第12話 竜の里1(キャラ名版)
セレテメス共和国への2度目の襲来。相手は伯爵共と宰相、そして黒衣の男爵に配下多数。途中で転送魔法を使い、不死属系魔物を呼ばれたが、3大ガンシップの砲火で殲滅。後は恒例の如く、殴り合いで解決した。男爵以外は・・・。
最後は男爵の挑発に乗ってしまい、暴走状態で幕を下ろした。一歩間違えば、相手を殺害していただろう。そこまでの痛烈な怒りと憎しみを抱いての行動だった。止めてくれたミツキとナツミAには感謝し切れない。
それでも、男爵が挙げた悪態には、誰もが怒りと憎しみを覚えたという。しかし、実際に痛め付けるまでの行動に出たのは俺だけだったが・・・。まだまだ、精神面の修行が足らない証拠だわな・・・。
ゼデュリス「不殺の精神を除くだけで、あそこまでの戦闘力を発揮できるのには驚きました。」
ミスターT「アレは悪い例だと思ってくれ。」
中央広場には数多くの出店が出展している。その中のカフェで寛ぐ。先程、ゼデュリスに誘われてここへと足を運んだ。サラとセラもミツキに誘われ、他の出店を見回っている。
ゼデュリス「それでも、ああまで怒られるのを窺えば、女性をどれだけ大切に思われているのかを痛感します。」
ミスターT「何時の時代も、世上に破壊と混沌をもたらすのは野郎だ。そして、泣きを見るのは女性と子供達のみ。地球ではトラガンチームが、ここではリューヴィスの女性陣がその被害に遭っている。許されるものではない。」
毎度の事だが、この感情に至ると怒りと憎しみの一念が現れる。地球にいる時は、まだ緩い程度だったが、リューヴィスの女性陣を見てから激変した。以後は、ご覧の通りである。
ミスターT「俺には、精神面の修行が必要だな。要らぬ挑発に乗らぬようにならんと。」
ゼデュリス「私は良いと思います。乗ったとしても、実行に移さなければ良いだけです。貴方様の怒りと憎しみは、女性陣を代弁されていらっしゃいますからね。」
ミスターT「そう言って貰えると安心するわ・・・。」
ゼデュリスの労いには感謝するしかない。だからと言って、その暴走状態を助長させるという意味合いではない。怒りと憎しみを抱こうが、それを起爆剤に変えるだけで良いのだ。
ミスターT「・・・とりあえず、当面は問題なさそうだな。先の海岸の探索を続けるか。」
ゼデュリス「了解です。既に準備はできていますので、後は現地に向かうだけですよ。」
徐に立ち上がり、出店に支払いを済ませる彼女。この時思ったのが、この異世界での通貨を全く知らない事に。遠巻きに窺うと、銅貨・銀貨・金貨があるようだ。
そう言えば、ファンタジー作品群の通貨は2通りある。日本での“円”みたいな固定通貨があれば、銅貨・銀貨・金貨などの使われる材質で分ける感じだ。ゼデュリスの支払いを見る限り、この異世界惑星では後者が当てはまるのだろう。
そして、当然ながら野生の魔物などは硬貨を持っていない。通貨を使うまでの知能はないと思われる。仮に持っていたとしても、それは誰かしらから奪ったものだと思われる。人間の盗賊や山賊は、ほぼ間違いなくそれに当たるだろう。
この場合の稼ぎ所は、ファンタジー作品群でもある魔物の素材の売却だろう。それか、傭兵家業などで稼ぐ感じになる。至ってリアリティある流れを見れば、地球の様相と全く変わらない感じだな。
その後、出発準備を終えた俺達は、デュヴィジェの転送装置により、先刻の海岸まで飛ばされた。沖合いにはレプリカ大和も鎮座している。ただし、今回はレプリカ大和は看視任務に当たって貰い、一同総出で海岸線の探索に乗り出した。
既に到着後から、夥しい野生の魔物共に襲われてだしている。一気盛んに燃え上がる一同を見ると、何処か安心感を抱かずにはいられない。
ミスターT「あー・・・物凄く初歩的な質問があるんだが・・・。」
ゼデュリス「通貨ですね。私の手元に視線を感じましたので。」
シューム「へぇ・・・。」
初歩的な質問はまだしも、ゼデュリスの言葉に過剰反応を示す女性陣。つまり、彼女を見ていた事を知り、物凄い殺気に満ちた目線を投げ付けられる。この場合、俺の方に非があるが、実に恐ろしい事この上ない・・・。
ゼデュリス「ま・・まあともあれ、ここでの通貨は銅貨・銀貨・金貨による支払いとなります。高額な買い物の場合は、白銀貨と黒銀貨を用いる場合も。」
サラ「この異世界惑星には、固定の通貨はないんですよね。」
セラ「むしろ、ない方が国々での支払いが安定しますし。」
確かにその通りだろう。地球では国と地域により、使われる通貨が全く異なる。それにより、レートの計算も出てきてしまう。日本円は平均的な相場との事だが、ドルやポンドには遠く及ばない。
シューム「まあでも、固定レートでの計算なら、非常に楽になるんだけどねぇ。」
ナツミYU「そうですよね。支払いは毎回同じ硬貨になりますし。」
デュリシラ「主婦は毎回大変なのですよ。」
デュリシラの言葉で、地球の主婦軍団がウンウン頷いている。また、喫茶店業務を担当するサラとセラもしかり。俺もマスターを演じる事から、その部分は痛烈なまでに理解できる。
アルディア「何だか、地球という場所は色々と大変なのですね。」
カラセア「大変も何も、毎日が別の意味で激闘と死闘ですよ。この異世界惑星みたいに、安定した気候ではないため、食物の育成に色々と弊害が出てきます。それにより、出来上がった食物の価格が物凄い変動する場合もありますし。」
ミスターT「そう言えば、この異世界惑星の気候は、晴れ・曇り・雨の3種類ぐらいか。」
そう言いつつ、空を見上げる。先の男爵事変から20時間程度経過しているため、今は昼間になっている。少し雲が多いが、至って晴れのポカポカ陽気だ。そもそも、この異世界惑星は人工的に作られたとも言えるため、気候変動は滅多な事では起こらないと思われる。
ミュティナ「お兄様と初めてお会いした時から、地球の気候変動には驚かされています。私達が長年過ごしてきた宇宙の各惑星とは、全く異なりましたし。」
ミツキ「ぬぅーん! 海王星も凄いわぅ!」
ナツミA「あー、物凄い風が吹いているらしいわね。」
ミスターT「はぁ・・・世界と言うか、宇宙は広いわな・・・。」
迫り来る野生の魔物を倒しつつ、生命の存在自体を思い知らされる。地球に住まう全ての生命もそうだが、広大な大宇宙に住まう生命体もまた数多い。地球人はそれを知れていないだけになる。
ミスターT「・・・修行以外にも、勉学も学ばねばならないわな。」
ミュティナ「私からすれば、十分過ぎるほどに学んでいると思いますよ。それに、そこまで己自身と向き合うのであれば、常に学んでいるようなものです。」
ミスターT「色々と悩ましいわな・・・。」
学ぶ姿勢は重要なのだが、そこにだけ集中するのも問題がある。知識だけではダメなのだ。やはり、こうして身内同士で切磋琢磨してこそ、得られる大切なものもある。それは分かるのだが、どうしても悩む部分が出てくるわ・・・。
ミスターT「正に、探索者という訳か・・・。」
ミツキ「茶菓子を追い求めるのも、探索者と言うのだよ。」
ミスターT「ハハッ、本当にそう思うわ。」
相手の猛攻を携帯方天戟で退け、体術で一掃していく。そこにミツキのダイビングアタックが炸裂した。ミュティナの超怪力による、空中へと放り投げた後の攻撃だ。巨大帆船を軽々と持ち上げるのだ、華奢なミツキを持ち上げる事など造作もない。
ミツキ「アッハッハッ! 見よっ、我が力をっ!」
ナツミA「それ、一体誰?」
ミツキ「オーッホッホッホッ! 全く以て知らんわぅ!」
ナツミA「はぁ・・・。」
恒例のボケとツッコミを繰り出し、それに釣られて爆笑する俺達。これを素で行うのだから、ミツキの実力にはただただ驚かされるしかない。これこそが今現在の俺に必要な力になるのだろうな・・・。
その後も、野生の魔物共との戦いは続いた。どうやら、このセレテメス大陸には、魔物が沸くダンジョンがあるらしい。それ以外にもあるみたいだが、ゼデュリス達が言うには未踏査のままだと言う。あの新大陸と同じ様相である。
そこで、先ずは海岸線の調査を行い、それから内陸部へと進出する事にした。同大陸自体、直径200km以上あるようで、なかなか骨が折れる探索となりそうだ。それでも、身内達は未踏査への探索に燃え上がっている。
また、今回はチーム分けをして探索する事にした。魔物娘達や仲間魔物達も含めると、結構な大人数になっている。4チームに分けつつ、東西南北から中央へと向かうルートが良い。
問題は、ほぼ大森林が広がっているため、俺達の位置の特定ができない点だ。空からの護衛が必要になるだろうな。
第12話・2へ続く。




