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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第12話 竜の里3(通常版)

 1日準備期間を設けて、指定の4箇所へと向かう俺達。各レプリカブリュンヒルデには、俺達の後方に待機して貰う形になった。前面に出た場合、未踏査の存在に要らぬ威圧を掛ける可能性が出てくる。


 いきなり、とんでもない流れになったため、身内の誰もが緊張の面持ちを浮かべている。特に異世界組の面々は、相当緊張している様子だ。それに、新規参戦となった仲間魔物達が一際緊張の面持ちを浮かべていた。


(距離が離れ過ぎているため、以後は念話で対話していくぞ。)

(了解です。それに、念話なら仲間魔物様方にも伝わりますからね。)


 彼女の言葉に、近場の仲間魔物達がウンウン頷いている。今はまだ言葉は話せないが、意思自体は伝わり合っている。本当に念話の能力は凄まじい力だわ・・・。


(あの・・・ミスターT様。私達は貴方様と組んだのは良いのですが、全ての異世界組の面々が集っていますが・・・大丈夫でしょうか?)

(身内総意の戦闘力は把握済みだからね。故に他の3箇所に配分してみた。宇宙種族組が出揃っているから、総合戦闘力も問題ないしな。)

(補佐として、私達もいますから大丈夫ですよ。)

(本当にそう思う。不測の事態時は任せるわ。)


 かなり緊張している雰囲気の異世界組の面々。しかし、流石は魔王・大魔王・魔女である。イザリア・イザデラ・イザネアの3人は、そこそこ緊張している程度だ。三姉妹がいれば、不測の事態は問題ない。


(よし、行くとするか。)

(ワンコモードを起動、探索を開始するでござる!)

(ワンコモードねぇ・・・。)

(何とも。)


 緊張した雰囲気を、十八番のボケで一蹴してくるミツキ。不意の状態で受けたためか、笑いが巻き起こった。特に元ネタを知るヲタク気質の面々は、一際笑っている。今ほど、ミツキのボケが頼もしいと思った事はない。



 彼女のボケを皮切りに、4箇所同時探索を開始する俺達。ちなみに、進軍経路は特殊な手順を踏む事にした。それは、一気に未踏査箇所に進むのではなく、進軍箇所から時計回りに動く事にしたのだ。丁度、中心へと絞り込む感じになる。


 一気に中心へと進んだ場合、他の場所の調査ができずに終わってしまう。それに、推測ではセレテメス共和国と同程度の未踏査箇所だ。何処からがその場所となるのか不明なのもある。この絞り込みの進軍なら、ほぼ探索を漏らす事なく進められるだろう。


 ところで、この戦術の考案者だが、あのミツキである・・・。




(野生の魔物が多くなってますぜ。)

(しかもこれ、善心に感化されない悪心持ちっすよ。)


 未踏査箇所へと進みだして数時間後。それを守るべく居るのか、野生の魔物共が数多く襲来して来ている。進軍は徐行状態で、専ら相手との戦闘の繰り返しだ。予想以上の壁の厚さに、ただただ驚くしかない。


(大丈夫か? 疲れてないか?)

(大丈夫です、ありがとうございます。)

(持久戦は、なかなか厄介ですが、何とかしていきますよ。)


 遠方の3チームは、歴戦の猛者達とあって問題はないようだが、俺達の方は若干苦戦しだしている。特に継戦能力が低い妹達には、結構堪える流れのようだ。


(これ、各レプリカブリュンヒルデがなかったら、進軍の位置固定が不可能でしたね。)

(ああ、そう思うわ。同機が上空から位置の特定をしてくれるため、こうして時計回りに進めているしな。)


 サイレントモード状態のレプリカブリュンヒルデ。上空から俺達を看視してくれている。赤外線センサーを駆使した位置表示も可能とあり、それを逐一知らせてくれていた。特に、俺達に1人ずつ護衛でいるメカドッグ嬢達が、レプリカブリュンヒルデとの見事な連携を実現している。地球で例えるなら、小規模GPSレーダーであろう。


 そして、目立ちだしているのは、空中浮遊を得意とする魔物の増加だ。それらがこちらを空から急襲するのもあれば、レプリカブリュンヒルデへと向かうのもいる。当然だが、どれも遠距離攻撃と題して重火器での撃破となるが。


 特にレプリカブリュンヒルデには、20mm・30mm機関砲は無論、50mm機関砲をも搭載している。もはや砲塔クラスのものだが、それを機関砲扱いにしたのにも驚きだ。これも全て特殊兵装の1つとなるため、特注品に近い感じである。


 そう、3大ガンシップは外見こそアレンジ兵装だが、そこに使われている材質や技術力、そして兵装なども全てアレンジ化している。レプリカ大和の46cm主砲を、某アニメの如く更に特化した自動装填機構にしたのもそれである。


 まあ、オリジナル自体が自動装填機構らしいが、実物を見た事がないため、俺としてはこの機構が現物と言わざろう得ない。実際には、本物の戦艦大和を見た事がないのだから。




(ぬぅ~・・・メッチャ嫌な予感がしまくりっす・・・。)

(確かに・・・このプレッシャーは何とも言えない感じで・・・。)

(どの道・・・先に進む以外にありません。今は進むとしましょう・・・。)


 更に進軍を続けると、5大宇宙種族の面々が不安の声を挙げてくる。地球人と異世界人の人間側には分からないが、宇宙種族の彼らには何か感じるものがあるようだ。それを断定するのは、魔力や魔法を使う異世界組の面々にも感知できていないだからだ。


(各レプリカブリュンヒルデに指令、対空防御と対地防御を展開。不意の襲来で撃墜されないようにして下さい。)

(了解です!)

(後方の憂いは全てお任せを!)


 そんな中、真面目言葉で語りだすミツキ。的確な指令を出す様に、周りの面々は驚いている。こうして、いざという時に本領を発揮できるのが彼女の強みだ。普段のノホホン・スタイルは偽りの姿である。


(これ、通常武器ではなく、重火器を使った方が良さそうですね。)

(喫緊に迫る脅威、だな。了解した。)


 そう言いつつ、地球組と宇宙種族組は空間倉庫から重火器を取り出していく。既に定石となりつつある空間倉庫から、地球やレプリカヴァルキュリアに配置済みの重火器を取り出せるようになっている。


 俺も空間倉庫からマデュース改を3挺取り出し、人工腕部へと装着させた。そして、更に新たに創生した“マデュース改Ⅱ”も取り出す。これは大盾風の出で立ちではなく、エリシェが持つマデュース改と同じ30mm機関砲タイプだ。


(デデン・デン・デ・・・ゲフンゲフン。)

(あー・・・。)

(ハハッ、確かにそう見えなくないですね。)


 俺の出で立ちを見て、ボケを言おうとして思い留まるミツキ。しかし、理に適ったボケだと苦笑いに留めているナツミA。恐らく、それ以上言った場合は、確実に押し殺しがあったと思われる・・・。


(先鋒は3チームに任せる。俺はお嬢さん達を守りつつ、殿を担当するわ。)

(了解です。)


 俺達側の進軍速度を遅めつつ、他の3チームに先鋒を任せてみる。未踏査の場を踏まえると、必ず何らかの存在があると思われる。戦いのプロフェッショナルに一任した方が良い。


(あー・・・メッチャ・・ブルってるんですが・・・。)

(気にするな、誰も同じよ。向こうは好奇心と興奮度が勝っているから、平然としているように見えるしな。)

(そ・・そうなのですか・・・。)


 完全に雰囲気に飲まれている異世界組の面々。エメリナ達やアルディア・ゼデュリスですら怖じている状態だ。唯一、平然としているのが、イザリア達三姉妹である。


(そうは仰いますが・・・諸先輩方みたいに修羅場を潜っている訳ではないので・・・。)

(恐ろしいぐらいに怖いですよ・・・。)

(はぁ・・・貴重な経験を積めて良かったな。)


 実際の所、イザリア達三姉妹もブルっていたようだ。俺も身内達と同じく、好奇心と興奮度が勝っている。平然としている感じに見えるが、内心はブルってるのが何とも言えない・・・。


(ぬぅーん! 怒りは絶望を凌駕するわぅ!)

(あー、先のネタの3作品目で、機械兵士の彼が主人公に言っていた言葉ね。)

(怒りは不安や恐怖も凌駕するからな。ただ、それに溺れ過ぎると・・・。)

(暗黒面に堕ちるわぅね。)


 ネタを繰り広げつつも、新たに現れる野生の魔物を倒しつつ進む。しかし、そのネタが現状を見事なまでに言い当てている。確かにネタではあるが、今の俺達には強烈なまでに通じる指針とも言えた。


(ファンタジー作品内の話だが、もしその竜族がいたとしたら、彼らの知識と経験は俺達に凄い力を与えてくれる。俺達が5大宇宙種族と初対面した時と同じ感じだ。)

(確かにそうですね。失礼ながらも、地球では人間が多い。凝り固まった精神性が目立ち、総じての技術体系は足踏状態になっている。)

(現状は限界に到達しているのに、一部の愚物共は己が世界の覇者だと言い出してくる。地球での各事変も、それらが多く目立っていた。この異世界惑星では、王城軍の連中が正にそれに当たるしな。)


 何時の時代、そして何処の惑星でも、この構図は殆ど変わらない。いや、これは地球を発端とした生態系がそれに当たるのかも知れない。


 あの黒いモヤが時間と空間を超越し、この異世界惑星の草創期に到来していたと仮定する。その場合、ほぼ確実にここの生命体の創生に関わっている。これは今はまだ仮定ではあるが、あの事変の最中に、こちらの知識と経験を吸収したとしたら・・・。


 下手をしたら、俺達は異世界惑星の生命体の創生に携わったと言えてくる。それが的中していたとしたら、とんでもない事だ・・・。



 不意に現れる野生の魔物。俺へと肉薄し攻撃を放ってくる。しかしそれは、常に張られているバリアとシールドに阻まれ無効化された。


 その相手に妹達が逆襲を開始する。海岸線で対峙した野生の魔物より、各段に手強い存在だが、一点集中の総攻撃で押し切っていく。数の暴力だが、力が弱い彼女達には効率が良い戦術だ。


(ボサッとしていると危ないですよ。)

(あ・・ああ、すまない。)

(思われた事は、しっかり伝わっています。そのお話は、ここを攻略してから、詳しくお聞きしますので、今は戦いに集中しましょう。)

(ああ、分かった。)


 先程考えていた内情を、妹達に全て見透かされていた。だが、それは茶化しではなく、彼女達には重要な事になるため、真顔で気に掛けてくれている。


 警護者が調停者と裁定者を担うだけでも烏滸がましいのに、もし先の考えが当てはまるのなら、創生者の役割も担っていた事に繋がってくる。最早、この世界での神そのものだわ。ヲタク気質の身内達が知ったら、さぞかし熱狂するだろうな・・・。


 同時に、俺達地球組と宇宙種族組が、この異世界惑星の創生に携わってしまった事を重要視しなければならない。ここで起きた出来事は、全て俺達に責任があるというものだ。これ程の責任問題は他には類を見ない・・・。


 となれば、リューヴィスの女性陣に降り掛かった出来事は、俺が起こしたも当然だ・・・。


    第12話・4へ続く。

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