)
(わ・・私の事ですね・・・。うーむ・・・近場となると、カルーティアスの西側に闘士都市という場があります。)
(それ、よく王城に攻められなかったな・・・。)
(闘士都市とカルーティアスとは、巨大な川を隔てて分かれているため、侵攻するのは非常に難しいのです。)
仲間の竜達に資料を持ち出させてくる彼女。それを見させて貰ったが、流石は異世界の調停者たる竜族だ。持ち込まれた資料のどれもが、今まで見た事がない精密さを誇っている。
(更に、カルーティアスの南側には、3つの巨大な大陸があります。こちらは完全に大海原で隔てられているため、移動は船舶か空中の移動となります。)
(うーむ、セレテメスの守備にレプリカヴァルキュリアが欲しいですよね。)
(となれば、レプリカ大和とレプリカ伊400での移動だな。)
持ち込まれた資料に目を通すミツキ。発せられた言葉が真面目言葉になった事から、今後の流れを更に読んでいる様子だ。
(マスター、先程のプラス面の力で満たすなのですが、王城周辺と新大陸の方もプラスに転じた方が良いのでは?)
(あそこは最後になると思う。むしろ、他の大陸が共同戦線を張ってくれるなら、上手くすれば同調する存在が出てくるだろう。俺達だけでは心許無いしな。)
(確かに。)
何時の間にか、妹達も資料に目を通している。地球組の面々は、今後の戦いに関しての兵装を整えだしていた。各々ができる最善の行動をしだしている。本当に見事な盟友達だわ。
(我々、竜族総意の力も、大いに活用して下さい。貴方様方には、不二の忠誠を心から誓わせて頂きたいのです。)
(・・・ありがとう。だが、お前さん達の存在も大切だ。幾ら強大な力を持つ竜族でも、一生命体に過ぎない。お前さん達の思いは心から汲ませて頂くが、悲惨や不幸、それに犠牲だけは絶対に至らせんよ。)
七竜王や他の竜族全てに、今の俺の確固たる執念と信念を語った。これは、俺の警護者生命の集大成とも言える。
ミツキTとの闘病生活と、後の逝去後から心に決めた誓願が、今し方話したそれになる。トラガンの女性陣やリューヴィスの女性陣を、形振り構わず助けたのが顕著だ。今後も、彼らの様な存在が出たのなら、全身全霊を以て助けに走る。
だが、この姿勢は時として苦痛の選択を迫られる。王城や新大陸の流れがそれだ。悲惨や不幸、犠牲の概念を取り除くとあるなら、全ての存在を守り通さねばならなくなる。俺が持つ全ての力を使えば、可能な限りの助けはできるだろう。
しかし、実際の所は不可能に近い。いや、その助けを差し伸べる相手に私利私欲の一念があるのなら、助けるべきではないと言えてくる。全ての存在を助け守ると言っておきながら、その概念が生じるのであれば矛盾極まりない。
この部分には、今も本当に悩まされ続けている・・・。
第13話・4へ続く。




