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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第8話 探索者の理1(通常版)

 帝都対決を終えた後、権力の象徴となる帝国城を解体。ミュティ・シスターズの怪力により実現できた荒業で、短期間での城の破壊を成し遂げた。後付けによる理由にはなるが、宰相などが戻ってきた場合の拠り所を無くすためだ。


 また、短期間で難事業を成し遂げる姿を見せる事で、王城軍に揺さ振りを掛けるのもある。全ての分野で、実力を示せれば、要らぬ横槍が入るのを防げる可能性もある。まあ、こちらがどんな行動を取ろうが、横槍を入れて来るのが悪党の性分だが。


 そして、セレテメス帝国はその名を改名し、セレテメス共和国とした。前進の帝国自体が結構な規模であったのと、そこに住まう住人の誰もが善政を望んでいたのが決め手となった。国王はゼデュリスが、参謀にはオルドラとアルディアが就く事になる。


 これは、帝国城を解体後の小規模パーティー時に決めたもので、翌日に正式に施行した形となった。住人達にはその時に告知をしている。当然、中には反論も出たのだが、王城の様な他力本願の連中は一切いなかった。セレテメスをより良い国にすべく、意見を申し出てきたのが住人達だからだ。


 まあ、反論とは言っても、マイナス傾倒に至らないかという不安な声だけであり、住人達はゼデュリスに付き従う姿勢を崩していない。それだけ、以前からの行動の成果が出た感じと言える。




「マスター、外部の俺達が重鎮になるのは、要らぬヤッカミが来そうな気がするが?」

「まあ一理あるが、お前さんやアルディアさんの誠意ある姿勢は、既に一部の住人達に評価されている。ゼデュリスさんを支える姿勢も評価の対象になっているしな。」

「今はできる事をし続けるのみですよ。デハラードやアルドディーレを超える街にする事ができれば、私達の悲願も達成した事になりますし。」

「リューヴィスも含めた3都市の意志を、セレテメス共和国が継いでくれるなら万々歳となるからの。」


 その道筋は前途多難であろうが、決して達成できなくはない。実際にリューヴィスの女性陣の生き様が顕著である。あの絶望の状況を打破し、見事なまでの立ち直りを見せたのだ。


「今後、どの様にして行けば良いでしょうか?」

「とにもかくにも、移住を望む3都市の面々が、セレテメス在住の住人達と意思の疎通ができるのを優先だな。街並みの強化はゆっくりやるとして、今は人脈を徹底して築き上げる方がいい。外部からの横槍は、俺達が全て受け切るから安心してくれ。」


 俺の言葉にニヤリと微笑む地球組と宇宙種族組の面々。むしろ、俺達の方こそ部外者であり、下手な口出しをすべきではないのが実状だ。オブザーバーとして役に立てれば幸いか。


「コミュニケーションは大変な時間が掛かるので、ゆっくり進めるしかありません。外部からの防衛は私達ができるとして、喫緊の問題は周辺の探索でしょうか。」

「ゼデュリスさんや、セレテメスの外部の探索は進んでいるのか?」

「周辺の探索は済んでいますが、更なる奥地は未踏査のままです。探索する時間がないというのが実状でも。」


 元帝国と言うだけに、それなりに開発が進んでいると思われていた。しかし、実際には未踏査の場所が多いようだ。ここは探索に乗り出した方が良さそうである。


「未踏査地区再調査わぅか?!」

「んー、赤い巨大MTが出そうな感じかしらね。」

「萌えるっ! 萌えてしまうっ!」

「はぁ・・・。」


 恒例のボケとツッコミが繰り出される。それに不甲斐無いばかりに笑ってしまった。殆ど苦笑に近いのだが・・・。


 とりあえず、喫緊の問題は周辺の再調査だろう。メンバーを編成し、探索に乗り出した方が良さそうだ。これには誰にでも出番があるとあってか、大盛り上がりの身内達である。




「悪いな、当面日陰が多くなるが。」

「いえ、お気になさらないで下さい。」


 中央広場より上空を見上げる俺達。そこには、レプリカヴァルキュリアが鎮座している。これには明確な理由がある。


 以前にも挙げたが、バリアとシールドの防御機構は、放つ存在が大きければ大きいほど、その効果範囲が超拡大される。全長3km以上のレプリカヴァルキュリアが発する事ができる効果範囲は、最大で10倍の30kmを網羅できるのだ。


 これは任意指定も可能であり、今はセレテメス共和国のみを包む事にした。それには、同街の中心にレプリカヴァルキュリアを置く必要があるため、海上から移動させたのが今となる。バリアとシールドの防御機構は、本当に化け物染みた性能だわ。


「何と言うか、本当にただただ絶句するしかないですね。」

「にしては、エラい落ち着いているのが何とも言えんが。」

「魔力と魔法の概念を踏まえれば、私達でも建造はできそうですし。ただ、今の技術力では不可能ですけどね。」

「魔力と魔法の概念も、実に恐ろしい限りだわ。」


 本当にそう思う。善悪判断センサーにより、稼動力が必要となる宇宙種族の物品。それを魔力と魔法を駆使して、実際に稼動させる事ができたのだから。実際に先の対決では、王城軍は宇宙船を繰り出して来たしな。


「まあでも、あそこまで破損させたから、当面は出て来れないとは思う。お前さんには理解し難いだろうが、あの破損状態で宇宙空間に出れば、それこそ撃沈するしな。」

「帆船の船底と同じ感じですよね。穴が空けば水が入って来る。それが宇宙という場では空気の排出になるらしいですし。」

「俺も詳しい事は分からないが、今の連中には修理は難しい感じだろう。もっとも、もしバリアとシールドが出せるなら、それが保護膜になって動けるんだがね。」


 改めて、バリアとシールドの防御機構の凄さを思い知った。


 実はこれ、ただ単に物理攻撃や魔法攻撃を完全カットするだけではない。最強の放射線たるガンマ線すらカットするのだ。そして、その防御膜は外部と内部との差を無くしてしまう。過去にレシプロ戦闘機に乗った時、バリアとシールドの恩恵により、高々度でも酸素マスク無しでいられたぐらいである。


 5大宇宙種族の面々も、これらは彼らが生まれる遥か昔からあるテクノロジーであり、今は漠然と使うしかないのが実状らしい。デュヴィジェだけはそれらを解析し、独自に発展させた力を開発してはいる。イザリア三姉妹が逸脱した力を持つ理由は、同じデュネセア一族だからだろうな。


「何にせよ、今この場に居られる事が、何よりの幸せだと痛感する。」

「そうですね。そして、私達に与えられた使命を全うしていく。皆様方が徹底される、警護者の理もしかりですよ。」

「ありがとう。まあ、この世界だと、探索者の理に置き換えられそうだがの。」

「フフッ、探索者は冒険者そのものですからね。」


 爽やかな笑顔が輝かしい彼女。今の今まで色々と抱えていた事が窺えた。皇帝陛下という大任を拝していた手前、相当な重圧があったのだろうな。この笑顔が全てを物語っている。


 どんな形にせよ、俺は俺の生き様を通し、彼らを支え抜く。それが警護者としての使命になる。この異世界惑星なら探索者としての理だろう。警護者も探索者も大差ないのだから。


    第8話・2へ続く。

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