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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第11話 正しき行い3(キャラ名版)

ミスターT(北大門・西大門・南大門の様子は分かるか?)

ゼデュリス(外部は不明・・・いえ、失礼。躯屡聖堕メンバーの方々からの念話だと、外部に大量の魔物が侵入を試みているようです。ただ、開門をしていないので、破壊しない限りは侵入されませんけど。)

ミスターT(内部に入ったコイツ等だけでも、結構な数だしな・・・。)


 愚物一行が城下町に侵入したと同時に、南大門は閉門している。もし、あのまま開けっ放しだったら、そこから魔物共が侵入して来ただろう。幸いにも、東大門側は開門中だが、侵入されていないようだ。


ミスターT(・・・少し見せ付けるか。“超能力・シスターズ”に指令、3大ガンシップの兵装を使い、誘導着弾を用いて殲滅してくれ。)

ルビナ(ヒャッホゥ~! 出番来ましたねぇ~♪)

ヘシュナ(はぁ・・・了解です。)


 一際素っ頓狂な言動をするルビナに、この上なく呆れ気味のヘシュナが応える。ルビナの様相は相変わらずだが、ヘシュナの方も満更ではないといった感じだろう。むしろ、ここにいる誰もが相手への怒りを抱いている。まあ、その大半は呆れではあるが・・・。


 既に準備はできていたようで、2人が語った後に3大ガンシップの砲塔が火を噴きだした。放たれた砲弾は2人の超能力により、物理的な法則を度外視した軌道で進んで行く。それらが城下町外で群がる魔物共へと着弾していった。


 この時に判明したが、相手の魔物共は全てゾンビやスケルトンといった不死属系である。王城側は生身の肉体の魔物を使わず、こうした不死の存在を使うようになっている。地球の軍服黒服事変でも、相手が機械兵士や人工生命体を使ってきていた。


 効率的には非常に良いとは言えるが、この場合は最早末期状態と言い切れる。他人を信じる事ができなくなった愚物が、最後に必ず辿る末路である。



アルディア(・・・こんな形で良いのですかね・・・。)

ミスターT(これら襲撃への対応、か。まあ、相手を殺害する事を極力避けられるなら、この手の手法も用いるべきだな。)

デュリシラ(ラスボスが総意を引き連れて、直接乗り込んでくれば、全てが終わるのですがね。)

ミスターT(本当にそう思う。)


 呆れを通り越し、大丈夫なのかと心配しているアルディア。確かにこの様相だと、本当の意味での無駄な争いと言える。しかし同時に、相手の目がこちらに向くのなら、それだけ他の場への横槍は減ると思われる。


ミスターT(・・・いや、諸悪の根源を潰さねば、他の場への横槍自体消せるのか。)

デュリシラ(極論を言えば、そうなりますね。王城を“全力を以て”完全撃滅すれば、この異世界惑星の大きな紛争は消え去ります。地球でも同じ事が挙げられますよ。)

ミスターT(・・・絶対悪の使用、か。)


 現状を打破する事は容易にできるのに、そこに至るのに物凄い面倒な手順を踏まねばならない様相という・・・。


 力があるのに使えない。仮に使えたとしても、その先にあるのは完全なる破滅だ。逆に、相手が超絶的な力を使って来た場合、その時は大いに力が使えるだろう。こちらから打って出る事はできないのだから。


 調停者と裁定者の存在、警護者の理。地球でもその様相に右往左往されっ放しだったが、この異世界惑星では更に困惑させられそうだわ・・・。


エリシェ(前にも挙げたと思いますが、地球での各紛争は各地域で終息させていくしかありません。もし、超大な力を用いて鎮圧した場合、要らぬ反発を招く事になっています。今貴方が思われた通り、相手の力量に合わせた力を出すべきだと思います。)

ラフィナ(下手な介入は、より大きな火種を巻き起こし、紛争を拡大化させてしまいますからね。力を持つ事が絶対的とは言えないのが、ここにあると思います。)

ミスターT(・・・異世界モノの作品の最強キャラとその概念の如く、思う存分暴れられれば本当に楽なんだがな・・・。)


 俺のボヤきに苦笑する面々。特にヲタク気質の面々は、苦笑しながらも力強く頷いてくれている。最強の力を思う存分使えれば、どれだけ有難い事かを痛感しているのだ。


エリシェ(まあ何ですか、今は目の前の障害を1つずつ取り除いて行きましょうか。)

ラフィナ(それが最善の策ですからね。)


 そう言いつつ、両拳を鳴らしつつ戦場へと向かう2人。今までは周辺の警戒をしていたが、四天王や他の面々に触発されたらしい。格闘術で対峙するという雰囲気が丸見えだ。



 身内の大多数が大暴れに参加しているのを見守る中、上空と海上の3大ガンシップの砲撃が止んだ。そして、再びレプリカヴァルキュリアの砲門がこちらを向いてくる。


ルビナ(マスター、北・西・南・東側周辺のモンスを全て駆逐できました。)

ミスターT(早いな・・・。)

ヘシュナ(ただ単に攻めるだけのモンスですからね。これが明確な意志を持つ、生きた魔物だったのなら話は別でしたが。)

ミスターT(地球の各事変の、機械兵士や人工生命体と同じ感じだな。)


 これぞ正に最強の力の一端だろうな。本来ならば激闘と死闘に近い戦いで、4大門に屯する魔物共を撃滅するのだろう。しかし、3大ガンシップの砲火は、相手を簡単に瞬殺したのだ。俺達の世界観での最強の力とは、こうした外部的な要因であろう。


ヘシュナ(しかし、一度転送魔法を使われた場所には、再度送り付けて来るのが定石な感じかと。)

ミスターT(何時でも狙えるのだと言わんばかりだしな。こうなると、レプリカヴァルキュリアはセレテメスから動かせられないか。)

ルビナ(それはそれで良いのですが、他への遠征はレプリカ大和ぐらいしか使えませんね。)

ミスターT(港には、レプリカ伊400を駐留させたいしな。)


 包囲網を掻い潜り、数人の愚物がこちらへと接近して来る。それを見て防戦に出ようとするのだが、傍らにいるアルディアとゼデュリスが一蹴してくれた。武器で相手の獲物を弾き、体術で攻撃のスタイルである。その2人が目配せにより、会話を続けろと促してきた。


ミスターT(まあ何だ、今は暴れるとするか。)

ミツキ(後は頼むっ! わたは茶菓子を漁るのに忙しいわぅ!)

ナツミA(はぁ・・・。)


 アルディアとゼデュリスの目配せが、逆に共闘を促すような感じになってしまう。そこで、会話を中断して攻勢に出る事にした。だが、一番暴れたそうだったミツキが、今も茶菓子を漁って寛いでいる。それを見たナツミAや他の面々は、ただただ呆れるしかないようだ。


ミスターT(・・・俺も不貞寝したいわ。)

ゼデュリス(ま・・まあそう仰らずに、共に戦える事を光栄に思います。)

アルディア(無益な殺生をしない戦いをするとしますか。)

ミツキ(こよいのワンテツケンは一味違うぞ?)

ナツミA(ワンテツケン・・・。)


 この美丈夫は・・・。しかし、そのボケが周りに笑いをもたらしていく。戦闘中だというのに笑う面々を見て、逆に愚物側は変な恐怖心に駆られているようだ。


 ミツキのボケを皮切りに、俺達も攻勢へと出る事にした。むしろ、ミツキとナツミAが防衛は任せろという雰囲気なので、ここは2人に任せて攻めるしかない。他の面々もそれに便乗している。



 今回の愚物共は、身内が善戦している所を窺うと、そこそこ手練れの面々のようである。しかし、相手は獲物を使うのに対し、こちらはその獲物を同じ獲物で防ぎつつ、拳や蹴りで応酬している。この点が力量の差だろう。


 それに、こちらの行動は全てが不殺の精神に基づいている。特に人間に対しては、極力殺害する事をしないのだ。だからと言って、こちらが危ない場合は問答無用に殺害するという、非常に矛盾した戦術ではあるが・・・。


 これを普通の戦いのプロが見たら、間違いなく偽善者と言われるだろう。だが、それでも構わない。己が生き様を貫いてこそ、これらの戦術は生きてくる。そう、貫き通してこそのものだ。


 そんな中、他の面々と交戦中の男爵がこちらに気付くと、ご丁寧にターゲットを切り替えて来た。相手の獲物はレイピアな点が見事だろう。ほぼ貴族ご用達となるレイピアを扱う点で、男爵の名は伊達ではない証拠か。


 物凄いスピードで肉薄し、レイピアを突き刺そうとしてくる。しかし、突撃型の獲物故に、左右への対応は疎かになり易い。それに、不用意に動かずに、ただ一歩だけ左右に動くだけで良い。非常にシビアな回避方法だが、今の俺なら可能な範囲だろう。


ミスターT「ほむ・・・そこそこやれるようだな。」

男爵「クソッ・・・何故当たらん!」


 先の堂々とした風格は、それなりの実力を備えてのもののようだ。しかし、それは唯の実力だけだという話であり、実際に戦闘で戦った事がないのは目に見えている。獲物の力だけに頼り切っているのもそれだ。


 相手の攻撃を紙一重で回避しつつ、携帯方天戟を大雑把に振るう。突撃型の攻撃は、動いた直後に回避が取り難い。仮に回避できたとしても、そこから反撃に転じるにはワンテンポほど間を置かねばならない。男爵のその行動に、大雑把に振るった携帯方天戟が命中した。


 強烈な攻撃ではないものの、その一撃で転倒する男爵。ここで追撃も可能だが、態とらしく起き上がるまで待つ。冷静さを得られれば、間合いが広い俺への対策となるのだが、恐らく奴の場合はそれは無理だろう。


男爵「お・・おのれぇ・・・。」

ミスターT「はぁ・・・もう少し、間合いを取ってみてはどうだ?」


 挑発的ながらも、一応アドバイスを放ってみた。しかし、予想通りの聞く耳持たずの男爵。直ぐに起き上がり、そのまま攻撃を再開しだした。


 この手の愚物は、劣勢になればなるほど、逆上して視野が狭まっていく。以前はシュームと対峙した剣士が、それに乗らずに動いていたぐらいだ。もし彼が実力を付けた場合、偽勇者や男爵以上の力を持つ可能性がある。そこまで修行を繰り返せば、だが・・・。


男爵「我が野望の達成には・・・貴様等は邪魔なのだ!」

ミスターT「ほむ・・・。」


 再び、ワンパターン的な猛攻を繰り広げて来る男爵。今回は回避しつつも、携帯方天戟を使い、突き出されるレイピアの切っ先を弾いて回った。非常に合わせ辛い手法なのだが、今の男爵なら問題なく対処可能だろう。これが・・・。


エリシェ「私なら、更に猛打を繰り出す、ですか。」

ミスターT「はぁ・・・ならば、お前さんが手本を見せるか?」

エリシェ「フッ、オフコース。お任せを。」


 俺の心中を読んだエリシェが介入してくる。携帯迅雷剣を繰り出し、男爵のレイピアの切っ先に当てていくのだ。携帯迅雷剣自体、レイピアの上位版な獲物なので、相当な鍛錬がなければ不可能の行動である。


 突然割って入ったエリシェに、ターゲットを切り替える男爵。相変わらずの突撃型の猛攻だが、俺以上の機敏さで回避していく彼女。そして、携帯迅雷剣の切っ先を、相手の切っ先に当てていく。


男爵「クソッ・・・。」

エリシェ「・・・本当に、どうしようもない愚物ですよねアナタ。」

男爵「ぐっ・・・我を愚弄するのは止めろっ!」

エリシェ「フッ、愚弄されたくなかったら、こちらの猛攻を止めてみなさいな?」


 言うか否か、回避と迎撃に回っていた戦術から、攻撃に転じて行くエリシェ。携帯迅雷剣を上手く扱い、その切っ先を相手の急所以外に突き刺していくのだ。彼女の戦術は、こうした機動戦を得意としている。俺とは真逆の属性である。


 物凄く素速い動きで相手を翻弄し、猛攻を繰り広げるエリシェ。同じ突撃型の攻撃でも、熟練者とド素人との差により、ここまでの動きが異なってくる。と言うか、彼女のタイマンを初めて見たので、正直驚くしかない。


男爵「ぐぐっ・・・。」

エリシェ「あら、もう終わりですか?」


 終わりも何も、“致命的ではない”突き刺し攻撃を受けて、満身創痍の男爵。その場に膝を着いてしまっている。対して、エリシェの方は息切れすらしていない。


ミスターT「分かったか? これが、お前さんの実力だ。彼女の前では足元にも及ばない。」

エリシェ「言っておきますが、こちらのマスターは私よりも遥かに強いので、そこをお忘れなく。」


 そう言いつつ、俺の方をニヤケ顔で見つめてくる。完全なハッタリである。個人戦闘力なら、俺より彼女の方が断然強い。今の動きを見れば、否が応でも痛感できる。


エリシェ「それに、アナタの攻撃には明確な信念がありません。信念無き攻撃では、私達の誰にも当てる事などできませんよ。そう、正しき行いができていない証拠です。」

男爵「ぐっ・・・。」


 正しき行い、か。確かにその通りだろうな。いや、連中には絶対にできないものだ。


 そもそも、相手の領域に土足で入り込み、邪魔だと消そうとしてくる時点で論外だ。とても正しき行いとは言えない。地球での各事変でも、相手が正しき行いではなかったため、相手は全て負けている。エリシェの言葉で、改めて思い知らされた感じだ。


    第11話・4へ続く。

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