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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第5話 帝国の皇女3(キャラ名版)

ミツキT(小父様、計測できました。帝国都市の規模は約30km。小都市が東西南北に分かれており、独立的に運営している様子。ただ、中央の帝国城を介しての行動は、当たり前のようです。)

ミスターT(王城とその周辺3都市を併せた感じか。)


 探索中のミツキTより念話が入る。散開させたメカドッグ嬢達が計測した内容を告知して来た。


 とにかく巨大な大都市である。約30kmとなると、王城側の3倍の規模を誇っている。いや、既にその様相が形成されているとなると、王城を遥かに凌ぐ感じか。これで完全なる覇道に徹していなければ、王城軍に対抗する唯一の存在となるだろう。


アーシスト(何処か暗い雰囲気も、王城よりはマトモに思えますね。)

エリシェ(向こうは、元から悪の巣窟でしたからね。ここが同じでなければ、確実に善道を進む都市と思えますよ。)

キャイス(本当にそう思います。)

フューリス(となると、問題は・・・。)

ミスターT(帝国城そのものだな。)


 一服しつつ、静かに帝国城がある方を窺う。同都市の中央に位置するそれは、王城の様相とは全く異なる。実に重厚感がある建物だ。


 ちなみに、街の中央は帝国城がある場所の少し南側にある。現地へ向かう際は、かなりの長い道を歩かねばならない。優雅さも醸し出しているので、地球はイギリスの城群を彷彿とさせてくる。


ラフィナ(どうします? 帝国城へ直談判しますか?)

ミスターT(少し様子を見よう。下手に動くより、向こうから何らかのアポがあった方がいい。)

ルマリネ(こういう時、あの偽勇者共が来れば面白いんですけどね。)

エリシェ(それは不謹慎ですよ。まあ、一理ありますが。)

ミスターT(そうだな・・・。)


 ファンタジー作品のゲームなら、こうしたやり取りがフラグとなり、敵役の到来に発展するのが通例だ。しかし、実際にはそうはならない。各作品群は、予め設定されたシナリオを進む感じだしな。リアル感を醸し出す異世界惑星では、全く以て該当しない要素である。



女性「あの、お困り事がお有りでしょうか?」


 そんな事を思いつつ一服をしていると、話し掛けて来る人物がいる。そちらを窺うと、紫色のロングヘアーの女性がいた。その風格は威厳に満ちているが、同時に慈愛にも満ちている。


ミスターT「ああ、すまない。ここには初めて来させて頂いてね。圧倒されているよ。」

女性「フフッ、そうですか。」

ミスターT「俺はミスターT、お嬢は?」

女性「ゼデュリスと申します、以後お見知り置きを。」


 淑女の様な礼儀作法をしつつ挨拶をするゼデュリス。それを窺い、脳内に直感した事がある。彼女は皇族か何かの人物であると。


 俺の身体を媒体として、一部始終を窺っている身内達。突然の来訪者に気付き、俺の元へと駆け付けて来た。それを窺い、身を構えだすゼデュリスだが、エリシェとラフィナの社交辞令的な挨拶が炸裂した。それに俺と同じ様に、礼儀作法の挨拶をするゼデュリス。


 そして、ミツキによるザックバランな自己紹介に、堅物的なゼデュリスの顔が綻びだす。こういった初対面時の応対では、ミツキの手腕は最強の一手になると言うしかない。



ゼデュリス「そうでしたか、お仲間の方々とは。」

ナツミA「仲間を通り越して、盟友の域に至っていますよ。」

ミスターT「そうだな。」


 近場の公園で雑談をする俺達。初対面時の身構え度は何処へやら、ゼデュリスの雰囲気は実に気さくである。俺達に近い様相だわ。


エリシェ「無礼を承知でお尋ねしますが、ゼデュリス様は城の関係者ですか?」

ゼデュリス「・・・はい。これをお話すると、大多数の方が怖じてしまいますが・・・。」

ミスターT「セレテメス帝国皇帝、ゼデュリス=ラージュベラネアさんだな。」


 一服しながら素っ気無く答えた。セレテメス帝国の皇帝の名は、イザデラより伺っている。ゼデュリス自身が話し難かったようなので、この場合は俺から言っても問題ないだろう。


ゼデュリス「・・・ご存知だったのですか。ご存知なのに、ああして接してくれたと・・・。」

ミスターT「んー・・・俺には普通の女性にしか見えなかったがね。」


 傍らにいる彼女の頭を軽く叩いた。それに驚きつつも、何と涙を浮かべだしている。アタフタする女性陣だが、俺はそのまま頭を優しく撫でてあげた。


ミスターT「多くは語らんで良いよ。」

ゼデュリス「・・・ありがとう・・ございます・・・。」

ミツキT「大丈夫ですよ、私達は限りなく貴方の味方ですから。」


 今も泣き続ける彼女の頭を撫でる事により、そこから感じられる一念を察知したミツキT。俺の身体を媒体として、念話の応用で読んだと思われる。ヘシュナの荒業に近い。


 ミツキTのこの離れ業なのだが、彼女が精神体の生命体故にできると思われる。ヘシュナ達カルダオス一族の場合は、相手の額に触れる事で、脳内の様子を探る事ができた。ミツキTの場合は精神の次元から察知するため、それが自身でなくても念話で感じ取れるのだろう。


 これはあくまで推測ではあるが、彼女の属性やその力を窺えば、十分当てはまるものだ。5大宇宙種族を超越する生命体とも取れる。本当に凄い女性に化けたものだわ・・・。




メラエア「しかし・・・まさか皇帝陛下が城下町を散策しているとは・・・。」

ファイサ「護衛とか着けずに、よく問題ないですよね・・・。」


 落ち着いた頃を見計らって、妹達が語り掛けていく。確かに、ゼデュリス自身だけで城下町にいたのだ、よく周辺の人物が許したと思う。


ゼデュリス「私は、形だけの皇帝なのです。実際には、城では別の皇帝が実権を握っています。」

ジェイニー「それ、ゼデュリス様の方が合うと思われるのですがね。」

アクリス「それか、別の勢力が燻っているか、と思われますが。」


 さり気無く探りを入れる妹達。それに黙ったままだが、瞳はそうだと語っていた。つまり、公に言えない事であるのが分かる。


ゼデュリス「・・・皆様方は、本当にお強いのですね。こうして探りを入れる度量以前に、逆境を覆す力をお持ちのようです。」

ネルビア「いえいえ、私達は唯の闘士ですよ。本当に凄いのは、こちらの方々ですけどね。」

ミスターT「はぁ・・・俺に振るでない・・・。」


 妹達からの力を見せろという、無言の圧力が放たれてくる。それに溜め息を付きつつ、各種ペンダント効果の中の超能力を使い、ゼデュリスの身体を少しだけ浮かして見せた。


 この力は、ルビナ達ドラゴンハート一族が十八番の超能力。こうして人物を浮かせる事は無論、マデュースの弾丸やレプリカ大和の砲弾を誘導着弾させる事も可能だ。俺のこの力はペンダント止まりのものだが、本家ルビナは更に凄まじい力を誇っている。


 そして、この超能力は優劣こそあれど、5大宇宙種族の誰もが放てる業物だ。それらを踏まえると、やはり宇宙種族の力は凄まじいとしか言い様がない。


ゼデュリス「え・・ええっ?!」

ミスターT「今はこのぐらいでご勘弁を。更に繰り出せるが、世間体の目がヤバいしな。」


 地面より少し浮いている自身に気付き、驚愕しているゼデュリス。妹達も改めて見るその力に驚いてはいる。身内はニヤニヤしっ放しだが・・・。


ミスターT「ゼデュリスさんの肝っ玉が据わっているから、単刀直入に尋ねたい。お嬢が目指そうとする生き様は、善道なのか? それとも、悪道なのか?」

ゼデュリス「・・・今後どうなるかは分かりません。しかし、根幹を挙げるとするなら、善道だと思います。烏滸がましい限りですが・・・。」

ミスターT「その答えだけで十分よ。お前さんと出逢い、守らねばならない理由が、ここを変革する事だとよく分かった。」


 余り使いたくない手法だが、彼女に触れる中で心中を読んだ形になる。以前にも挙げたが、ヘシュナ達カルダオス一族が、相手の心中や脳裏を読む業物だ。今は喫緊の問題であるため、この場合は勘弁して貰うしかない。


ミツキT「ゼデュリス様の内情を窺う行為、私は良いと思いますよ。小父様のそれは、私利私欲から出るものではありません。既に王城軍が幅を利かせており、こちらへの侵攻も十分可能性があります。隙を見せれば、更なる災厄を招く事になりますし。」

ゼデュリス「・・・やはり、かの大都会カルーティアスが災厄になってしまうのですか・・・。」


 ボソッと語った彼女の言葉に、一同して既に読んでいたと直感するのを感じた。ここから、王城の距離は数万km離れている。しかし、ゼデュリス自身は向こうが火種になる事を知っていたのだ。


 こちらを信用できる存在と取ってくれたのか、徐に淡々と内情を語っていくゼデュリス。語られる内容は、今現在の帝国都市の様相と、王城側からの脅迫に近い伝書文の送り付けに関してだ。


 魔大陸に陣取る大魔王イザデラも、セレテメス帝国の様相を気に掛けていた。しかし、その彼女の動向よりも先に、王城側は帝国側に横槍を入れていたのだ。この先見性ある行動力には感嘆したが、同時に怒りが湧き起こってくる。


    第5話・4へ続く。

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