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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第5話 帝国の皇女4(キャラ名版)

カネッド「あの連中・・・何処まで他所様を苦しめればいいんだ・・・。」

ダリネム「全世界を征服する魂胆が丸見えですよ・・・。」


 怒り心頭の妹達。身内の女性陣も怒り心頭の状態だが、エリシェを筆頭に頭脳派は今後の戦略を練り出している様子である。


ゼデュリス「偽皇帝が全てを牛耳っているのは間違いありません。しかし、彼による政治は、確かに帝国自体を支えるものであるのも事実です。民を支えてこその皇帝だというのに、何故今になって覇道に乗り出すと言い出したのか・・・。」

ラフィナ「推測するに、脅迫に屈している様ではなさそうですね。かと言って、王城側に侵略する事も考えていない。となると、偽皇帝自身が私利私欲に走り出した、これしか考えられませんが。」

エリシェ「そんな単純なものですかね。何不自由ない環境を、自ら壊す様な行動を取る事は。」

ミスターT「人の心は、常に移ろい続けている。特に権力の魔性は、抗い難い力が働いてくるしな。地球でも、軍服連中や黒服連中が顕著だった。全世界の首脳陣すら、私利私欲に溺れ、住人達を糧の如く扱っていた。」


 何を思ったのか、デカいナップサックから、調理器具を出していくミツキ。この公園全体がキャンプが可能とあり、それを伺っての簡単な手料理を作り出すようだ。その様相を窺い、呆気に取られる女性陣。


ミツキ「ぬっ? 全員分作るから待つわぅよ。Tちゃんは会話を続けてわぅ。」

ミスターT「はぁ・・・偽皇帝も、ミツキの様な気質があればな・・・。」


 呆気に取られている所に、俺の言葉がクリティカルヒットしたようで、爆笑しだす女性陣。確かにそうだとウンウン頷いている。


ミスターT「ゼデュリスさんや、再び単刀直入で言う。偽皇帝は、お嬢の家系の人物か?」

ゼデュリス「いえ・・・宰相だった人物です。私の義理の父が皇帝でしたが・・・。」

ミスターT「委細承知、それ以上言いなさんな。」


 先程挙がった内情には含まれていなかったが、どうやら彼女の義理の父は偽皇帝こと宰相に殺されたようだ。そして、彼女にまで毒牙を掛けようとするのは、ゼデュリス自身が帝国の直系の家系である証拠と言える。


ミツキ「・・・宰相を殺害する、ですか。」

ミスターT「直ぐに見抜かれるのは何とも・・・。」

ミツキ「ゼデュリスさんの家系の人物なら、穏便に事を進ませようとするでしょう。でも、ソイツは義理のお父さんを殺害している。一切の柵がないのなら、手っ取り早く行動できますし。」


 俺が本当に言わんとする内容、それを静かに語りだしたのは、手料理作成中のミツキだった。語られた内容を伺った女性陣は、顔を青褪めている。今の俺の雰囲気を知ったからだろうな。


ナツミA「・・・推測ですが、その宰相は人間ではないのですね。」

ミスターT「ゼデュリスさんの言い分からして、俺はそう取れた。人間でも、同族を簡単に殺害する奴はいるが、それが感じられなかったしな。それに、もし人間なら、既にお嬢は殺害されている。」

ナツミA「なるほど・・・魔物故の、己が生きるだけで良いと言う考え、そこを読んだ訳ですか。」

ミスターT「大凡だがな。」

ミツキ「やりますねぇ。」


 推測による先読みを展開する俺と姉妹。ナツミAとミツキとは、偶にこうして戦術や戦略を練ったりしている。四天王も参加してのもので、言わばテーブルトークRPGとも取れる。まあ、実際にそこまで入り込んではいないのだが・・・。


ミスターT「それに、決定的な証拠がある。」

ナツミA「・・・甲板上での、仲間の魔物達が帝国側に向ける一念、と。」

ミスターT「そう、同族故の感知能力と仮定するが、それが決定打だった。」

イザデラ「そ・・そこまで読まれていたのですか・・・。」


 俺達の会話の内容を窺い、絶句している女性陣。特にイザデラは、かなり驚愕していた。逆にゼデュリスは、長年思っていた違和感を感じている様子である。


ミスターT「お嬢のその違和感、恐らく自身が持つ魔力が感知したのだと思う。お嬢の魔力は相当強いものになるしな。」

イザネア「確かに、この波動からして、相当な力を有しているのを感じます。」

ミスターT「それに、お嬢のは善心の魔力だ。宰相のは悪心の魔力だろう。仲間の魔物達は善心の魔力を持つ故に、相反する悪心の魔力を感知したと思う。」


イザネア「・・・その直感と洞察力、本当に見事としか言い様がありません・・・。」


 俺達の推測に、三姉妹が驚愕し続けている。俺は彼女達ほど実力がないため、実働時に得た経験や知識をフル活用するしかない。それが今の警護者界を支えていると言える。


ミツキ「ぬぅーん! 魔男のTちゃんなら、お茶の子さいさいわぅ!」

ナツミA「魔男ねぇ・・・。」

ミツキ「マジョじゃなくマダンわぅ!」

ミスターT「そのボケで思ったんだが、ここはミスT状態でいた方が有利かも知れないわな。」

ナツミA「ですねぇ。宰相を混乱させるなら、男性よりは女性の方が良さそうですし。良いも悪いも騙す事ができますからね。」


 トラガンの女性陣やリューヴィスの女性陣が、太鼓判を押してくれている、性転換状態の姿。今も女性の力が打開策になるようなのだから、実に不思議でならない。



 会話の最中、性転換ペンダントを稼動させる。男性から女性へと変化していく様を、初めて見るゼデュリスは絶句している。しかし、魔力や魔法が罷り通る異世界なので、こうした変化は大きく驚いてはいなさそうだ。


エリシェ「出ましたね、必殺のミスT様。」

ミスT「その言い回しはやめれ・・・。」

ラフィナ「役得ですから、仕方がないですよ。」


 茶化されるものの、同時に太鼓判を押してくれる身内達。対して、ゼデュリスを筆頭に、今も慣れていない妹達は呆気に取られている。まあそれは、裏を返せば太鼓判に近いと取れるのだが・・・。


ミスT「とりあえず、数日は情報収集をするか。無知ほど恐ろしいものはないしな。」

エメリナ「ゼデュリス様と共に、城の方に殴り込みに行くのは何時頃で?」

ミスT「殴り込みか、その表現合うかもな。ただ、今はまだ待とう。それに、推測が当たるなら、王城側から特使が来る筈だ。」

テューシャ「・・・偽勇者共ですか。」


 こちらの意図を読み、該当する人物を挙げるテューシャ。それに妹達の表情が、見る見るうちに怒りの表情となっていく。前にも挙げたが、もはや因縁の相手である。


ミスT「ゼデュリスさんには悪いが、今後は帝国軍自体を利用させて貰うしかない。王城軍の勢力は相当な規模になっている。下手をしたら、帝国都市は火の海と化しそうだ。」

ゼデュリス「お気になさらないで下さい。むしろ、私の力がお役に立つのなら、喜んでこの身を捧げます。今の私には、それしかできませんから・・・。」

ミスT「そうか・・・ならば、頼みがある。」


 そう言いつつ、彼女の前で片膝を付きつつ、ソッと右手を取った。その行為に顔を赤くするものの、こちらの一念を察知してか、表情を引き締めていく。


ミスT「全ては、ここに住まう住人の為に尽くしてあげてくれ。王城側が本気を出せば、ここは確実に火の海と化す。連中の愚行は、俺達が必ず阻止するから、お前さんはこの都市の全てを守ってくれ。」

ゼデュリス「・・・かしこまりました。我が命、皆様方にお預け致します。」


 涙を流しつつも、確固たる決意を固める彼女。泣き顔ながらも、その目を見れば一目瞭然だ。そして、彼女が限りなく善心に満ち溢れ、善道を行く事が確信できた。



ミツキ「おーしっ! ここでスペシャル飯わぅ!」

カネッド「おおっ! 良い匂いに気を取られてましたぜ!」

ダリネム「短期間で全員分を拵えてしまう、姉御の腕も凄いですよね。」

ミツキ「ウッシッシッ♪」


 頃合いを見計らい、手料理を完成させるミツキ。辺りに良い匂いが立ち込めており、不覚ながらも会話の途中から気を取られていた。


 完成した料理を手分けするナツミA。それを全員に手渡していく。そんな中、調理人たるミツキは、既に食い漁りだしていた・・・。この美丈夫の行動力の高さには、本当に脱帽の連続である。


エリシェ「マスター、艦に居る皆様を呼びますか?」

ミスT「その方が良いか。向こうは躯屡聖堕メンバーだけでも十分やれる。むしろ、ここに王城軍が現れた場合の防備が欲しい。」

ラフィナ「了解です。食べ終わったら、早速呼んで来ますね。」


 帝国側の行動次第では、再度船旅に戻るつもりでいた。しかし、ゼデュリスという超強力な味方が現れた事により、その流れを変える必要が出てきた。正真正銘の皇帝陛下自らの加勢となれば、これ程心強いものはない。


ミスT「ネルビアさん達とエメリナさん達は、ゼデュリスさんを厳守してくれ。宰相がお嬢を亡き者にして来る可能性も十分ある。」

ネルビア「了解しました!」

アーシスト「こりゃあ・・・皇帝親衛隊ですな!」

ミスT「んー・・・それも良いが、俺はセレテメス女傑陣で良いと思う。ゼデュリスさんも、ここの住人の1人だ。王城側にハッタリをカマすなら、態と弱々しく見せるのもアリよ。」


 手料理を食べ終え、一服しつつ語る。王城側の連中は、過度な評価を嫌う性質がある。自分達を強く見せるためだろう。エメリナ達の啓示を無効化させたのだから、今度は向こうが世界の覇者だと言ってくるに違いない。


カネッド「・・・マスターって、本当に無欲ですよね・・・。」

ミツキ「ぬぅーん、欲望は異性へのエロ目だけで十分わぅ?」

ミスT「野郎である手前、完全否定はできんがな・・・。」

ナツミA「はぁ・・・相変わらずですね。」


 ミツキの茶化しにより、周りの女性陣から殺気に満ちた目線で睨まれる。今では身内の女性陣に匹敵する力強さだ。それでも、そこには相手を信頼するが故の一念も感じられる。


ゼデュリス「フフッ、貴方様を心から慕われているのを感じます。その貴方様の一念こそが、このセレテメス帝国に必要な力だと確信ができます。」

ミスT「頭に立つ事が苦手だからな。そこはお嬢に全て任せるよ。それに、今後の流れ次第だと、仲間の女性陣がここに厄介になると思う。お前さんを心から支え抜く剣と盾だ。」

イザリア「そこは一切合切お任せを。私も魔王と言われた存在、誠心誠意尽くし抜きますよ。」

イザデラ「大魔王の私にもお任せをば。」

イザネア「同じく、魔女の私にもお任せ下さい。」


 三姉妹の発言に、威厳を感じる俺達。仮にもデュネセア一族であるため、その威厳は確実なるものだろう。デュヴィジェが顕著である。


ナツミA「んー・・・魔女だと、流石に張り合いがないですね。ここは聖王・大聖王・聖女で良いと思いますけど。」

ミツキ「んにゃ、それだと要らぬヤッカミが飛んで来るわぅ。魔王・大魔王・魔女の方が、ハッタリとしては上出来わぅし。」

ジェイニー「善側に近い属性で、しかも啓示を受けたかの様な言われだと、確かにヤッカミが来ると思います。ここは魔王・大魔王・魔女の方が良いでしょうね。」

ミスT「魔王の鎌・魔王の斧・魔王の槍でも拵えるかの。」

女性陣「おおっ!」


 ボソッと語ったその言葉に、瞳を妖しく輝かせる一同。特に妹達は一際輝かせている。全てをハッタリで構成するなら、この上なく効果があるネタだろうな。


 ともあれ、今後の流れを見越して動くしかない。先にも挙げたが、ゼデュリスの加勢は非常に心強い。上手くすれば、王城側への特効となるだろう。


 しかし、連中には超大な切り札がある。最低1隻の宇宙船だ。最大で3隻になるのだが、そこまで至るかは今は不明である。また、オルドラが話していた、機械兵というのが気になる所だ。大量生産をされた場合、手数の点で押される可能性が出てくる。


 まあ、最悪のパターンに至った場合は、こちらも“それ相応のカード”を切るしかない。前にミツキが言っていた通り、まだまだ手持ちのカードは沢山あるのだから・・・。


 もはや、ゲームの世界の様相となりつつある異世界。だが、そこにある大切な生命を守る事には変わりない。今後も油断なく進まねば・・・。


    第6話へ続く。

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