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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
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第2話 私利私欲の罠3(キャラ名版)

 異世界惑星に来てから、休みらしい休みを取らずにいたツケが回ってきたようだ。それを窺い知った一同は、俺に強制的に休息を取らせてくる。とは言うものの、新大陸での探索が終わっておらず、探索部隊の一員として動く事を勧められた。


 どうやら、この新大陸はダンジョン的な洞窟が数多くあるらしく、非常に危険度が高いとの事だ。何れ火種をとなるなら、ダンジョンの完全攻略を破壊を行うべきだが、そこから発掘できる物資も非常に魅力的らしい。宝箱や鉱物資源がそれに当たる。


 と言うか、鉱物資源なら分かるのだが、誰も立ち入った人物がいない様子のダンジョンに、未取得の宝箱がある自体おかしい。自然的に生成されるものでは絶対にないので、魔物が強奪したのを隠したと取るべきだろうか。ここは、異世界惑星の創生に携わった三姉妹も不明な点だとの事。


 更に、新大陸の南東には、朽ち掛けの塔らしき建物もあるらしい。その周辺には、遺跡と思われる建物もあるらしい。どれも、あるらしい、と言うのは、メカドッグ嬢達の探索で得た情報に過ぎないからだ。


サラ「今日は何処のダンジョン攻略で?」

ファイサ「現状で未踏査なのは、南東の塔や遺跡でしょうか。」

セラ「ダンジョンと言うより建物ですよね。」

メラエア「ワクワクしますよ。」


 今回の探索メンバーは、サラとセラに妹達13人である。護衛は、俺とリューヴィス女傑陣の面々となる。俺は先の愚痴会議的な流れの後、性転換状態が解けたため男性の姿である。しかし、今は俺を見ても怖がる素振りは見せて来ない。


ルマリネ「皆さん大丈夫そうですね。」

ミスターT「逆に俺の方が緊張してるんだが・・・。」


 彼女達とは久方振りの共闘とあり、俺自身かなり緊張している。リューヴィス女傑陣が男性に虐待された過去があるため、そのトラウマは今も残っている。俺自身の今の姿が男性なので、下手に刺激しないかどうか非常に心配だ・・・。


アーシスト「初対面の男性であれば、それは警戒もしますよ。しかし、マスターは皆さんの身体を完全に治療されたのも事実。貴方は救世主なんですよ。」

ミスターT「俺はそんな大層な奴じゃない。あの瞬間は、何振り構っていられなかった。自然的に出たもので、そこに私利私欲など一切ない。」


 そう、あの瞬間の女性陣の姿が、逝去直前のミツキTの姿とダブっていた。そして、もう二度と失わせないという強い一念が突き動かしてもいた。その後は、ヘシュナ直伝の治癒力で、全員を完全治療させるに至る。


ジェイニー「念話って凄いですよね。今では新大陸にいる皆様全員に伝わっています。ペンダントを持たねばダメだと伺っていましたが、デュヴィジェ様方が貴方を媒体として指定人物に通話ができるようにしたとの事です。」

ミスターT「彼女の応用力は5大宇宙種族で最強だからな。ヘシュナさんもそれなりにあるが、到底敵うレベルじゃない。それに、黒いモヤ事変時は単独で黒いモヤ本体を監視してくれていた。」

アクリス「イザリア様方の女王様ですからね。その実力があってもおかしくありません。」


 本当にそう思う。デュヴィジェの応用力は半端じゃないレベルだ。この場合、5大宇宙種族の技術者とも言えるのだろうな。


 そもそも、宇宙種族のテクノロジーは、既に失われた力を使っているに過ぎない。それを解析して発展させているのだ。彼女の実力は逸脱している、そう言うしかなかった。


 その一族たる存在が、イザリア・イザデラ・イザネアの三姉妹となる。魔王・大魔王・魔女と言われるようになるのも十分肯ける。


ジェイニー「それに、ここからが本題なのですが、貴方との念話で内情が全て伝わって来ています。リューヴィスの女性陣を救った厚意は、そこにミツキT様の逝去時をダブらせたからと知りました。」

ミスターT「あー・・・全て筒抜けという事か・・・。それでも、あの思いは絶対に知って欲しくない。俺の目が黒いうちは、この生き様を貫き通していく。」

アクリス「だからですか、先刻の王城周辺への一念は・・・。」

ミスターT「・・・そうだな。」


 今挙げた執念と信念が根幹とするなら、王城周辺への対応は実に矛盾している。しかし、相手が何をしたのかという概念があるのなら、手を差し伸べるか差し伸べないかの差が出てくる。実に屁理屈的な解釈だが、実際に行った行動に罪がある場合は消えないのだから。


テューシャ「はぁ・・・皆様方がヤキモキされるのを、再度痛感しましたよ。でも、そうして己自身に問い詰めていかねば、道を踏み外す可能性も出てきますからね。全部が全部、間違いだとは思いません。ですが、程々になさって下さい。」

ミスターT「ぜ・・善処します・・・。」


 今までにない凄みの表情で見つめてくる彼女。エリシェやラフィナに匹敵する恐々しさだ。それでも、こちらを思ってくれている事には変わりない。そんな彼女の頭を優しく撫でた。それに顔を赤くするも、仕方がないと言った雰囲気で溜め息を付いている。


サラ「うーん、確かに自身との対峙が多いですよね。本当に大丈夫です?」

ミスターT「上辺の右往左往は何時も通りだが、根幹は微動だにもしていない。大丈夫よ。」

セラ「迷惑を掛けるのは、私達だけに留めておいて下さいな。」


 周辺の簡単な探索を終えた双子が語る。確かに、自分でも気付くぐらいに自己嫌悪が多い。それだけ、ストレスやら何やらが溜まっている証拠だろう。幸いにも、周りの美女達の美貌をチラ見するだけで癒されるが・・・。


キャイス「今、如何わしい事を思われましたよね・・・。」

ダリネム「私も感じました・・・。」

ミスターT「だー・・・野郎の性だから勘弁してくれ・・・。」

アーシスト「へぇ・・・野郎の性・・・。」


 俺以外全員が女性とあり、異性の一念に即座に反応を示す面々。リューヴィス女傑陣にも反応されており、全員して凄まじい目線で睨んでくる。流石に怖過ぎる・・・。


 それでも、リューヴィス女傑陣がここまで回復してくれた事には安堵している。初対面時の様相からして、相当のトラウマが残っていると思われた。しかし、実際の回復力は相当なものであった。これはトラガンチームの女性陣より遥かに強い。


 彼女達の笑顔を勝ち取る戦いが、この新大陸での活動だ。今後も奮起せねばならないわ。



フューリス「それにしても・・・かなりの古さですね。」

ルマリネ「一見すると、灯台の感じがしますけど。」

ミスターT「ゲーム関連なら、何らかのお宝とかが眠っていたり、ボスが待ち構えていたりするのだがね。」


 古びた塔の周辺を探索する一同。ルマリネが語る通り、灯台の可能性もある。しかし、この未踏査の新大陸に灯台は不可解過ぎる。新大陸自体に人が住んだ痕跡があれば別だが、それが一切ないのだ。


サラ「イザリア様方も知らないとの事なのですよね。」

ミスターT「・・・となると、魔物が作ったという事か。」

セラ「十中八九、そう考えるのが無難かと。目的は分かりませんけど。」


 この手のミステリーは、ファンタジー世界観に詳しい双子の独壇場だろう。全て推理になるのだが、それが見事に当てはまる場合もある。ファンタジー要素は、不可解な要因を孕んでいるのだから。


エメリナ「とりあえず、目立ったものはなさそうですね。」

テューシャ「魔力に反応してくるものはありませんし。」

アクリス「魔物の反応もないのも気になりますけどね。」

ミスターT「うーむ・・・今は保留かな。」


 喫緊の問題とならないのなら、今は放置しておいて問題ないだろう。それに、目玉は新都市群の確立だ。ここから向こうへは50km以上はある。


サラ「ここは、登って確かめてみます?」

ミスターT「・・・絶対に遠慮する・・・。」

セラ「アハハッ、相変わらずですねぇ。」


 態とらしく尋ねてくる姿に、悪魔的な一念を感じずにはいられない。ニヤケ顔で茶化して来るため、その2人を捕まえて頭を捏ね繰り返した。直ぐに悲鳴を挙げて降参する双子。


 その姿を見た女性陣は、呆れつつも笑っている。だが、何処か悲しげである。サラとセラとは地球出身なため、その差であろうか。気にするものでもないのにな。


 それでも、リューヴィス女傑陣が笑う姿には、本当に心が癒される。苦節を知っているからこその笑顔だ。トラガンチームの女性陣も、それを感じ取っているようだ。


    第2話・4へ続く。

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