表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
187/683

第11話 正しき行い2(キャラ名版)

ミスターT「お初にお目に掛かる、だな。そこのカス共は、旧リューヴィスで叩き潰した連中だが、今度は徒党を組んで現れるとは。」

伯爵「き・・貴様は・・・。」

ミスターT「はぁ・・・次はないと挙げたよな? 今度は逃がす事などさせん、覚悟しておけ。」


 右手の携帯方天戟を前に掲げ、トリプルマデュース改を相手へと向けた。この威圧に完全にビク付いている。先の戒めの一撃は効果があったと思える。


ミスターT「・・・で、本命はそこの大物か。ここから逃げ去った宰相とやらか。」

宰相「話は聞いている。セレテメス帝国を牛耳ったという、仮面の愚者とやらをな。」

ミスターT「大層な称号だわ・・・。」


 宰相が挙げた仮面の愚者に、周りの面々は必死に笑いを堪えている。確かにハッタリとして上出来な称号だが、考える事が安直過ぎて馬鹿馬鹿しく思えてくる。ミツキ達なら、あの称号を挙げるのだがな・・・。


ミスターT「それで、今回は何のご用でここへ?」

宰相「セレテメス帝国を明け渡して貰おう。我はこの地を統括する皇帝。先の戦で撤退を余儀なくされたがな。」

ミスターT「はぁ・・・ここは既にセレテメス共和国と改めている。愚策たる覇道を止めて、王道を突き進む事となったんだがな。それに、権力の象徴と言える、帝国城はもう無いが?」


 そう言いつつ、背後にある帝国城跡地を指し示す。ミュティ・シスターズが完全破壊を行い、今では更地と化している。その様相を見て、絶句している愚物共。


宰相「な・・・何と言う事だ・・・。民の血税を使って建てた場を・・・。」

ゼデュリス「・・・どの口がその言葉を語るのですか・・・。」


 宰相の言葉に、今まで見せた事がない激昂度で語り出す彼女。俺の背後にいたのだが、奴の言葉を聞き前へと進み出てきた。その彼女を守るように、四天王が独自の間合いを取り出している。


宰相「じょ・・・女王陛下・・・生きていたとは。」

ナッツ「おいお前、その言葉から推測すると、ゼデュリス嬢は既に亡き者となっているのか?」

エンルイ「これは、聞き捨てなりませんね。」

宰相「・・・何を戯言を。過去に魔物共の襲来があり、その時に死去したと伺った。それ故に、この地を収めるために戻って来ただけだ。」

ナッツ「ざーんねん、彼女はピンピンしてるけどな? そもそも、その魔物共を嗾けたのは、お前がやった事じゃないのか?」


 ナッツの格言的内容に、直ぐに返答できない宰相共。伯爵共はただ単に付いて来たと取ると、今回の到来目的とその首謀者は宰相と言う事になってくる。それに、何時になく激昂状態の四天王を見るのは、激昂軍服男事変以来だ。


ゼデュリス「貴方は、先帝の義父に言葉巧みに近寄り、隙を突いて殺害した。短期間ながらも、ここセレテメス帝国を支配していたのは事実。」

宰相「何を根拠にその様な妄言を、言い掛かりは止して頂こうか。」

ゼデュリス「私も殺害対象になっていたのでしょうが、セレテメスの民の方々に助けられました。先程、言葉巧みと挙げてみましたが、それは義父だけでなく、民の方々にも行うべきでしたね。」


 何か腑に落ちない展開なのだが、ゼデュリスの気質が嘘を言っている事はない。逆に、宰相の方がバリバリ嘘を付いていると痛感できる。意思の疎通たる念話は、心中の深層まで読む事ができるのだからな。


ウエスト「それにな、貴様にはお嬢の様に、心から付き従う盟友がいないだろう? それが唯一無二の真実だ。全てを金や権力で解決してきた愚物には、絶対に理解できない概念だがな。」

宰相「貴様・・・我への侮辱は許さん!」

サイバー「ヘイヘイ・・・既に“セレテメス帝国”はなく、“セレテメス共和国”の現状。お前さんの宰相の称号は無効化している。つまり、野心に酔い痴れて頭が狂った阿呆と言っても、何ら侮辱にもならんのだよ、お分かり?」

宰相「ぐ・・ぐぐぐっ・・・。」


 何と言うかまあ・・・。ここまで四天王が相手を煽る姿を初めて見たわ。その4人を見つめ、呆れながらもニヤついているナツミA。ミツキの方は、つまらなそうに茶菓子を漁っている。


 これ、今となってはタラレバになるが、ゼデュリスの義父を殺害した証拠と、彼女を暗殺しようとした証拠も挙げておけば良かったかも知れない。明確な証拠があれば、今以上に宰相を黙らせる事ができただろうな。


 しかし、今の宰相には“ゼデュリスが生きている事”が強烈な証拠のようだ。セレテメスに舞い戻って来たのも、彼女がいない事を前提としていたようだしな。それなりに戦略を展開したのだろうが、余りにもお粗末過ぎる内容だわ・・・。


エンルイ「それで、再度お伺いしますが、そちらはどういったご用件でこちらに?」

宰相「ぐぐっ・・・。」

ナッツ「おい貴様! “ぐぐっ”だけで済まそうと思ってるのなら叩き潰すぞ!」


 恒例の展開に、何も言えなくなっている相手側。まだ先の伯爵共の方が威勢があったが、今の宰相には明確さが欠けている。こんなノープランで良いのかと、身内の頭脳派は物凄く呆れ顔で見入っていた。


ミスターT「・・・それよりも、その後ろの黒衣の男爵が気になるんだがな。」

ウエスト「ああ、確かに。」


 勢いを殺がれた宰相、ただ付き従っていた伯爵共。その連中よりも、全く別の気質を持つ存在がいる事に気が付いた。その人物の存在は気付いてはいたが、到来時は宰相と伯爵共に気がいっていたため、完全に後回しにしていたが・・・。



 静かに前に進みだす黒衣の男爵。その風格は、今までの愚物とはとても思えない様相だ。やはり、敵側は一筋縄ではいかないのが定石だろう。


男爵「単刀直入に申し上げましょう。この地を接収しに参りました。拒まれる場合は、強大な軍事力を以て駆逐致します。これが我が王城の決定事項です。」

ミスターT「ふむ、宰相や伯爵共よりも単純明確だ、実に分かり易い。それで、仮に接収した後、ここに住まう方々や俺達はどうするんだ?」

男爵「我々が計画する流れでは、そちら総意は邪魔極まりません。全て消えて頂く事になります。」


 恐々しい事をサラッと言い切る男爵に、怒りを通り越して呆れるしかない一同。しかし、ここまで単純明快に意志を挙げられると、何か変な安心感が出てきてしまう。


ミスターT「断った場合は、皆殺しという事だな。」

男爵「はい、その通りです。元より、そちらには消えて頂きたいので、実行する事は同じですが。」

ミスターT「はぁ・・・それにしては、駒が少な過ぎないか? そちら総勢でも、俺達総意には敵わないと取れる。先の宇宙船1隻と、今も眠る2隻を引っ張り出してくれば、それなりの実行力があったと思えるのだが?」


 俺の言葉に絶句する男爵。その様相を見て、身内達は今まで以上に呆れ顔である。だが、何か別の一手があると読んでいるようだ。かく言う俺もしかり。


 少々、威圧を掛ける事にしてみた。港の上空で待機中のレプリカヴァルキュリアを、こちらへと呼び寄せてみる。重低音を響かせながら現れる重装甲飛行戦艦、それを見た男爵は更に絶句していた。そして、同艦の各砲門を態とらしく男爵へと向けていく。


ミスターT「・・・お前さん、先の偽勇者共がここに到来した事を知らなかったのか? 奴等はカスそのものだったが、それなりの軍事力を見せ付けてきた。先に挙げた宇宙船がそれだ。まさかと思うが・・・その手勢だけで攻略できると思ったのか?」

男爵「・・・こうなれば、無差別攻撃を行うしかありませんね。」


 言うか否か、手勢の面々が攻撃態勢に移行していく。更にセレテメス共和国外に、突如として軍勢が現れだした。これは、念話の応用から感じ取れた。恐らく、転送魔法による軍勢召喚だろう。一応のプランは練っていた事には、再び変な安心感を覚えてしまう。



 そんな中、目の前にスミエが現れる。レプリカヴァルキュリアの指揮を取っていたので、同艦から転送装置で飛んできたのだろう。キセルを薫らせながら、その背中から長刀を抜き出していく。


スミエ「・・・穏便に、争い事を避けての終息を、と思っていたのですが・・・。」

男爵「ど・・どちら様でしょうか? 邪魔だてするなら・・・。」


 言うか否か、男爵の両腕の衣服がハラリと切り落とされた。そう、文字通りの切り落とし。両腕の方は健在なのがミソだろう。何時でも切り落とせるという意味合いだ。そして、今もキセルを薫らせるスミエは微動だにもしていない。


男爵「き・・貴様・・・何をしたっ!」

スミエ「ん? いえ、優雅に一服をしていますけど?」


 軽く茶化しが入るが、相手の方は動けなくなっている。スミエの斬撃が完全なる不可知状態である事に気が付いたようだ。俺の眼でも、先の斬撃は見て取れなかった。ここまでの彼女の実力を初めて見たわ・・・。


スミエ「・・・分かりませんか? 次は確実に五体満足では済まされませんよ? ここで引くなら、要らぬ殺生は致しませんが。」

男爵「お・・おのれっ!」

ナッツ「姉御・・・ここは殴り合いで解決したいのですが?」

スミエ「あ、すみません。少々でしゃばりすぎましたね。」


 態とらしくテヘペロを演じる彼女。その姿を見た一同、特にヲタク気質の面々は萌え補充といった感じでノホホンとしだしている・・・。普段からクールビューティーを貫くスミエの、意外なまでのお茶目な言動には、呆れと同時に萌えが出るしかない・・・。



 長刀を背中に仕舞いつつ、背後を向くスミエ。それを見た男爵と愚物共は、彼女に一斉に襲い掛かって来た。しかし、彼女と入れ替わりで四天王が動き出し、迫る相手に拳や蹴りを放っていく。


 その中で、キセルをケースに仕舞い懐に収めると、振り向き攻撃に転じだすスミエだった。本来なら、最後のチャンスを与えた事を無碍にしたため、怒りの表情となるのだろう。だが、笑顔でいる事に恐怖を感じずにはいられない。


ナッツ「おいお前! 姉御のチャンスを無碍にしやがったな?!」

エンルイ「引かないという意思表示ならば、こちらも抗戦を開始します!」

男爵「貴様等・・・。」


 先程の紳士的な言動は何処へやら、激昂状態の男爵の様相は悪党の通例と言える。しかし、四天王とスミエの猛攻を何とか対処している事から、そこそこの実力はあると思われる。


 5人の猛攻に追随し、他の面々も攻勢に回りだした。それを見た相手側も、同じく攻勢に出始める。喧嘩大乱闘状態だが、今はこれで良いかも知れない・・・。


    第11話・3へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ